スポンサーリンク
(そうだよなぁ・・・・)
確かに、苦しかった。
そしてお前は----
ずっと傍にいてくれたもんな。
そう、あの時も
お前が来てくれた。
遼「お前が許しても-----俺は絶対あいつを許さねぇ!!」
普段は掴み所なく飄々としてる遼。
こんなに怒りを顕わにするこいつは初めて見る。
(心配・・・してくれてるんだな・・・)
私はもう、何に怒りをぶつけたらいいのか分からない。
だからこそ代わりに怒ってくれることが
不謹慎だけど、嬉しい。
こんな時に嬉しいだなんて・・・
大バカヤローだな私は。
だけどそれと同じくらい
幸せなヤツだ。
「あいつを許したわけじゃない。ただ・・・もういいんだ。」
遼「・・・どういう意味だよ。」
「さっきも言ったけどさ、私は今、なかなか幸せなんだよ。それだけで十分なんだ。」
遼「・・・・・・。」
「だから報復したいとか怒りをぶつけたいとか、そんなことはかけらも思ってねぇ。」
遼「--------。」
心からそう思ってんだよ、遼。
だからそんな顔すんな。
それに---
「それに・・・」
遼「・・・?」
「お前らを巻き込むのだけは----絶対嫌だ。」
遼「!」
あんな思いをするのは・・・もう二度とごめんだ。
掘り返して追求して深入りしたら・・・
また同じことの繰り返しが待ってる気がする。
そんなの嫌だ。
お前も皆も、絶対巻き込みたくない。
「・・・それは、”俺達に事情を聞くな”。」
「!」
「そう言ってるのか?」
「・・・・・・。」
声の主は、孝。
真っすぐ向けられる視線が痛い。
(・・・ごもっともな疑問だよな。)
要も真樹も孝も、そして純君も累も
こんなどうしようもない私を「守る」と言ってくれる。
そしていい加減、自分でも気付いてんだ。
こいつらの前で乙女のように泣いたり
安心感を求めて手を伸ばしてしまったり
私は無意識のうちに
皆を頼ってしまっている。
停電の件
クソガキの件
どう見ても私の反応は、異常。
こいつらだってバカじゃない。
何かあることくらいとうの昔に気付いてる。
もし逆の立場だったら?
私なら強引に聞き出そうとしてるかもしれない。
それなのに、何も聞かずにただ「守る」と言ってくれる皆。
それに対して何も話さず、皆に頼るだけの私は
・・・ズルイ。
「少し・・・時間をくれないか?」
孝「・・・・・・・・・・。」
「私にとって・・・簡単に話せることじゃないんだ。」
遼「---っ」
「お前らが本気で傍にいてくれてるって分かってる。だから私も-----ちゃんと話すから。」
孝はいつも、真っすぐ見つめてくる。
だからだろうか。
嘘や曖昧で応えたらいけないような気持ちになる。
孝「・・・分かった。」
「・・・ありがと。」
(はぁ・・・)
最近、立て続けに事件が押し寄せてくる。
ガキの件
モテ期の件
そして薫の件
なんだかなぁ・・・
とにかく、疲れた。
スポンサーリンク