ライバル

ライバル 02 SAKURA∞SAKU second


<純>





有「ここ、こらぁぁ!てめっ-----ちゃんと目ぇ覚ませぇぇ!」






突然、家中を貫いた叫び声。






(あ!しまった!)






声を聴いた瞬間、すぐに原因がひらめいた。






真「あ。」

要「あー、しまった。」

遼「え、なに。なんなのよ。」






累は既に二階に向かって走り出した。

俺も行こう。

多分累だけじゃ無理だと思う。






累「孝!起きろ!!てか離れろー!」

有「累!助けてくれぇぇ!」






孝の部屋に近づくと聞こえてくる必死な叫び。

予想は的中してるっぽい。

まったくもう・・・面倒臭いなぁ。






「・・・・・・・・はぁ。」

累「あっ!純!お前も手伝え!」

有「く・・・苦し・・・・死んだ・・・」

孝「・・・んだよ・・・邪魔すんな・・・」






目の前に広がる惨劇に思わずため息。


予想通り姫をベッドに引き込んでる孝。

馬鹿力なんだ。
そんなに簡単に離れないよ。

まぁでも、目は覚めてるみたいだから大丈夫か?






「孝、ちゃんと起きて。姫が死んじゃう。もう少し力緩めてあげてよ。」

孝「・・・・ぅ・・・ぁあ?」






ご覧の通り、孝は目覚めがめちゃくちゃ悪い。

男の俺らでさえも孝を起こすのは一苦労。
例え上司の命令だとしても俺は絶対引き受けたくない。

姫は今まで当たったことが無かったんだね。

カワイそうに・・・






有「こっ、孝!いい加減起きろ!んでもって放してくれぇ!」







窒息は免れたらしいけど

どうやらこの寝坊助医者、姫を解放する気は無いらしい。






孝「もう少し・・・・眠・・・」

累「こらーっ!」

「・・・・・・。」

孝「・・・・ったく、煩ぇなぁ・・・・分かったよ・・・・・起きるから・・・・」

「「「 ----------!! 」」」






な----!






孝「・・はよ・・・・有希。」

有「おっ----おはよーございますっ!?」

累「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」






ふーん・・・

俺らの目の前で?
堂々と目覚めのキスってヤツですか?






寝ぼけてるからって・・・






許すと思うなっ!







孝「・・・・・・痛い。」

累「当たり前だ!殴ったんだから!」

純「もういいよ、孝。お前はずっと寝てろ。永遠に眠っててもいいよ。」

孝「・・・・・。」

有「お、王子・・・わわ、私は起きてもいいんですよね!?」






何故か孝の腕の中で固まってしまってる姫。

こらこら、いつまでもそんなとこにいたら汚れちゃうよ。






「何言ってんの。おいで、姫。」

有「お、王子・・・!おいこら、放せよ俺様。」

孝「ぅー、仕方ねぇなぁ・・・」






やっと孝から解放された姫。

転がるようにベッドから避難完了。






有「くそ-----本っ当・・・寝起き最悪だな。」

累「全くだよ・・・ほら、孝も行くぞ。ご飯出来てんだから。」

孝「・・・・・あぁ。」

「累、孝を連れてきてよね。」

累「え・・・えぇ!?」






ゆっくり這い出てくる孝と叫ぶ累を背に

姫の手を引いて部屋を出た。






有「あービックリした。あのヤロー、何食べたらあんなに力がつくんだ?」

「あいつは元々だよ、絶対。」

有「私もあのくらい強かったらなぁ。次々現れる敵をちょちょいのちょいっと・・・」

「姫は強くなる必要ない。」

有「・・・そっか?」






ふと、姫に目を落とすと

痛々しく包帯が巻かれてる左手首。






「もう怪我なんてさせないから。姫は強くならなくてもいいの。」

有「・・・王子、あんま優しくするな。今の私はすぐ泣くぞ。」

「えー、そんなことになったら孝に殺されちゃう。」

有「ぷぷっ!それじゃ、そん時は私が守ってあげるからな!」

「!」






向けられたのは嘘の無い綺麗な笑顔。


一番大好きな表情だ。

ずっと失わないで欲しいし、失いたくない。






真「大丈夫だったか?」

有「死に掛けた。」

要「何かされた?」

有「へっ!?」

「おはようの挨拶してたよ。」

真「・・・・・一生寝かせとくか?」

遼「ひっ・・・・・ここ、怖い、桜館ってやっぱし怖い。」

有「お前もそう思う?私なんてこれが毎日エブリデーなんだぞ。怖ぇよ超怖ぇぇ!」






姫と遼は肩を寄せ合ってひそひそ話。

まぁ、聞こえてるけどね。