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「ぁッ--っ・・・ぅッ--」
「-----!」
「ふ、ぅ---っ・・・」
「・・・・・。」
一度出たら止まらないなんて良く言うけど、あれってほんとだ。
心が乗り移った涙は止めようと思っても止まらない。
次から次に飛び出してくる。
「茜・・・」
俊の動きが止まった。
興醒めしただろうか。
面倒臭い女だと思われただろうか。
でも・・・それでいいのかもしれない。
これ以上続けても傷つくだけだ。
それにこれ以上---
好きになるのが怖い。
「茜・・・」
「--っ、ぅっ・・」
「泣くなよ・・・」
「-------っ!!」
大きな手がフワリと頬を包んむ。
そして近づいてきた唇が目元に触れて・・
(えっ---?)
そのまま、優しく抱きしめられた。
「なっ---なに・・っ・・・」
「・・・・・。」
「・・ゃ、やだ----っ、ぅ・・」
「泣くな・・・」
(や、やめて・・・!)
どうして
どうしてそんなに優しく触れるの?
「・・・っ・・・・俊・・」
「・・・・・。」
直接感じる熱が心地いい。
まるで包まれているようでこのまま身を委ねたくなる。
でも、胸が苦しい。
だって分かってる。
どんなに体を重ねても
心が重なることはない。
「なぁ茜・・・」
「--ゃ-ッ・・・っ---」
「茜。」
「----ぅッ・・・」
「好きだ・・・」
・・・・
ぇ・・?
「・・・お前が幸せならそれで良かった。他の男のモノになってもいいと思った。」
「---。」
「でも・・・やっぱりムリだ。」
「ぇ・・・」
「あんなの見せられて・・・他のヤローとの幸せを願うなんてできねぇ。」
「・・・あ、あの---ぇ?」
(な、なに・・・・・・?)
あまりにも強く願いすぎて幻聴でも聞こえてるんだろうか。
だって・・・好き?
俊が?私を?
「好きだ、茜・・・」
「-----!」
耳元で響く掠れた声。
それは今にも消え入りそうなくらい弱々しくて
でも、はっきりと聞こえて---
(う、うそ・・・)
これは---夢なんだろうか。
悩みに悩みすぎて幸せな夢を見てるんだろうか。
でも重なる肌はとても温かくて
背中に回された腕は力強くて・・
「俊・・・っ」
もう、夢でもなんでもいい。
夢なら夢で覚めなければいいのにと思う。
「まぁ・・・今更こんなこと言われても困るよな。」
「っ、・・・」
「・・・泣くなよ茜。お前に泣かれるとどうしたらいいか分かんねぇ--」
「・・・ぅ、--」
俊の声は消え入りそうなくらい弱々しいけど・・
裏腹に私は----
嬉しくて嬉しくて涙が止まらない。
「好き・・」
「え?」
「私も---俊が好き・・・!」
そして嬉し過ぎて、堪らず言葉が飛び出した。
「・・す、き-----好き、っ・・・」
「・・・・・。」
「・・・、俊がっ・・好き----ぅ・・」
「・・・・・・え!?」
この時の俊の顔は
きっと一生忘れられない。
ガバッと体を起こし、私の顔を覗き込んでくる。
零れ落ちそうなくらい丸くなった目
暗がりでも分かるほどに上気した顔
少なくとも知り合ってからこんな表情見たことがない。
「え、と---」
「・・っ、・・・・、--」
「・・・茜・・・ずっと好きだった‥」
「--っ」
「俺と---付き合ってくれないか?」
まさか・・・
俊が私を好きでいてくれたなんて思ってもなかった。
まぁ、それはお互い様だったみたいだけど。
「---うん、・・」
あれだけ一緒にいたのに
あれだけ体を重ねたのに
お互いがお互いの心を知らなかったなんて
どれだけ鈍いんだよって思う。
しかもこんな形で知ることになるなんて・・・
「ねぇ、俊---」
「・・・なんだ?」
「・・・・抱いて」
「!」
-------なんて不器用な大人たち
「っ、ぁ----」
「・・・・っ」
「ゃ、ぁ----!」
「なぁ茜・・」
「ん---な、に・・・?」
「・・・アイツ、誰だ?」
「ぇ・・?」
「・・・さっき一緒にいたヤツ。」
「---同期。」
「あ?」
「さっき一緒にいた人、会社の同期だから。」
「--------へぇ。」
end
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