--真樹--
(要のヤツ、何考えてやがる・・・)
先日ここで有希を苛めてから
他の女と遊んでいても何故か満たされなくなった。
有「あれ真樹、グラス空だぞ?お前もこれ飲むか?作ろうか?」
「あぁ。」
---面白くない
その原因は恐らくこの女、有希。
こいつは非常に面白いオモチャだ。
艶かしい大人の付き合いをするより、今はこいつと遊んでる方が楽しい。
何故かそう感じてしまう。
有「ほらよ。」
「サンキュ。」
それにしても…
なんで要がいやがるんだ?
有「要ちゃんは?いるか?」
要「んー、俺はまだいらない。」
有「そ。」
家にいるとき、そして現在進行で明らかに猫被ってやがる要。
普段のこいつと違いすぎて正直気持ち悪い。
こいつまさか…
狙うつもりなのか有希のこと。
要「そういえば有希ちゃん。累が今週末有希ちゃんの歓迎会やろうって言ってたよ。」
有「歓迎会?今更?」
要「そういえば今更だな。もう大分経つしねぇ。」
有「そうだなぁ。もう大分経つよなぁ。」
なんだお前ら。
なんでそんなにまったりしてるんだ。
要「もう決定って言ってたから。今週末は飲みに出ないでね。」
有「そっか。分かった。」
要「真樹も。」
「あ?」
なんで。
要「有希ちゃんの歓迎会だぞ。お前も参加決定だろ。」
あぁ、こいつは管理人として来てたんだったな。
すっかり忘れてた。
有「要ちゃん言うだけムダムダ!真樹様は協調性ってモンを持ってらっしゃいませんからな。あ、多分孝様も。」
仁「有希さん刺激しないで!」
それでひそひそ話してるつもりか?
ばっちり聞こえてるんだが。
「聞こえてるぞ。」
有「え?何か聞こえたか?」
「…俺を誉めてるのが聞こえた。」
有「へぇ、いい耳持ってんなぁ。」
イタズラ小僧かお前は。
ニヤニヤしながら下から覗き込んできやがった。
(これだ、この顔…)
この顔を向けられると、こう・・・
押さえつけたくなる衝動に駆られる。
有「うゎ!」
要「こらこら、そんなことしたら帝王が怒るよー。ちょっと大人しくしてなさい。」
有希をとっ捕まえようと手を伸ばそうとしたその時
要の手が先に有希の腕を引き寄せた。
要「刺激したら怖いよー帝王は。怒ったら何するか分かんないからね。」
有「かかか要ちゃん!?それで呼んだらやばいぞ!!」
顔色を変え慌てて要の口を塞ごうと焦る有希。
自然、俺に背を向けているわけだが…
(コノヤロー…)
要のヤツ…笑いやがった。
(・・・やってくれるじゃねぇか。)
焦る有希の手を掴み、大丈夫大丈夫なんて言いながら
あいつ越しに・・・ニヤッと笑いやがった。
「…面白くねぇ。」
有「ななななんだ!?」
「なんでもねぇよ。」
要「真樹、週末開けとけよ。」
「…ああ。」
なんて白々しい。
これだからあいつは性質が悪いって言われるんだ。
---素振りなんて見せない
---ヤる時は躊躇無く奪う
そんなヤツだこの男は。
俺なんかオープンなだけまだマシな方だろうが。
(守ってやるつもりは更々ないが・・・要の餌食になるのは頂けないな。)
なにしろ有希は俺のオモチャだ。
お前なんかにやんねぇよ。
だが、好みから言えば有希は要が好みそうな女だ。
あいつは色気の多い女よりも普通で、そして勝気な女を好む。
ま、有希は勝気ってレベルじゃない。
レベルというか種類が違うような気がする。
それに--
有「なになに?お前も歓迎してくれるのか?」
「・・・・・・・・・・。」
(酔ってきやがったなこいつ…)
数回酒を共にしてだんだんコイツの酔い加減が分かってきた。
ま、ボトルが既に3本は転がってんだ。
酔うのも当然だな。
それに"ニヤリ"ではなく"ニコニコ"しながら覗き込んでくる。
警戒はどうした警戒は。
そんなんじゃすぐに・・
有「-------っ!」
今日は俺だけじゃねぇ。
隣にどす黒いヤローがいるのを忘れるな。
「・・・あと一回な。」
有「---------要ちゃぁぁぁん!」
だから・・・
それは間違ってるって。
要「なにー?」
有「帝王が!帝王がぁぁ!!!」
「2・・・3。あと3回。さっきより増えたぞ。」
要「え、今の隙にやられたのか?すげぇ帝王。早業だなぁ。」
有「真樹ぃぃ!!!てめぇ---いい加減にしねぇか!」
「・・・・・・痛ぇ。」
一発貰った。
仁「うわぁぁぁ!有希さんんん!!」
要「あらー有希ちゃん、勇気あるー。」
有「真樹が悪いんだからな!」
まぁ…
帰るまでは隣の獣から守ってやる。
オモチャを取られるのは気分が悪いからな。
だが…
「…帰ったら覚悟しとけよ。」
有「え、もう忘れた。」
「・・・・・・・・。」
仁「有希さん謝っときなって!!」
有「え、じゃあ…スミマセンデシタモウシマセンユルシテクダサイワタシガワルカッタデスゴメンナサイ。」
仁「よく出来ました!」
要「・・・・・・・・くっ!」
こいつは・・・
「お前はよぉ。マジで俺を煽る天才だなぁ・・・」
どっかで訓練積んできたんじゃねぇのか。
有「え!なななんだよ!ちゃんと謝っただろ!」
「ちっとも心が篭ってねぇんだよ。」
有「げっ!かか要ちゃん出番でば------んっ!」
要「あー・・・・・ごめん。出遅れた。」
有「出遅れてんじゃねぇよ!!」
まったく…
軽いヤツではあるがキスの後にその反応はなかなかショックだ。
色気のかけらもない。
---惚れさせてやる
そういやそんなこと言ってはみたが…
実際のところこいつが男に惚れるなんてことがあんのか?
そもそもこいつが恋愛してる様なんざ想像すらできねぇ。
まさか…この年で恋愛経験0だなんてことはねぇよな。
それとももしや男は愛せない派だとか?
有「ていうか真樹!てめぇ全然飲んでねぇじゃねぇか!」
「あー、飲む飲む。」
要「有希ちゃんてばほんと勇気あるわー。」
とにもかくにも
帰ったら覚えとけよ。
--------BAR Black Part3(完)