不器用な大人たち

不器用な大人たち007~Loveholic





「はぁ---はぁっ・・」





荒く呼吸を繰り返し、体の痙攣が治まるのを待つ。



息が苦しい
動悸もヤバイ

イくって、こんなにすごかったっけ・・・

久々の行為だからか、脱力感が半端じゃない。






「・・・エロい顔。」

「----っ・・」






目を細めからかい混じりに口角を上げる俊。

自分でやらかしたくせになんて白々しい・・・



でもそれに噛み付く元気は無い。



まだ1回イっただけなのに、もはや体を動かすことすらままならない。






「---痛ッ・・!」






突然、首筋に鈍い痛みが走った。


・・・キスマーク?

今まで着けたことあったっけ?
いや、なかったと思う。

その前にやめてよ。
首筋は隠すのが大変なんだから。






「やめ---」






いつの間にほどけたのか、両手が自由になってる。

全く力が入らないけどとりあえず「やめろ」の意味を込めて胸を押し返した。






「・・・まだ抵抗すんのか?」






少し体を起こして見下ろしてくる俊。


ぼんやりとした視界に映るその表情はさっきと同じ。

なぜか寂しそうに見える。


でも・・・






「当たり前、でしょ」

「・・・・・。」

「も、やめて---」

「・・・・・。」






気力を振り絞って睨みつける。


あんたはただヤりたいだけかもしれないけど・・

私は違う。


こんな気持ちで抱かれるなんて

そんなの・・・
そんなの耐えられない。






「・・・そんなにあの男が好きなのか?」

「・・え?」






(な、なに・・・?)






あの男って・・・また柴田?

そういえばさっきからヤケに柴田を気にするけど・・・






「・・・なんで。」

「・・・・・。」

「なんでそんなに気にするの?」

「-----。」






まさか、まさかだけど・・・嫉妬?

私が男性といたのを見てヤキモチやいてくれたとか?






(・・・バッカじゃないの。)






さすがにそんな都合のいい展開はないか。


いや、でもちょっと待って・・・

もしかして嫉妬は嫉妬でも-----あっちの方?

元セフレが男といるのが面白くなかったとか






「------っ!?」






突然、膝裏に滑り込んだ手が強引に足を開く。






そして、秘部に固い物を押し付けられた。






「え---ちょ---やめてっ!!」






挿れられる---






そう思うとビリビリと寒気が走った。






「ヤダっ、お願い---やめてっ!」

「・・・・・。」

「俊っ---ぁっ!」

「・・・・・。」






クチュクチュと音を立て、慣らすように自身を秘部に押し当てる俊。


このままじゃマズイ。

気だるい体を必死に動かし逃亡を図る。






(こんなの---いやだ!)






好きだから離れたのに

ケジメをつけるために終わらせたのに






「俊っ--やめてっ---!」






抱かれてしまったら逃げられなくなる。






どうしようもなく好きになって
忘れたいのに忘れられなくなって






報われることのない醜い感情に捕らわれて






傷つくだけの毎日から抜け出せなくな






「・・ぁ--ぁあッ---------っ!!」






一気に押し入ってきた質量に






頭の中が真っ白になった。






「は、---ぁっ・・・・ぁ」






呼吸もままならない圧迫感

そして頭が痺れるような至福の絶頂感

あまりの快感に下腹部がヒクヒクと痙攣する。






「・・・またイったのか?」

「---っ、ぁ・・」

「今日はヤケに感じやすいな。」

「・・・は・・ぁ、んっ!!」






ゆっくりと覆いかぶさり顔を近づけてくる。

そしてただでさえ持て余すソレを更に深く捻じ込んできた。






「もともと感じやすい体だったが・・・それだけじゃないだろ?」

「ぅ---ぁッ・・」

「あいつへの罪悪感のせいか?」

「・・・ぁ、っ・・」






(また----柴田?)






これはきっと---間違いない。






俊は嫉妬してる。

元セフレが男と一緒にいたのが気に食わなかったんだ。






「ぅ、あぁ・・・!!」






そんな悲しい事実に嘆く暇もない。


隙間なく入り込んだ俊がゆっくり引き抜かれる。

そしてまた、壁を押し開くように入ってくる。






「待っ--まだ・・・動いちゃ--!」






体を揺さぶる激しい律動。

イッたばかりの体には刺激が強すぎる。






「ゃ、ぁ、んっ--!」






奥深くを狙って何度も突き入れられるソレ。


あまりの激しさに軽く意識が飛びそうなくらい辛い。

なのにすぐにでも達してしまいそうなくらい気持ちいい。






「ゃ、ぁっ---嫌----っ」

「嫌じゃ、ねぇだろ--」

「---っ・・!」






嫌---なわけない。





だって好きな男に抱かれてるんだ。
嫌だなんて思うわけがない。





でも・・・






(---俊・・・・・・)






私たちが恋人同士だったらどんなに良かっただろう

この逞しい体に腕を回し「好きだ」と言い合えたならどんなに幸せだっただろう






でも、それは叶わない。






(もう----イヤだ・・)






悔しい・・・

悔しくて堪らない。






けど






涙を止めることが出来なかった。