変人だって。医者だって。

変人だって。医者だって。05 SAKURA∞SAKU second







(・・・・・・・・少年だな。)






目を閉じたと思ったらあっさり眠りについた孝。

寝顔は幼く見えて、まるで少年のようだ。





寝起きがあまりにも最悪なため、あれ以来眠ってるこいつを見ることはほとんど無い。

というより「マジで殺されるぞ」と他の住人から起こしに行くのを止められるのだ。

ま、言われなくても近づかないけどな。






(可愛い顔しやがって。)






孝は住人の中でも一番を争う不思議な奴。

つまりは何を考えてるか分からないヤローだってことなんだが。

仕事が出来る
同期に慕われてる

そして院長にも頼りにされてるってのは知ってる。






(どこで息抜きしてんだか。)






仕事が忙しかったみたいだけど。

根詰めて生きてるようには見えないが・・・

熱出してる自分に気付かないなんて、適当に生きてる私から見たら少々心配になる。

もちろん自分のことも心配っすよ?

もっと気合入れて生きなさいとか。





ちょっぴり長いことこいつらといて感じたこと。





それは、仕事に関しては皆、めちゃくちゃ立派にこなしてるってこと。





累と純君も学業以外に何かしらやってるらしい。

家庭の事情だろうか。



男は特に仕事頑張らなきゃいけない世の中だもんな。

まぁ、大変じゃない仕事なんてないけどさ。

そんな中で前向きにキラキラ輝いて働く奴は素敵だと思う。

個人的にそんな人間が大好きだ。






(だからこそ、弱った時はしっかり休まねばならんぞ。)






頑張ってるのは分かってんだ。

だからちゃんと休みなさい。





強く握りしめられた手に応えて握り返してみる。

反応はない。

どうやら完全に眠ったようだ。







(・・・・・。)
















どうしたもんか、手が離れない。

なんでだ。

もしや起きてんのかこいつ。






(・・・・・仕方ねぇな。)






手を伸ばしたら持ってきた本になんとか手が届いた。

読書することにしよう。

愛読書。もちろん歴史書だ。



ペラペラと本をめくりながら孝を見る。






(そういえば、こいつの親は・・・?)






この前純君と話してた時、孝も正月帰らねぇって言ってた気がする。

なんでだろ。

反抗期か?




呼吸に合わせてゆっくりと上下する布団。

ちゃんと生きてるようだ。

床に座って孝の手と繋がり、ベッドに肘をつき顔を眺める。






(どんな両親なんだか。)






父ちゃんか母ちゃんのどちらか、もしくは両方。

めちゃくちゃ顔立ちがいいんだろうってのは予想がつく。

だが、孝が両親と和気藹々している様子がどうしても想像できない。

あ、要と真樹も想像できない。






(本と、何も知らないんだな。こいつらのこと。)






桜館にきて大分経つがマジでこいつらのこと全然知らない。

純君に関して、少しだけ知ってる程度だ。

出身や家族関係。

そういえばなんでこの5人でここに住んでるのかも知らずじまいだな。






(ま、そんなのはどうでもいいな。)






血は繋がってねぇが、なんだかんだ言って家族みたいな関係なんだなってのは一緒にいて感じる。

それって素敵だよな。

いいことだと思うぞ。






(いつもこんなだったらなぁ。)






すやすや眠る少年・孝様を眺めながら失礼思考。

こんな機会めったにないので許して頂きたい。






しばらく孝の顔を眺めていたが






読書に意識を切り替えた。