BAR・Black Part2

BAR・Black Part2 / 2 SAKURA∞SAKU first

 

(…何やってんだあいつは。)

 

いつの間に来たのか
俺が来る前からいたのか

騒がしい奴らがいると思い目をやると

 

(有希じゃねぇか。)

 

男かと思ってたソイツは---

 

まさかの有希だった。

 

ま、あんなボーイッシュな格好してたら誰だってそう思う。

 

突然、管理人としてやってきた女。有希。

第一印象、変な奴。

それ以外の表現ができない。

男口調で色気は皆無。

嘘をつくのが極端に下手で男に慣れてない。

オマケに大酒のみのトラウマ持ち。

そして

 

俺の誘いも
俺の女になることも

 

軽くスルーしやがった女。

 

強がってるのか?
恥ずかしがってるのか?

いやそんなんじゃない。

 

どうやらあいつは、俺に男を感じていないらしい。

 

キスを迫った時も
押し倒してキスした時も

あいつは俺を男だと思っていなかった。

 

しかもそれは俺だけじゃない。

 

観察していると男どものことを意識しているようには見えない。

 

まあ、こんなケースは初めてだな。

 

初めはどうでもいいと思ってた。

別に女に困ってるわけじゃない。
有希に関しても好みでもなんでもない。

他の物好きな住人が適当に遊んで結局辞めていくんだろう。

そう思ってた。

 

だが、唇を重ねた時に思った。

 

 

--オトシテミタイ

 

 

あまりにも俺を意識していない。
だからこそ俺は男だと意識させてみたい。

その時、こいつはどんな表情をするのか。

それを見てみたい。

 

ま、落としてみたい理由はそんなもん。

 

つまりは暇つぶしだ。

 

(さてさて…俺のオモチャがこんなとこで何やってんだか・・・)

 

『なぁにあの子、女だったの?』

 

クスクスという笑いと共に隣から女の声。

あぁ、そういえば女と来てたんだったな。
騒ぎの元凶があいつだったということに気を取られて忘れていた。

 

『やだ、男の子かと思ってた。』

 

有希を見て鼻で笑う。

全く、女ってのは怖いねぇ。

 

「・・・・しばらく待ってろ。」
『え…杉浦君?』

 

なんで行こうと思ったのかなんて分かんねぇ。

だが女といても有希が気になるのは避けられそうにない。

とりあえず気の向くままに

あいつのところへ足を進めた。

 

『もし彼と別れたら付き合ってもらえませんか?』
有「よよ陽子ちゃーん!頼むから話を聞いてくれよぉ!」

 

向かう途中聞こえてくる会話。

なんだ、女に告白されてやがるのか?

そりゃご愁傷様。

 

「…お前、さっきから何やってんだ。」
有「・・・へ?」

 

後から声をかけるとビックリして見上げてくる。

その様子、正に少年だ。

 

有「あ、帝王。」

 

・・・こいつは。

 

「・・・てめぇ。」
有「スミマセン、真樹様。」

 

全く、少しは俺を敬え。

お前だけだぞ俺にそんな口を聞くのは。

 

仁「ままま真樹さん!」
有「真樹も来てたのか、全然気付かなかった。」
仁「よっ、呼び捨て!?」

 

店員が焦りまくる。
見習え有希。

 

有「なんだよまたその話題か?名前で呼んじゃいけないなら君か様つけて呼んでやるぞ。」
「そのままでいい。」
仁「えっ!?」
有「へーい、それよりどうしたんだ?何か用か?」

 

どうしたのかって・・・

お前が気になっていつの間にかここに来てた。

なんて言えねぇ。

 

「・・・タバコくれ。」

 

もっともらしい理由だ。

 

有「タバコ?仕方ねぇな。ほらよ。」
「…サンキュ。」

 

とりあえず受け取って隣に座った。