変人だって。医者だって。

変人だって。医者だって。04 SAKURA∞SAKU second






『私は・・・・・お前と一緒にはなれない。』

「・・・・・・・?」






『お前にはもっと可愛い女子が似合ってると思うぞ。じゃぁな、孝。』

「--------!!」















有「っわ!ビックリした!ごめん、起こしたか?」













無意識に手を伸ばしたら









掴んだのは、有希の手・・・






有「どうした?少し熱は下がったみたいだけど・・・まだきついのか?」

「・・・・・・・・。」






(・・・・・・・・・・夢・・・?)






「------っ、は、ぁ・・・」

有「・・・・・・?」







焦った。







(嫌な・・・・感じだった。)








鼓動が早い。

やけにリアルな夢だった。

こいつの背中がどんどん小さくなって---






「-------っ」






夢だと分かっても寒気が消えない。

変にゾクゾクする。



これは風邪のせいか?

体が弱って精神的にも参ってるってのか?






有「どした?きついのか?」

「・・・・・・・・・・・。」






どうやらタオルを代えてくれていたらしい。

額がひんやりして気持ちいい。






「・・・・・どれくらい寝てた?」

有「1時間くらいかな。少しうなされてたけど・・・・・・熱は少し下がったと思うぞ?」

「・・・・・・・・・・。」






そういえば視界のゆがみを感じない。

熱は少々下がったんだろう。






有「怖い夢を見たのか?」

「・・・・あ?」

有「急に掴んだからよ。」

「あぁ・・・悪ぃ。」






そう言いながらも離れない手。

まぁ、掴んでるのは俺の手なんだが。






有「まだ辛いか?」






頬に手を滑らせて顔を近づけてくる。







有「まだ熱高いのかな・・・計ってみるか?」








(抱きしめてぇ・・・・・)








いつになく近い距離。

あんな夢見ちまったからな・・・

余計に触れたい。

引き寄せて
抱き寄せて----






(・・・・・・・・・。)






・・・ダメだ。

あんまり近づくとやばい。

今触れたら暴走するかもしれねぇ。






(・・・・・・・・・・・・。)






なんとか頭を冷やし、有希の手を離した。

今の俺は弱ってた方がいい。






有「ほら、測ってみろ。」

「・・・・・・あぁ。」






体がだるい。

動かすのが億劫だ。






有「おー37度5分。少し下がったな。薬が効いたかな。」






体温計と睨めっこしながらぼそぼそと呟く。






有「もう一眠りしろ。しっかり治さねぇとな。」






体温計のデジタルを見せびらかせながら嬉しそうに笑う有希。

やめろ。
その笑顔は体に障る。

違う熱が上がってきたような気がする。

やっと我慢したんだ。

煽るのはやめてくれ。






「なぁ・・・・もう大丈夫だ。お前も仕事しろよ。」

有「してるぞ?」






ノートパソコンを指差しながらポカンと答える。

違う。

そういう意味じゃねぇんだよ察しろ。

今の俺は色々とやばいかもしれねぇってことで---






有「すぐに眠れなくていいからとりあえず目ぇ閉じてろ。それだけでも休まるはずだ。」






まぁ、眠ろうと思えば眠れそうなんだが・・・・・


あんな夢を見た後だ。

眠りたくねぇってのが本音。






(情けねぇな・・・)






弱ってる時は

気持ちも弱くなるらしい。







「・・・・・・・・・・手。」

有「ん?」

「手・・・・・貸せ。」







ダメだ。

近づかない方がいいってのは分かってる。






だが・・・・






有希の体温を感じていたい。






有「なんだ?孝も熱が出ると弱るんだな。」

「・・・・・・・うるせ・・・」

有「可愛いとこあるじゃねぇか。」






からかいやがって。

だが向けられた顔は優しい笑顔。

ムカつくがホッとしてしまう。






有「安心して寝ろよ。早く良くなれ。」

「・・・・あぁ。」






伸ばした手に絡まる有希の指。

少しひんやりしていて気持ちがいい。






有「お休み。」






(・・・・・・・ん。)







返事は声にならなかった。






そしていつの間にか






再び眠りの世界に入っていた。