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-----孝-----
「・・・はぁ。」
人ごみから抜け出して会場の外のベンチに避難してきた。
どうもざわつきは苦手だ。
「はぁ。」
ため息しか出ない。
(ムカつく・・・)
どうも気分が優れない。
原因?
そんなの決まってる。
---有希が付き合ってた奴
ただでさえ面白くない存在。
その上、有希のあの態度・・・
あの男が昔の嫌な思い出に関わってるのは間違いない。
(まさか・・・)
あいつが有希に乱暴したわけじゃねぇだろうな・・・
それはないか。
彼氏だったんだからな。
(彼氏、ねぇ・・・・・)
・・・イライラする。
できることならあの男を締め上げて全部吐かせてやりたかった。
あいつが口にした『美咲』って奴のことも知りたい。
有希を苦しませた奴らは全て
調べ上げてとっ捕まえて
めちゃくちゃにしてやりてぇ・・・
「あー、やっぱり孝だ。」
「!」
不意に、後ろから間抜けた声が飛んできた。
「・・・・有希。」
有「人ごみがキツくてさ、抜け出してきちゃったよ。」
「・・・・・・。」
有「もしかしてお前も?」
へらっと笑いながら隣に座ってきた。
ちゃっかり飲み物とつまみを持参している。
用意周到だな。
「・・・少しくれ。」
有「いいぞ、ほら。」
ニッコリ笑ってグラスを差し出してきた。
「----!」
触れた指が---
すっげぇ冷たい。
(こいつ・・・)
グラスをベンチに置いて、肩を引き寄せた。
有「----っ、え!?」
顔を首筋に埋めてみる。
更に肩を引き寄せると・・・
やっぱり、体が冷てぇ。
「温かいだろ。」
有「そそそうですね!----じゃなくて!離れろバカ!」
「・・・チッ」
有「舌打ちすんな!」
バタバタと暴れ出す有希。
大人しくしてればいいものを・・・
相変わらずな反応にため息が出る。
「着てろ。」
とりあえず上着を着せた。
このままじゃ確実に風邪を引く。
有「えっ!?い、いいって!すぐ中に戻るから!」
「黙って着てろ。」
有「こ、こら!」
「いつから外にいんだよ。」
有「!」
正にギクッと顔を強張らせる有希。
この体の冷え、今出てきたって冷たさじゃねぇ。
ずいぶん前から外にいたに違いない。
有「・・・・・お前はエスパーか。」
「大人しく羽織ってろ。」
有「・・・・・サンキュ。」
俺の上着にすっぽりと包まれる有希。
照れてるのか、軽く俯いて手をモジモジ始めやがった。
なんとも可愛い反応だと思う。
「好きな女に自分の服。いいもんだな。ロマンか?」
有「・・・・なんで疑問形なんだよ。ていうかロマンってなんだ。」
「家に帰ったら他の服も着てみろ。」
有「嫌だ。」
「なぁ。」
有「なんだ?」
「・・・・・・悪かった。」
有「え?いや別に謝るほどのことじゃ・・・」
服のことじゃねぇ。
お前に、謝らないといけないことがある。
「・・・さっきは悪かった。お前が悩んでること・・・無理に話す必要はねぇ。」
まぁ、さっきの話だな。
知りたくないかと聞かれれば知りたいと答える。
だがそれは俺の都合。
有希がそれを望んでいるかは別の問題だ。
(え・・・)
・・・なんでだ。
有希の目が丸くなった。
有「なんだ・・・・そんなこと気にしてたのか。やっぱりお前は優しいな。」
「-------。」
有「ちゃんと話そうって、本当にそう思ったんだ。」
「・・・・・・。」
有「前から思ってたことでもあったし・・・お前に言われて仕方なくとかそんなんじゃない。だから謝るな。」
「・・・そうか。」
有「そうだ。」
真っ直ぐ見つめ返してくる強い視線。
無理強いしてしまったかと思ったが・・・
お前がいいっていうなら-----それでいい。
それにしても
俺の服を着て
そんな目で見上げて
・・・煽ってんのか?
「お前、やっぱり可愛いな。」
有「は?」
「今はちゃんと女だな。」
有「なな、なんだよ急に!」
忙しい奴だ。
わたわたと焦り出す有希。
まぁ、その様子もなかなか可愛いと思う。
「ライブでは客の半分がお前は男だと思ってたみたいだな。まぁ、あの格好じゃ仕方ねぇか。」
有「・・・思い出させるな。」
「ショックだったのか。」
有「軽ーーーくショックだった!」
今度はふて腐れやがった。
有「掲示板見たときも少数なら仕方ねぇと思ったんだけどな?さすがに二人に一人が勘違いってどうよ。確率高すぎだろ。」
「確かに。」
有「まぁいいや。とりあえず私は女なんで、お前は間違えないで下さいよー。」
「・・・・・・。」
おかしそうにケラケラ笑う有希。
ていうか俺が間違えるわけねぇだろ。
「・・・・・・。」
グラスを傾け酒を煽る。
そして唇をぺろりと舐める。
これはこいつの癖だ。
そして俺は
この仕草に-----弱い。
有「-----!」
濡れる唇。
その無防備なソレに、軽くキスした。
有「----っ?!」
「お前は、可愛い。」
有「なななななに言ってんだ!てかこんなとこでキキっっキスすんな!」
キスって言葉もまともに言えねぇのかよ。
どこまでカワイイ反応なんだこいつは。
「キスしたかった。仕方ねぇよ。」
有「なんだその理由は!さすが俺様!」
「そういうことにしておいてやる。」
有「う、うわ!その返し・・・最強じゃねぇか!」
「俺は最強だ。さっさと惚れろ。」
有「・・・お前との問答には勝てる気がしねぇ。」
「当たり前だろ。」
有「・・・ぷっ!」
一瞬膨れっ面になったが、すぐに笑った。
ほら見ろ、やっぱ可愛いじゃねぇか。
楓「あー!こんなとこにいたぁ!相変わらず人ごみ苦手なんだから!」
有「あ、見つかった。」
楓「見つかったじゃない!すっごい探したんだからね。皆が呼んでるよ。」
有「そっか。じゃぁそろそろ行くかな。孝も行こう。風邪引いちまう。」
「・・・あぁ。」
もう少し可愛いこいつを見ていたかったが・・・
仕方ねぇな。
有「上着、ありがと。」
「着ててもいいぞ。」
有「中に入るから大丈夫だ。サンキューな。」
「あぁ。」
(・・・・・・。)
返してもらった上着は有希の臭いがして
酔いそうになる。
「・・・はぁ。」
人ごみから抜け出して会場の外のベンチに避難してきた。
どうもざわつきは苦手だ。
「はぁ。」
ため息しか出ない。
(ムカつく・・・)
どうも気分が優れない。
原因?
そんなの決まってる。
---有希が付き合ってた奴
ただでさえ面白くない存在。
その上、有希のあの態度・・・
あの男が昔の嫌な思い出に関わってるのは間違いない。
(まさか・・・)
あいつが有希に乱暴したわけじゃねぇだろうな・・・
それはないか。
彼氏だったんだからな。
(彼氏、ねぇ・・・・・)
・・・イライラする。
できることならあの男を締め上げて全部吐かせてやりたかった。
あいつが口にした『美咲』って奴のことも知りたい。
有希を苦しませた奴らは全て
調べ上げてとっ捕まえて
めちゃくちゃにしてやりてぇ・・・
「あー、やっぱり孝だ。」
「!」
不意に、後ろから間抜けた声が飛んできた。
「・・・・有希。」
有「人ごみがキツくてさ、抜け出してきちゃったよ。」
「・・・・・・。」
有「もしかしてお前も?」
へらっと笑いながら隣に座ってきた。
ちゃっかり飲み物とつまみを持参している。
用意周到だな。
「・・・少しくれ。」
有「いいぞ、ほら。」
ニッコリ笑ってグラスを差し出してきた。
「----!」
触れた指が---
すっげぇ冷たい。
(こいつ・・・)
グラスをベンチに置いて、肩を引き寄せた。
有「----っ、え!?」
顔を首筋に埋めてみる。
更に肩を引き寄せると・・・
やっぱり、体が冷てぇ。
「温かいだろ。」
有「そそそうですね!----じゃなくて!離れろバカ!」
「・・・チッ」
有「舌打ちすんな!」
バタバタと暴れ出す有希。
大人しくしてればいいものを・・・
相変わらずな反応にため息が出る。
「着てろ。」
とりあえず上着を着せた。
このままじゃ確実に風邪を引く。
有「えっ!?い、いいって!すぐ中に戻るから!」
「黙って着てろ。」
有「こ、こら!」
「いつから外にいんだよ。」
有「!」
正にギクッと顔を強張らせる有希。
この体の冷え、今出てきたって冷たさじゃねぇ。
ずいぶん前から外にいたに違いない。
有「・・・・・お前はエスパーか。」
「大人しく羽織ってろ。」
有「・・・・・サンキュ。」
俺の上着にすっぽりと包まれる有希。
照れてるのか、軽く俯いて手をモジモジ始めやがった。
なんとも可愛い反応だと思う。
「好きな女に自分の服。いいもんだな。ロマンか?」
有「・・・・なんで疑問形なんだよ。ていうかロマンってなんだ。」
「家に帰ったら他の服も着てみろ。」
有「嫌だ。」
「なぁ。」
有「なんだ?」
「・・・・・・悪かった。」
有「え?いや別に謝るほどのことじゃ・・・」
服のことじゃねぇ。
お前に、謝らないといけないことがある。
「・・・さっきは悪かった。お前が悩んでること・・・無理に話す必要はねぇ。」
まぁ、さっきの話だな。
知りたくないかと聞かれれば知りたいと答える。
だがそれは俺の都合。
有希がそれを望んでいるかは別の問題だ。
(え・・・)
・・・なんでだ。
有希の目が丸くなった。
有「なんだ・・・・そんなこと気にしてたのか。やっぱりお前は優しいな。」
「-------。」
有「ちゃんと話そうって、本当にそう思ったんだ。」
「・・・・・・。」
有「前から思ってたことでもあったし・・・お前に言われて仕方なくとかそんなんじゃない。だから謝るな。」
「・・・そうか。」
有「そうだ。」
真っ直ぐ見つめ返してくる強い視線。
無理強いしてしまったかと思ったが・・・
お前がいいっていうなら-----それでいい。
それにしても
俺の服を着て
そんな目で見上げて
・・・煽ってんのか?
「お前、やっぱり可愛いな。」
有「は?」
「今はちゃんと女だな。」
有「なな、なんだよ急に!」
忙しい奴だ。
わたわたと焦り出す有希。
まぁ、その様子もなかなか可愛いと思う。
「ライブでは客の半分がお前は男だと思ってたみたいだな。まぁ、あの格好じゃ仕方ねぇか。」
有「・・・思い出させるな。」
「ショックだったのか。」
有「軽ーーーくショックだった!」
今度はふて腐れやがった。
有「掲示板見たときも少数なら仕方ねぇと思ったんだけどな?さすがに二人に一人が勘違いってどうよ。確率高すぎだろ。」
「確かに。」
有「まぁいいや。とりあえず私は女なんで、お前は間違えないで下さいよー。」
「・・・・・・。」
おかしそうにケラケラ笑う有希。
ていうか俺が間違えるわけねぇだろ。
「・・・・・・。」
グラスを傾け酒を煽る。
そして唇をぺろりと舐める。
これはこいつの癖だ。
そして俺は
この仕草に-----弱い。
有「-----!」
濡れる唇。
その無防備なソレに、軽くキスした。
有「----っ?!」
「お前は、可愛い。」
有「なななななに言ってんだ!てかこんなとこでキキっっキスすんな!」
キスって言葉もまともに言えねぇのかよ。
どこまでカワイイ反応なんだこいつは。
「キスしたかった。仕方ねぇよ。」
有「なんだその理由は!さすが俺様!」
「そういうことにしておいてやる。」
有「う、うわ!その返し・・・最強じゃねぇか!」
「俺は最強だ。さっさと惚れろ。」
有「・・・お前との問答には勝てる気がしねぇ。」
「当たり前だろ。」
有「・・・ぷっ!」
一瞬膨れっ面になったが、すぐに笑った。
ほら見ろ、やっぱ可愛いじゃねぇか。
楓「あー!こんなとこにいたぁ!相変わらず人ごみ苦手なんだから!」
有「あ、見つかった。」
楓「見つかったじゃない!すっごい探したんだからね。皆が呼んでるよ。」
有「そっか。じゃぁそろそろ行くかな。孝も行こう。風邪引いちまう。」
「・・・あぁ。」
もう少し可愛いこいつを見ていたかったが・・・
仕方ねぇな。
有「上着、ありがと。」
「着ててもいいぞ。」
有「中に入るから大丈夫だ。サンキューな。」
「あぁ。」
(・・・・・・。)
返してもらった上着は有希の臭いがして
酔いそうになる。
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