「------んだこりゃぁぁぁ!!」
ふと、カーテンから射し込む光で目が覚めた。
地味に眩しい。
ていうか今何時だ…?
「ふぁ…」
なかなか覚醒しない頭を引きずり洗面所へ。
寝ぼけ眼で鏡の前の自分と睨めっこ。
うがいしてバシャバシャと顔を洗って
そして…
「!?」
無理やり覚醒した。
「------んだこりゃぁぁぁ!!」
ドバっと思い出される昨日の出来事。
もちろんこんなことやらかした元凶なら分かってる。
ダダダダッ!!
勢い良くリビングに駆け込みブンブンと辺りを見回す。
ターゲット------発見!
再びダッシュ&そいつの胸ぐらを掴み上げ
そして---
『っってぇぇっ!!』
思い切り頭突きをかましてやった。
累「ず、頭突き!」
純「姫!!頭割れちゃうよ!」
真「朝からうるせぇなぁ。」
孝「・・・眠ぃ。」
今日は珍しく朝から全員揃ってんだな。
土曜だからか?
皆さんお休みなのか?
いやそんなことはどうでもいい。
「このっ----アホ要!!てめぇなんだこれはっ!!?」
要「何って・・・」
私の前には頭を抱える要ちゃん---
いや!
何が『ちゃん』だ!
こんな奴、呼び捨てで十分!
名前を呼んでもらえるだけありがたいと思え!
「これだこれっっ!!!」
片手で要の胸ぐらを掴み上げ
もう片方の手で自分の首筋を指差す。
要「何って・・・キスマークに決まってるでしょ。」
「当然のように言うんじゃない!この変態が!!」
要「何言ってんの。自分のモノにシルシをつけるのは当然のことでしょ。」
「「「--------。」」」
居合わせた男共が要を睨む。
そうだ、視線で殺っちまえ!
孝「誰が誰のモノだと?」
要「だからぁ、有希ちゃんは俺の---」
まだ言うかこいつは!
要「いってぇーーー!」
もう一発食らわせた。
なんのつもりだこの変態は!
「全く・・・・ふざけんなよ!どうなってんだここの連中は!軽々ホイホイちょっかい出してきやがって!」
「「「・・・・・・・・・・・・。」」」
「もしやこれが・・・これが管理人いびりなのか!?」
「「「・・・・・・・・・・・・。」」」
「ま、まさか純くんも?純くんも同類なのか?そうなんだな!?私の味方はもういねぇんだな!?」
朝から衝撃的な紅い痕を見て激しくパニクる自分。
だって---冷静でなんかいられるか!
純「俺はこいつらみたいな節操無しじゃないよ?姫のことは好きだけど。」
「そ、そうか!信じてるからな!友情を!!」
純「ゆ、友情?」
要「ぷっ!!友情?さすが有希ちゃん。"超"がつく無自覚ちゃんだねぇ。」
この猫被りヤロー。
変態のくせに人をバカにしてんじゃねぇ!
「黙れ変態。人のことを鈍チンみたいに言うんじゃねぇよ。鋭いぞ?ギラギラしてんぞコラ!」
真「チッ・・・とにかくそいつは不愉快だ。おい有希こっちに来い。俺が上から消してやる。」
孝「引っ込んでろ真樹。俺がやる。」
「てめぇらは黙ってろ!!!」
真・孝「・・・・・・・。」
累「ムカつく。」
ムカついてんのは私だ、累。
「はぁ・・・とにかくてめぇら、これ以上私で遊ぶのはヤメロ。」
マジでリアルに勘弁してくれ。
私は君達のオモチャじゃありません。
仕事らしい仕事はなんもしてねぇが、私は一応ここの管理人様だ。
「いいかお前ら良く聞け--今後一切私のことを女子と思うな!」
「「「・・・・・・・・・・・・。」」」
「私はてめぇ等のちゅーマシーンになるつもりは更々ねぇ!ちょっかい出すなら自分の女に出せ!いいな!!」
ビシッ!とポーズを決めてヤロー共を指差す。
カッコ良く決まった。
「返事しろ!!!」
「「「・・・・・・・・・。」」」
返事無し。
くそ、反省のはの字も見えやしねぇ。
累「自分の女に出せって言われても・・・」
純「え、お前ら彼女いたの?」
要「いないよ。」
真「言うまでもない。」
孝「彼女?特定の女ってことか?」
「・・・・・・・・。」
不思議な顔してお互いを確かめ合う男共。
なんだか私がおかしいことを言ってるような錯覚に陥ってしまう・・・
でも違いますよ皆さん。
私が至って正常です!
ていうか・・・
「お前らまさか・・・・そんなテクニシャンのくせに彼女の一人もいねぇのか?」
要「テクニシャン・・・」
孝「女ならお前らもいるだろ。」
「そ、それだよ孝君!私が言いたかったのは---」
真「お前が言ってんのは夜だけ付き合う女だろうが。」
孝「そうだが?」
そうだが?じゃねぇ!
そりゃ特定の女じゃなくて不特定多数の中の一人の女だ!
ちょっと待てちょっと待て。
一体なんなんだこの白けた空気は・・
「まさかお前ら・・・一人も---彼女無し?え、シングル?オールフリーなわけ?」
「「「そうだ。」」」
「・・・・・・。」
(・・・・・・ぷっ)
「ふっ・・・・・ふははははは!サミシー奴らだなぁおい!いい年こいて体だけの女しかいねぇのかよ!」
これは笑える。
せっかくのイケメン揃いなのになぁ。
でもまぁデリカシーのない奴らだから。
うんうん、納得。
「お前らにとってはそっちの方が楽なのかもしれないけど。そういう付き合いって寂しくねぇの?」
「「「・・・・・・・。」」」
「ま、いいや。人それぞれだしな。でもいつか本気になれる女が見つかるといいな!ファイト!」
全員揃って眉間にシワ寄せやがった。
多分意味分かってねぇんだろうな。
ある意味可愛そうだ。
人として同情する。
(ま、いいや。私には関係ねぇ…)
なんだか朝からどっと疲れた。
さっさと部屋に戻ろう。
「あ、そういや今日は外出なんで。夕飯までには戻る。」
真「出かけんのか?」
「あぁ。」
累「送ろうか?」
「いや、いいよ。そうだ遼って覚えてるか?あいつに用があってな。迎えに来てもらう。」
孝「遼・・・」
「おっとやべぇ、時間ねェや。-----っと話しが逸れたが。」
階段を上りきったところで振り返る。
「てめぇら、軽ノリはやめろよ!」
そう言い放ち、バタンとドアを閉めた。
累「女だと思うなだって・・・」
要「あいつ、自分のこと男だと思ってんじゃね?やだやだ性質悪ーい。」
純「お前にだけは言われたくないね。」
真「遼、か…」
孝「…見てみてぇな。」
「「「・・・・・・・・。」」」
・・・サミシー奴ら(完)