会いたがってる奴

会いたがってる奴 01 SAKURA∞SAKU second







(やべ・・・・兄ちゃん、あんた強すぎ・・・)







今日は超久々のオフ。


漫画読んだりゴロゴロしたり

色々やりたいことはあったんですが・・・


なぜか時々来たくなるこの場所。

呼び寄せられるかのようにふらりとやって来てしまった。





(もー、あんたに惚れそうだよ私。)





強い、マジで強い。
強い男は好きだぜ。

そうだ、その調子だ。

もっといいとこ見せてくれ。





(いーよっしゃぁぁぁぁ!勝利っ!)





心の中でガッツポーズ。

兄ちゃん次も頑張れよっ!





(やっべ、止まんねぇ。)





ジャラジャラ音とでかい音楽
ピカピカ光る画面に派手な外装

そう・・・今日はぶらっとやってきました。


THE.パチンコ。


大好きってわけじゃない。
だがたまに無性にやりたくなる。


そして今日は当たりました。

止まる気配がありません。





(兄ちゃん、次も頑張ってくれよ。)





適当に座った台。

戦闘モノなんすかね・・・
筋肉質な兄ちゃんが敵と戦っております。




この兄ちゃん、初めのうちはレベル1の敵にも歯が立たない軟弱っぷりだったんだが次第にエンジンがかかったらしい。

レベルmaxだろうがなんだろうがばったばったと敵をやっつける。

これが強いのなんの。





(やるねぇ兄ちゃん。あんたが一番!)





プレイヤーの頭の中は様々なんだろうが、覗いたらさぞ面白いと思う。





『てめぇ隣の台ではあっさり勝利かましたくせに。なんでこっちではやる気出さねぇんだよ。』

『いやー!負けるなー!復活するんだろ!?ほら来い!来いぃぃぃぃ!!!!』



さぁ頑張れ、さぁやる気出せ、と・・・

考えてることは大抵皆同じだと思う。




だが今日の私は違う。





(やっぱ強いっすよあんた。惚れた・・・・あんたに惚れたよ。)





全く現金な思考回路だ。

だが仕方あるまい。

この兄ちゃんが強すぎるのだ!!





(ふふふふっ、笑いが止まりませんなぁ)





顔に出さないよう心の中でほくそ笑む。

裏腹に平常心を保つためのタバコを掴む手がかすかに震えている。

もはや私の後に何箱ひれ伏しているのかも分からないのだ。

このくらい許せ。






「!?」






ふと、急にポケットの中で携帯が暴れ出した。






(チッ・・・誰だこの大事な時に---)





せっかく兄ちゃんと仲良くやってんだ。
邪魔すんじゃねぇよ。






(・・・なんだ、累か。)






確認するとコールの主は累だった。

ごめんな累たん、ちょっと待っててちょうだいねぇ。

心の中で軽く謝り台に向き直る。

安心しろよ兄ちゃん。
私は浮気なんかしねぇよ。





(・・・・・・・・なんだよ!)






いざ集中・・・と構えればガンガン鳴り出す電話。

なんだよそんなに急用なのか?

くそ、なんだか心配になっちまうじゃねぇか。





(仕方ねぇ・・・兄ちゃん、ちょっと待っててちょうだいね。)





ひと段落着いたところで台を離れる。

えーと出口はあっちか。

足早に外へ出た。

そして累に掛けなお





累「もしもし!」





おぉ・・・





1コールで出やがった。