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<純>
有「ここ、こらぁぁ!てめっ-----ちゃんと目ぇ覚ませぇぇ!」
突然、家中を貫いた叫び声。
(あ!しまった!)
声を聴いた瞬間、すぐに原因がひらめいた。
真「あ。」
要「あー、しまった。」
遼「え、なに。なんなのよ。」
累は既に二階に向かって走り出した。
俺も行こう。
多分累だけじゃ無理だと思う。
累「孝!起きろ!!てか離れろー!」
有「累!助けてくれぇぇ!」
孝の部屋に近づくと聞こえてくる必死な叫び。
予想は的中してるっぽい。
まったくもう・・・面倒臭いなぁ。
「・・・・・・・・はぁ。」
累「あっ!純!お前も手伝え!」
有「く・・・苦し・・・・死んだ・・・」
孝「・・・んだよ・・・邪魔すんな・・・」
目の前に広がる惨劇に思わずため息。
予想通り姫をベッドに引き込んでる孝。
馬鹿力なんだ。
そんなに簡単に離れないよ。
まぁでも、目は覚めてるみたいだから大丈夫か?
「孝、ちゃんと起きて。姫が死んじゃう。もう少し力緩めてあげてよ。」
孝「・・・・ぅ・・・ぁあ?」
ご覧の通り、孝は目覚めがめちゃくちゃ悪い。
男の俺らでさえも孝を起こすのは一苦労。
例え上司の命令だとしても俺は絶対引き受けたくない。
姫は今まで当たったことが無かったんだね。
カワイそうに・・・
有「こっ、孝!いい加減起きろ!んでもって放してくれぇ!」
窒息は免れたらしいけど
どうやらこの寝坊助医者、姫を解放する気は無いらしい。
孝「もう少し・・・・眠・・・」
累「こらーっ!」
「・・・・・・。」
孝「・・・・ったく、煩ぇなぁ・・・・分かったよ・・・・・起きるから・・・・」
「「「 ----------!! 」」」
な----!
孝「・・はよ・・・・有希。」
有「おっ----おはよーございますっ!?」
累「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
ふーん・・・
俺らの目の前で?
堂々と目覚めのキスってヤツですか?
寝ぼけてるからって・・・
許すと思うなっ!
孝「・・・・・・痛い。」
累「当たり前だ!殴ったんだから!」
純「もういいよ、孝。お前はずっと寝てろ。永遠に眠っててもいいよ。」
孝「・・・・・。」
有「お、王子・・・わわ、私は起きてもいいんですよね!?」
何故か孝の腕の中で固まってしまってる姫。
こらこら、いつまでもそんなとこにいたら汚れちゃうよ。
「何言ってんの。おいで、姫。」
有「お、王子・・・!おいこら、放せよ俺様。」
孝「ぅー、仕方ねぇなぁ・・・」
やっと孝から解放された姫。
転がるようにベッドから避難完了。
有「くそ-----本っ当・・・寝起き最悪だな。」
累「全くだよ・・・ほら、孝も行くぞ。ご飯出来てんだから。」
孝「・・・・・あぁ。」
「累、孝を連れてきてよね。」
累「え・・・えぇ!?」
ゆっくり這い出てくる孝と叫ぶ累を背に
姫の手を引いて部屋を出た。
有「あービックリした。あのヤロー、何食べたらあんなに力がつくんだ?」
「あいつは元々だよ、絶対。」
有「私もあのくらい強かったらなぁ。次々現れる敵をちょちょいのちょいっと・・・」
「姫は強くなる必要ない。」
有「・・・そっか?」
ふと、姫に目を落とすと
痛々しく包帯が巻かれてる左手首。
「もう怪我なんてさせないから。姫は強くならなくてもいいの。」
有「・・・王子、あんま優しくするな。今の私はすぐ泣くぞ。」
「えー、そんなことになったら孝に殺されちゃう。」
有「ぷぷっ!それじゃ、そん時は私が守ってあげるからな!」
「!」
向けられたのは嘘の無い綺麗な笑顔。
一番大好きな表情だ。
ずっと失わないで欲しいし、失いたくない。
真「大丈夫だったか?」
有「死に掛けた。」
要「何かされた?」
有「へっ!?」
「おはようの挨拶してたよ。」
真「・・・・・一生寝かせとくか?」
遼「ひっ・・・・・ここ、怖い、桜館ってやっぱし怖い。」
有「お前もそう思う?私なんてこれが毎日エブリデーなんだぞ。怖ぇよ超怖ぇぇ!」
姫と遼は肩を寄せ合ってひそひそ話。
まぁ、聞こえてるけどね。
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