変人だって。医者だって。

変人だって。医者だって。03 SAKURA∞SAKU second





(・・・・・・・風邪?)






どうやら俺は風邪を引いたらしい。


そういえば最近仕事が忙しい。

休み返上で出勤してたからな。
疲れが溜まってたのか。

別に体はきつくないんだが・・・





有「大人しくしてろ。」





異常な力を発揮する有希に組み敷かれ、強制休暇をとることになった。

なんだこの馬鹿力は。

この日のために隠していたのか?





(指が利かねぇ・・・・・)





シャツのボタンを外そうとしても指が上手く動かない。

そんなに熱があんのか?

滅多に寝込むこともねぇから自分の状況が良く分からない。





有「貸してみろ。」





有希が近くに来る。

ボタンを外してシャツを脱がせる。



熱が無ければ最高なんだが・・・・

あーダメだ。
頭が回らない。

薬を飲まされ、ベッドに横になる。


布団を掛けてもらい・・・







なんだか・・・・









安心してしまう。









いつ以来だ?

こんな風に安心感を感じるのは・・・・






「移るぞ・・・・・」

有「だから、私は風邪引かねぇ。何年も引いてねぇもん。」

「バカは風邪引かね---」

有「最後まで言うなよ?一人寂しく風邪菌と戦いてぇのか?」





もそもそと布団を整えながら答える有希。





「・・・それが病人に対する態度か。」

有「悪い悪い。ちゃんと看病してやるから。安心して寝てろ。」





ニッコリ笑って軽く頬を抓ってくる。






(なん・・・・・だよ。)






そんな顔で微笑むな。

余計に熱が篭って・・・・

視界がぐるぐるする。





(そういえば・・・・・)





こいつ、看病なんて出来んのか?







『看病="女"らしい行為』







え。







『女らしい』って、こいつが?

女らしい
女らしい・・・

女らしー・・・・・・・








「殺される・・・・」

有「なんか言ったか?」






軽く叩かれた。





「いいから。寝ることに専念しろ。」





いつの間に持ってきたのか。

冷えたタオルを額に乗せてくれる。






「・・・・・・・古典的だな。」

有「これが一番気持ち良くねぇ?」






(・・・・・・・・・・。)






「・・・・・・そうかも。」

有「だろ?」






にっこりと笑顔を向けられた。






(あーやばい・・・)










なんか・・・・・幸せだ・・・・・











グラグラ揺れる頭。






でも






---風邪引いて良かったかも






なんて思ったりもする。






遠慮がちに押されるキーボードの音。

有希の気遣いが分かって、余計にいい気分だ。








---有希が近くにいる








不覚にも無防備に







深い眠りについてしまった。