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(・・・・・・・風邪?)
どうやら俺は風邪を引いたらしい。
そういえば最近仕事が忙しい。
休み返上で出勤してたからな。
疲れが溜まってたのか。
別に体はきつくないんだが・・・
有「大人しくしてろ。」
異常な力を発揮する有希に組み敷かれ、強制休暇をとることになった。
なんだこの馬鹿力は。
この日のために隠していたのか?
(指が利かねぇ・・・・・)
シャツのボタンを外そうとしても指が上手く動かない。
そんなに熱があんのか?
滅多に寝込むこともねぇから自分の状況が良く分からない。
有「貸してみろ。」
有希が近くに来る。
ボタンを外してシャツを脱がせる。
熱が無ければ最高なんだが・・・・
あーダメだ。
頭が回らない。
薬を飲まされ、ベッドに横になる。
布団を掛けてもらい・・・
なんだか・・・・
安心してしまう。
いつ以来だ?
こんな風に安心感を感じるのは・・・・
「移るぞ・・・・・」
有「だから、私は風邪引かねぇ。何年も引いてねぇもん。」
「バカは風邪引かね---」
有「最後まで言うなよ?一人寂しく風邪菌と戦いてぇのか?」
もそもそと布団を整えながら答える有希。
「・・・それが病人に対する態度か。」
有「悪い悪い。ちゃんと看病してやるから。安心して寝てろ。」
ニッコリ笑って軽く頬を抓ってくる。
(なん・・・・・だよ。)
そんな顔で微笑むな。
余計に熱が篭って・・・・
視界がぐるぐるする。
(そういえば・・・・・)
こいつ、看病なんて出来んのか?
『看病="女"らしい行為』
え。
『女らしい』って、こいつが?
女らしい
女らしい・・・
女らしー・・・・・・・
「殺される・・・・」
有「なんか言ったか?」
軽く叩かれた。
「いいから。寝ることに専念しろ。」
いつの間に持ってきたのか。
冷えたタオルを額に乗せてくれる。
「・・・・・・・古典的だな。」
有「これが一番気持ち良くねぇ?」
(・・・・・・・・・・。)
「・・・・・・そうかも。」
有「だろ?」
にっこりと笑顔を向けられた。
(あーやばい・・・)
なんか・・・・・幸せだ・・・・・
グラグラ揺れる頭。
でも
---風邪引いて良かったかも
なんて思ったりもする。
遠慮がちに押されるキーボードの音。
有希の気遣いが分かって、余計にいい気分だ。
---有希が近くにいる
不覚にも無防備に
深い眠りについてしまった。
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