不器用な大人たち

不器用な大人たち005~Loveholic





「な、何するつもり!?」

「何って・・・抱かせろ。」

「なっ--!バカなこと言わないで!」

「・・・・・。」

「私はもう---俊とはできない!!」

「-----。」






ピタリ、と俊の動きが止まった。



お願いだから-----勘弁して。



今体を重ねてしまったら・・・

間違いなく忘れられなくなる。
心が壊れてしまう。





「悪いけど・・・溜まってるなら他を当たってよ。」

「・・・・・。」

「とにかくコレを外し」

「そんなにあいつがヨかったのか?」

「---は?」

「俺じゃ満足できないってことかよ。」

「え・・・」

「それで?心まであの男に奪われたのか?」

「・・・・・。」





何を・・・言ってるの?


もしかして・・・
柴田を新しいセフレとでも勘違いしてるんだろうか。






「・・・許せねぇな。」

「---!」






まるで怒りがにじみ出るような低い声。






そして隙を突くように






顔が近づいた。






「ちょ---待っ・・!」






とっさのことに抵抗はおろか
避けることすらできなくて






「ん---っ!」






気付けば懐かしい熱が唇を塞いでた。






「・・ゃっ!」

「・・・・。」






強引に差し込まれる熱い舌。

咄嗟に顔を逸らす。

でも、まるで逃がさないとでも言うように大きな手にうなじを引き寄せられた。






「--やめ・・・・・んぅっ!」

「・・・・。」






悔しい・・・

悔しい---!





一方的に押し付けられてる行為なのに





唇の感触が懐かしくて
時々漏れる吐息が嬉しくて





ダメだと分かっているのに






体中が震えてしまう。






(俊・・・っ)






やっぱり、私はこの人が好きだ。






こんな状況で

しかも強引に組み敷かれているとしても






この人が欲しい

この人に抱かれたい






そう願ってしまう






「ゃ---やめっ--!」






でも・・・

それでもやっぱり受け入れるわけにはいかない。






だって俊にとってこれはただの性欲処理。

今触れているのが私だろうが別の女だろうが同じこと。

欲を満たすために女を抱く。






でも私は違う。






触れるたびに、触れられる度にどんどん好きになる。

叶わないと分かっていても愛して欲しいと願ってしまう。






(そんなの、辛すぎる・・・)






結局、心の通わない体の重ね合いは






自分を苦しめるだけ。






「---ぁッ・・!」






そんな私の心なんか知る由もなく

止めるどころかますます繋がりを深めていく俊。






「逃げるな・・・」

「----ッ!」






せめて顔を逸らしたいのに
やっぱり力じゃ敵わない。





(ヤバ、イ・・・・!)





呼吸まで奪いつくすような激しいキス。





口内を犯す舌の熱に溶かされてしまったのか
それとも単に酸欠でクラクラしてるのか





体の力が抜けていく・・・






「・・・ゃ、ダメッ---んぅっ--!」






胸元に伸びた指がプツン、とボタンを外し始めた。

慌てて身を捩る。

が、無駄な抵抗だとでも言うようにキスが深くなった。






「ん---んーっ!」






フロントを開かれ、大きな手が包み込むように腰を撫でる。

そして肌の感触を楽しむように、ゆっくりと上へ移動していく。






「ぇ---?ゃ---待っ--!」






なんか--変だ。




だってただ肌に触れられてるだけなのに、なんで?

体の芯がジワリジワリと疼いてしまう・・・






(やだ----ダメなのにっ-----!)






--やめて欲しい
--もっと触れて欲しい

まさに正反対の気持ちが焦りを煽る。






「--ゃ、め・・・・ぁッ!」






でも、考える時間すら与えないつもりなのか。






背中に回った手がプツリと下着のホックを外した。






そしてまるで飢えた獣のように

俊の指が胸に食い込んだ。