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「------なんだよ。」
晋「・・・?」
「----なんだよ、それ。」
マジで・・・
なんなんだよ。
「・・・やめてくれよ。」
病院では忍から助けてくれたり
心配してわざわざ会社にまで来てくれたり
今日のこいつには---
感謝してもしきれないことばかりだ。
でも---
でもこれ以上
「-----優しくするな。」
胸の奥に隠し込んできたモノがザワザワする。
そんな危うい緊張感に、握りしめた拳が小さく震え出す。
こいつの優しさには、感謝してる。
でもこれ以上は・・・
いらない。
私とお前との間に
これ以上の温かさは必要ない。
「・・・私とお前の関係は、ただのゲームだろ。」
晋「・・・・・・。」
「それとも-----勝つためならなんでもやるのか?」
晋「・・・・・・。」
晋がこっちを見た気配を感じた。
なんて失礼なヤツだとでも思ったか?
そりゃ私だって、優しさを向けてくれた相手に向かってなんて感じの悪いヤツだと思う。
でも今は許してくれ。
悪態でも投げつけてないと平静を保っていられない。
「そ、そもそもお前は優しい王子キャラじゃないだろ。」
晋「・・・・・・。」
「むしろ-----アレだ!弱った獲物を無慈悲に狩るハンタータイプ!」
晋「・・・・・・。」
「それともたまには気分転換したかったとか?それならまぁ・・・付き合ってやってもいいぞ、仕方なく。」
晋「・・・・・・。」
晋の顔なんか見れやしない。
固く握りしめた自分の拳を凝視する。
我ながらなんてグダグダな振りかと思う。
だが乗って来い、晋。
---余計なお世話だ。
---今日は王子の気分なんだ。
なんでもいいから打ち返せ。
お前ならやれる!
ドーンと受け止めてやる!
そして終わらせよう。
この微妙な空気を。
そして戻ろう。
いつもの私たちに!
晋「・・・・・・透。」
「------、・・・」
晋「守るって、言っただろ。」
「------、ぇ?」
(-----な・・・に?)
・・・なん、だって---?
晋「お前は俺が守る。何度も言わせるな。」
「-----っ!」
不意に、腕を強く引き寄せられた。
自然、反射でヤツを見上げてしまう。
(な------っ)
さっきの優しい心遣いはどこ行った。
無遠慮に奪われる視線
ギラギラと光るソレはまるで狩人・・・
いや、もはや獣の目だ。
なのに---
(------く、そ・・・!)
なんで---
なんでその目を
『優しい』と感じてしまう?
昼間あんなことがあったからか?
いつもよりちょっと弱ってるからか?
確かに・・・今の私の心にゆとりがあるとは言えない。
だがこいつの獣の眼に救いを求めるほど傷だらけではないはずだ。
だから-----頼む。
「・・・ば、ばっかじゃねーの!」
もう、やめてくれ---
「お前になんか守ってもらわなくたって-----私は-----!」
これ以上優しくするな
これ以上---
私の中に入ってくるな----!
「私は-----私はそんなに弱くない!」
目を反らしたら負けるような気がして
ガッツリと晋の視線を掴んで言い放った。
晋「・・・・・・。」
「----------」
晋「・・・・・・はぁ」
「----、っ」
晋「・・・素直じゃねぇ女。」
「っ!」
-----ドク、ンッ
出てきたのは皮肉めいた言葉。
だがその言葉とは裏腹に
それはそれは柔らかな笑みを浮かべやがった晋。
目の前で見せつけられた予想外の反応に
そして再び向けられてしまった優しさに
心臓が、ドカンと跳ねた。
晋「まぁ、それもお前らしいけどな。」
柔らかな笑みはそのまま
まるで愛おしいものにでも触れるようにふわりと頬を撫でてくる。
(ちょ----待って・・・)
まるで祭りで暴れる太鼓。
心臓の音が・・・
耳から聞こえそうなくらい-----でかい。
「なん---だよ・・・」
一体・・・なんで・・・
「なんでお前-----こんなに、優しくすんだよ・・・」
こいつ、本当に晋か?
出会った頃のゴーイングマイウェイ俺様野獣のお前はどこへ行った・・・
晋「優しい?俺が?」
フッと視線を上げて考え込む晋。
そして---
「なんでだろうな。分かんねぇ・・・」
真剣な顔で、首を傾げた。
(お、おいおい・・・)
---私へ向ける優しさの理由が分からない
それはつまり
---こいつが向けてくる優しさにウソはない
そう証明されているようで・・・
「・・・・・・。」
なんか・・・ヤバい。
次に何を言えばいいか
分からない。
「・・・・・・・・・。」
なんか、ヤバい。
なんだか嬉しいような・・・
でも素直に喜んでいいのか分からなくて
頭の中が---
ぐちゃぐちゃだ。
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