ライブ・本番!

ライブ・本番! 10 SAKURA∞SAKU second





(そうだよなぁ・・・・)






確かに、苦しかった。

そしてお前は----

ずっと傍にいてくれたもんな。






そう、あの時も






お前が来てくれた。






遼「お前が許しても-----俺は絶対あいつを許さねぇ!!」






普段は掴み所なく飄々としてる遼。

こんなに怒りを顕わにするこいつは初めて見る。






(心配・・・してくれてるんだな・・・)






私はもう、何に怒りをぶつけたらいいのか分からない。

だからこそ代わりに怒ってくれることが





不謹慎だけど、嬉しい。





こんな時に嬉しいだなんて・・・

大バカヤローだな私は。

だけどそれと同じくらい





幸せなヤツだ。






「あいつを許したわけじゃない。ただ・・・もういいんだ。」

遼「・・・どういう意味だよ。」

「さっきも言ったけどさ、私は今、なかなか幸せなんだよ。それだけで十分なんだ。」

遼「・・・・・・。」

「だから報復したいとか怒りをぶつけたいとか、そんなことはかけらも思ってねぇ。」

遼「--------。」






心からそう思ってんだよ、遼。

だからそんな顔すんな。

それに---






「それに・・・」

遼「・・・?」

「お前らを巻き込むのだけは----絶対嫌だ。」

遼「!」






あんな思いをするのは・・・もう二度とごめんだ。

掘り返して追求して深入りしたら・・・

また同じことの繰り返しが待ってる気がする。

そんなの嫌だ。

お前も皆も、絶対巻き込みたくない。







「・・・それは、”俺達に事情を聞くな”。」


「!」


「そう言ってるのか?」

「・・・・・・。」






声の主は、孝。

真っすぐ向けられる視線が痛い。






(・・・ごもっともな疑問だよな。)






要も真樹も孝も、そして純君も累も

こんなどうしようもない私を「守る」と言ってくれる。






そしていい加減、自分でも気付いてんだ。






こいつらの前で乙女のように泣いたり

安心感を求めて手を伸ばしてしまったり






私は無意識のうちに






皆を頼ってしまっている。







停電の件

クソガキの件






どう見ても私の反応は、異常。






こいつらだってバカじゃない。

何かあることくらいとうの昔に気付いてる。

もし逆の立場だったら?

私なら強引に聞き出そうとしてるかもしれない。






それなのに、何も聞かずにただ「守る」と言ってくれる皆。






それに対して何も話さず、皆に頼るだけの私は







・・・ズルイ。







「少し・・・時間をくれないか?」

孝「・・・・・・・・・・。」

「私にとって・・・簡単に話せることじゃないんだ。」

遼「---っ」

「お前らが本気で傍にいてくれてるって分かってる。だから私も-----ちゃんと話すから。」






孝はいつも、真っすぐ見つめてくる。

だからだろうか。

嘘や曖昧で応えたらいけないような気持ちになる。






孝「・・・分かった。」

「・・・ありがと。」






(はぁ・・・)






最近、立て続けに事件が押し寄せてくる。

ガキの件
モテ期の件
そして薫の件





なんだかなぁ・・・






とにかく、疲れた。