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---気持ち良くない
主に、キスについて。
そして多分・・・
原因は、こいつ。
この色気のかけらもない女、有希。
店で飲んでる時からずっと考えていたんだが・・・
確かめてみるか、と思う。
まぁ、確かめたところで
もし本当にこいつが原因だったら俺はどうすればいいんだ・・・とも思う。
考えてもみろ。
元々キスに気持ち良さを求めているわけじゃない。
だがこいつとのキスが気持ちいいと感じてしまったら・・・?
俺は絶対どこかがおかしい。
原因不明の病だ。
そしてそれをどうやって治したらいいかさっぱり分からない。
非常に恐ろしい。
だが・・・
---キスしたい
そう思うのも事実。
確かめるか否か・・・
家に帰りシャワーを浴び
ソファーに座ってボーっと考えていた。
そこへ風呂上りのこいつ。
髪なんかほとんど拭いていない。
こんな状態で寝たら風邪引くに決まってんじゃねぇか。ガキめ。
医者として仕方なく、だ。
風邪予防を真向拒否しようとするこいつの髪を拭いてやった。
有「ちょちょちょちょ・・・マジで眠っちまうから・・・」
だが相当眠いらしく、弱々しく手を止められた。
俺に触れる手には全然力が入っていない。
そして眠そうな顔でこっちを見上げてきて--
(・・・・・・おいおい。)
乱れた髪の下から覗かせたこいつ・・・
なんだこれ。
(可愛いじゃねぇか・・・)
いやいやちょっと待て。
可愛いってなんだ。
この女がか?
いや違う全然好みじゃない。
(・・・・・・・・え。)
部屋へ戻ろうと立ち上がろうとする有希。
だがその手を無意識に掴んでいる自分の手。
なにやってんだ俺は。
もうわけが分からない。
「キスさせろ。」
おい待て何を言い出すんだ俺の口は。
止めてくれ。
これは一体なんの病気だ。
聞いたこともないぞこんな不可解な症状。
有「んー。んんん!!?何言ってんだお前は!!」
ごもっとも。
俺もそう思う。
あー・・・
でも、ダメだ。
キスしたくて
たまんねぇ・・・
有「ちょちょちょっ!」
酔いと眠気で全然力が入らねぇらしい有希。
体を押すと面白いように後へ倒れていく。
(少し・・・少しだけ試すだけだ・・・)
半ば言い訳しながら背中と頭に手を回し
ゆっくりとソファーに押し倒していく。
そして
有「-------ん!」
無防備な唇に、自分のを重ねた。
有「ぁ・・・・・、っ・・・」
抵抗する手は抑える必要もないくらい弱々しい。
必死に肩を押し返してくるが
放っておいても問題ない。
問題なのは--
(・・・・・・・やばい。)
確実に俺は---
病気だということだ。
なぜならこいつの唇が
こいつとのキスが
絡め取る舌も
時々漏れる小さな吐息も
気持ちいいと感じる。
有「・・・・・こ・・・・ぅ・・・っ!」
不器用な奴だ。
息が出来ないようなので途中で息をさせてやった。
だが・・・・まだ足りない。
一旦離して
再び深く奪った。
(これは------ヤバい。)
病みつきになる---
有「・・・・・・ん・・・」
「----!」
突然、有希の体から力が抜けた。
「-----。」
ゆっくり唇を離すと
やっぱり---
「寝てやがる・・・」
確かに眠い眠いと言ってはいたが・・・
「・・・失礼な女。」
さすがにキスの最中に寝られたのは初めてだ。
ていうかここからどうすりゃいいんだ?
気持ち良さそうに寝息を立てる唇。
だが濡れたソレはゾクッとするほどに艶かしくて・・・
また触れたくなる。
また・・・
重ねたくなる・・・
いやいや待て待て。
俺はおかしいんだ病気なんだ。
原因が分かるまで抑えろ。
暴走したら取り返しがつかなくなる。
「はぁ・・・」
結局、ソファーで寝てしまったこいつ。
まあ・・・仕方がない。
ここに放置するわけにもいかねぇからな。
(・・・・・・軽い。)
横抱きにすると抱えたこいつの軽さに驚く。
ちゃんと飯食ってるのか?
まさか---私の飯は酒だ!なんて思ってんじゃねぇだろうな。
(色気のねぇ部屋・・・)
開けっ放しにされていたこいつの部屋。
初めて入ったがなんだこれ。
部屋の大部分を占めるPC群。
見渡す限り女特有のヒラヒラキラキラした物は一切目に付かない。
やっぱりこいつ・・・
男なんじゃねぇのか。
ま、そんな事はどうだっていい。
有「・・・・・・・ん。」
ベッドに寝かせると軽く身じろぐ有希。
ついでに眉間に皺を寄せやがった。
---飲まないと眠れない
---夢を見たくないから酒を飲む
ふと、こいつの言ってたことを思い出した。
(嫌な夢見てんじゃねぇだろうな・・・)
なんとなく、頬に手を滑らせてみる。
飲みすぎなのか風呂上りだからなのか少し体温が高い。
指を絡めるとまだほんのり湿ってる髪。
仕方なく頭の下にタオルを引いてやった。
明日は寝癖確定だな。
(・・・・・・・・・寝よ。)
眉間も穏やかになったし
このままここにいたら自分が何をしでかすか分からないし
何しろ今の俺は具合が悪い。
明日にでも症状と照らし合わせて何の病気か調べてみよう。
早く治さねぇとマジでやばい。
手遅れになるような気がしてならねぇ。
「・・・・・・・・・・・・。」
病気のことは
明日から調べることに・・・
「・・・・・・・・。」
無防備に開くソレに軽く唇を重ねて
部屋へ戻った。
------Bar Black Part1(完)
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