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「そういえば、純君って実家に帰ったりしてんの?」
純「実家?もう何年も帰ってないよ。」
「え、何年も?いいのか?」
親は心配しねぇのか?
なんだか言いにくい事情はあるみたいだが・・・
たまには顔とか見たいもんなんじゃねぇの、お互いに。
純「あの人は俺が何してても気にしないし気付きもしないよ。」
あの人ってのは・・・・父ちゃんか?
純「それにあっちには本妻の子がいるから面倒くさいんだ。」
「本妻の子・・・」
内容が現代チックじゃありませんな。
一昔前の昼ドラ的な話だ。
「・・・・・寂しくないか?」
純「寂しくないよ。それに、累は時々帰るけど要と真樹と孝も年行事で帰ることないし。正月なんかもずっとあいつらと一緒。」
「そ、そうか。」
桜館の皆さん。
そういうところは家族なんすね。
共通点はイケメンってとこだけじゃなかったのか。
純「それに、今は姫もいるしね。全然寂しくない。」
「えっ?」
綺麗な微笑みを頂きました。
やめろ。
君は美しすぎます。
純「俺、姫が桜館に来てくれて本当に良かったって思ってる。神様とか信じたこと無いけど、これだけは感謝してもいいかな。」
「そ、そうか?」
純「うん。」
随分可愛いこと言ってくれるじゃないの。
面と向かって言われるとすっげぇ照れる。
「・・・私もあの時管理人になって良かったって思ってるぞ。あ、私って管理人だったな。今度住人に変更してもらおう。全然仕事してねぇもんな。」
純「ははっ。別にいいじゃん。」
「そ、そっかな。へへ。」
ほのぼの会話を楽しんでいると、ついにお料理が登場。
これまたビックリするくらい凄いのが出てきた。
どうやって手をつけたらいいのか分からない。
純「姫、それ貸して?」
「これか?」
奇妙な料理が乗った皿を渡す。
純「はい、このまま食べていいよ。」
「え、あ、ありがと。」
どうやら殻・・・・殻なのかあれは。
とにかく食べやすいようにしてくれた。
やっぱり王子は優しい。
「----!!むっ、むむぅー!」
純「美味しいってこと?」
「むむむー!!」
純「あははっ」
な、なんすかこの食べ物はっ!?
なんとか伝えたい!
伝えたいんだが・・・
食に対するボキャブラリーが足りませぬ!
とにかく-----う・ま・い。
「こ、これが本物の和食!?知らなかった!」
純「大げさだなぁ。でも美味しいでしょ?」
「美味しいって言葉でまとめたらいけないような気がする。」
純「店の人が聞いたら喜ぶよ。」
クスクス笑いながらご馳走を綺麗に食していく王子。
慣れてるんだろうな、こういう店。
似合ってるし。
「これは?どうやって食べればいい?」
純「これはね-----」
純君に教えてもらいながら心行くまで料理を堪能した。
マジで---マジでマジで美味かった。
一生ありつけないかもしれん。
この感動を絶対に忘れまい。
純「そうだ。お酒飲む?」
「・・・日本酒、頂とうござる。」
純「いいねー。雰囲気にぴったり。」
「だろ?でさ。あっちで飲もう。」
指差した先。
縁側って言っちゃっていいのか?
それらしきとこ。
ちょっと寒いけど。
この雰囲気、思い切り堪能したいでしょー。
純「いいよ。でもちゃんと上着着てね。風邪引いたら大変。」
「えー。嫌だ。コート着て酒盛りなんて興醒めだ!」
純「もー、それじゃ寒くなったらちゃんと着るんだよ?」
「了解。」
時代劇に出てくるような酒が到着しました。
やばい。やばいっすよこのセット。
お盆に乗っけて庭の方へ向かう。
「うわぁ。やっぱ素敵だなこの庭。やば!月も出てんじゃん!」
純「ほんとだ。姫、寒くない?」
「大丈夫だ!寒さなんか感じません。」
純「それならいいけど。」
人それぞれ惹かれる物や雰囲気は違うんだろうが。
私は無性に日本風の空気に惹かれてしまうのだ。
前世も絶対日本人だな。
まぁ、お姫さんじゃないことは確かだけどな。
女性らしさが欠落し過ぎている。
良くて善良な農民Aってとこだろうか。
純「ここに座りなよ。」
「ありがと。」
木造の縁側にそのまま座りたかったのだが、それじゃ寒すぎだろということで座布団を拝借してきた。
「ではでは殿。ぐーっとやってくだされ。」
純「なにそれ。悪代官みたいじゃん!」
「あははー!確かに!」
時代劇の見すぎだな。
いかんいかん。
でも・・・
(なんだか落ち着くなぁ・・・)
白く消えていく息も
月明かりに薄暗く照らされる庭も
星がキラキラ輝く空も
全てが、綺麗だ。
(ジャーパニーズ万歳。)
とりあえずお猪口を上げて感謝した。
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