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「体、冷えちゃったね。そろそろ中に入ろうか。」
有「・・・・あぁ。」
抱きしめてる間、ずっと大人しく包まれてくれていた姫。
実は・・・殴られるかもって覚悟したんだけどね。
何故か無事に無傷だった。
なんでだろ。
「うわ、もうこんな時間。」
有「本とだ!こりゃあいつらに怒られるな。」
時間のことなんてすっかり忘れてた。
帰ってから絶対文句言われるよ。
だって、今や姫は桜館住人+1名にとって
誰にも譲ることのできない特別な女の子なんだから。
もちろん俺だって姫を独り占めしてしまいたい。
あいつらが待つ家になんか連れて帰りたくない。
でも、それの気持ちは皆同じだからね。
この状態はきっと、いつか姫が誰か一人を選ぶ日が来るまで続く。
うーん・・・・続けられるか心配だけど。
相手はあいつらだからね。
ルールとかあって無いようなもんだよな。
だからこそ俺がしっかりしなくちゃ。
有「旅行、楽しみだなぁ。」
「そうだね。」
有「でもさ、旅行ってさ、行くまでが楽しいんだよなぁ。」
「ん?」
有「こうやって買い物したり、計画立てたりすんのが楽しいじゃんか。わくわくする。」
「修学旅行を控えた中学生みたいだね。」
有「・・・例えが悪いぞ。」
「ごめんごめん。」
せっかく月が綺麗だからって言って
どうせ遅くなったんだからと言って
のんびり歩いて帰ることにした。
有「あ、あのさ、京都に行った時なんだけど。私がこう・・・こうやってサインしたら誰にも言わず着いて来てくんねぇ?」
「え、なんで?」
有「い、いいとこに連れてってやるからよ。」
「・・・・・・。」
この人、絶対抜け出すつもりだ。
でも一人で回るのは寂しいから誰かを連れ出して行っちゃおっかなってとこかな。
相変わらず分かりやすい。
「抜け出すつもりなんでしょ。」
有「えっ!!ち、違うぞー!違う違う!」
「可愛いね、姫。」
有「・・・・チッ、早くも計画失敗か。」
やっぱり。
よっぽど好きなんだね、京都。
しかも観光地以外のコアスポット。
「でも、抜け出すのも楽しそうだね。」
有「だ、だろ!?」
「抜け出す時は俺を誘ってね。」
有「わ、分かった!!」
小さく目の前でガッツポーズ。
さっきのサインは目立つから他のを考えた方がいいと思うけど。
(・・・・・・・。)
有「っ!」
姫の手を握った。
「・・・・・・冷たい。」
有「そ、そうだろ?冷え性だからな。」
恥ずかしがってるのがビシビシ伝わってくる。
いちいち反応が可愛すぎるよ。
「冷え性なの?」
有「そ、そうなんだ。前からなんだけどな。だから冬は大変なんだよ。」
「じゃぁ寒い時は俺が温めてあげるからね。」
有「そ、そうか!ありがと!」
男慣れしてないのはまだまだ健在だ。
少しくらい”そういう意味”なのかなって疑ってもらいたいよ。
まぁ・・・そんなところが姫らしいんだけど。
有「おぉ、あったけー。」
「でしょ?」
繋いだままの姫の手を、俺のポケットに迎え入れた。
有「幸せな気分だ。」
「そう?それじゃ、今はこれで我慢してあげるね。」
有「どういう意味だ?」
「そういう意味。」
有「?」
そう。
今はこれで我慢。
それに---
こうやって並んで歩いて、手繋いで帰る。
そんな穏やかな時間に幸せを感じていたりする。
要「なんで荷物だけ先に帰ってくるわけ。」
有「スミマセン。」
真「心のこもってねぇ謝罪だな。」
有「ゴメンナサイ。」
孝「反省しろ。」
有「スマン。」
要「純、お前もだぞ。」
「はーい。ごめんなさーい。」
有「えっ!そんなんでいいの!?」
真「調子に乗るな。」
「・・・・・スミマセンデシタ。」
帰ったらやっぱり怒られた。
累「もー、心配かけんなよ有希。」
「累たんごめんよー!!めちゃくちゃ反省してるから!!」
「「「--------。(怒)」」」
ほんと、見ていて飽きない。
----------ビバ!京都(演習)!!(完)
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