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『私は・・・・・お前と一緒にはなれない。』
「・・・・・・・?」
『お前にはもっと可愛い女子が似合ってると思うぞ。じゃぁな、孝。』
「--------!!」
有「っわ!ビックリした!ごめん、起こしたか?」
無意識に手を伸ばしたら
掴んだのは、有希の手・・・
有「どうした?少し熱は下がったみたいだけど・・・まだきついのか?」
「・・・・・・・・。」
(・・・・・・・・・・夢・・・?)
「------っ、は、ぁ・・・」
有「・・・・・・?」
焦った。
(嫌な・・・・感じだった。)
鼓動が早い。
やけにリアルな夢だった。
こいつの背中がどんどん小さくなって---
「-------っ」
夢だと分かっても寒気が消えない。
変にゾクゾクする。
これは風邪のせいか?
体が弱って精神的にも参ってるってのか?
有「どした?きついのか?」
「・・・・・・・・・・・。」
どうやらタオルを代えてくれていたらしい。
額がひんやりして気持ちいい。
「・・・・・どれくらい寝てた?」
有「1時間くらいかな。少しうなされてたけど・・・・・・熱は少し下がったと思うぞ?」
「・・・・・・・・・・。」
そういえば視界のゆがみを感じない。
熱は少々下がったんだろう。
有「怖い夢を見たのか?」
「・・・・あ?」
有「急に掴んだからよ。」
「あぁ・・・悪ぃ。」
そう言いながらも離れない手。
まぁ、掴んでるのは俺の手なんだが。
有「まだ辛いか?」
頬に手を滑らせて顔を近づけてくる。
有「まだ熱高いのかな・・・計ってみるか?」
(抱きしめてぇ・・・・・)
いつになく近い距離。
あんな夢見ちまったからな・・・
余計に触れたい。
引き寄せて
抱き寄せて----
(・・・・・・・・・。)
・・・ダメだ。
あんまり近づくとやばい。
今触れたら暴走するかもしれねぇ。
(・・・・・・・・・・・・。)
なんとか頭を冷やし、有希の手を離した。
今の俺は弱ってた方がいい。
有「ほら、測ってみろ。」
「・・・・・・あぁ。」
体がだるい。
動かすのが億劫だ。
有「おー37度5分。少し下がったな。薬が効いたかな。」
体温計と睨めっこしながらぼそぼそと呟く。
有「もう一眠りしろ。しっかり治さねぇとな。」
体温計のデジタルを見せびらかせながら嬉しそうに笑う有希。
やめろ。
その笑顔は体に障る。
違う熱が上がってきたような気がする。
やっと我慢したんだ。
煽るのはやめてくれ。
「なぁ・・・・もう大丈夫だ。お前も仕事しろよ。」
有「してるぞ?」
ノートパソコンを指差しながらポカンと答える。
違う。
そういう意味じゃねぇんだよ察しろ。
今の俺は色々とやばいかもしれねぇってことで---
有「すぐに眠れなくていいからとりあえず目ぇ閉じてろ。それだけでも休まるはずだ。」
まぁ、眠ろうと思えば眠れそうなんだが・・・・・
あんな夢を見た後だ。
眠りたくねぇってのが本音。
(情けねぇな・・・)
弱ってる時は
気持ちも弱くなるらしい。
「・・・・・・・・・・手。」
有「ん?」
「手・・・・・貸せ。」
ダメだ。
近づかない方がいいってのは分かってる。
だが・・・・
有希の体温を感じていたい。
有「なんだ?孝も熱が出ると弱るんだな。」
「・・・・・・・うるせ・・・」
有「可愛いとこあるじゃねぇか。」
からかいやがって。
だが向けられた顔は優しい笑顔。
ムカつくがホッとしてしまう。
有「安心して寝ろよ。早く良くなれ。」
「・・・・あぁ。」
伸ばした手に絡まる有希の指。
少しひんやりしていて気持ちがいい。
有「お休み。」
(・・・・・・・ん。)
返事は声にならなかった。
そしていつの間にか
再び眠りの世界に入っていた。
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