ライバル

ライバル 01 SAKURA∞SAKU second

<累>

有「た、ただいまぁ・・・」

要「おかえりー。お疲れだなぁ。」

有「だー・・・疲れた・・・」

ライブの練習も終了。

抜け殻のように伸びる有希を抱えて桜館に帰宅した。

それにしても、相変わらず有希の歌はすごかった。

最近練習もしてるらしく、初めに聞いた時よりずっとすごかった。

純「もっと聞きたかったなぁ。」

「全くだよ。」

俺と純はまだ余韻に浸ってる。

歌の上手さはもちろんなんだけど、普段では見られない有希にドカンと心臓撃ち抜かれっ放し。

特に恋愛の歌詞を口にされると堪んない。

ちなみに今日は遼の歌も聴いた。

やっぱうまかった。

そしてムカつくほど有希との息がぴったりで・・・

うん、そこはやっぱりムカつく。

有「ほらよ、酒買ってきた。」

真「今日は飲むのか?」

有「そういう飲みじゃなくてさ。せっかく皆揃ってるし、酒盛りしよーぜ。」

要「あぁ、そっちの飲みね。」

(そういう飲みじゃない、か・・・)

ちなみに有希は、飲まなくても眠れるようになってきたらしい。

これってすごい進歩だよな。

遼は俺らと一緒にいて安心してんだって言ってた。

それが本当ならすっげぇ嬉しい。

今回だってあんなに酷いことがあったのに別に飲まなくてもいいって思ってるみたいだもんな。

出会った頃と比べたらすごい変化だと思う。

遼「あれ、孝は?」

要「あれ、まだ寝てるのか?」

真「そういや見かけねぇな。」

有「お寝坊ヤローめ。いいよ、部屋行くついでに起こしてくる。」

要「宜しく。」

有「うーっす。」

眠気と疲れでフラフラなんだろう。

よーっこいしょ!と掛け声を上げながら二階に上がっていった。

真「上手く行きそうか?」

遼「んー、なんとか。」

真樹と遼はライブの話。

成功の是非は誰にも分からない。

でもあんなに練習してるんだ。
絶対成功するって自信がある。

今回のライブは会場もかなり大きいし、なによりゲストで有名なグループを呼んでるんだって。

そのグループ、実はファンだったりするんだよね。
本番が楽しみだ!

ちなみに有希に言ったら「誰それ。」って言ってた。

さすが適当マイペース人間。
芸能人関係には全然興味が無いらしい。

遼「皆当日は来れるんだろ?」

要「あぁ、行けるよ。」

当然だろ。
何があっても行くよ。

真「なにかトラブルとか起こってねぇか?」

遼「トラブル?トラブルって・・・あぁ、MIKAMIのこと?」

真「・・・・・・知ってたのか?」

遼「最近行動が気になってたからさ。でもその件なら大丈夫。ちゃんと抑えた。」

真「抑えた?お前・・・ぼーっとしてるようでしっかりしてる部分もあるんだな。」

遼「あ、棘があったよ。今の言い方トゲが刺さった!」

何それさっぱり意味が分からない。

そういえば真樹ってRYOについて何か知ってる様子だったけど・・・

「大丈夫なのか?何か問題があったとか・・・」

遼「大丈夫大丈夫。まぁ、問題があるとすれば今回呼んでるゲストが心配かなぁ。」

要「ゲスト?」

遼「FORMってグループ知ってるか?」

要「超有名じゃん。詳しくは知らないけど。え、そんなすごいのがゲストなわけ?」

遼「そいつら、前から有希のことがお気に入りでさ。そこのところちょっと心配。」

要・純「え・・・」

真「・・・力ずくで抑える。」

頼む真樹、しっかりやってくれ。

純「それにしても遅いね、姫。何やってんだろ。ご飯も出来てるのに・・・」

「そういえば・・・」

純に言われて思い出した。

孝を呼びに行った有希が帰ってこない。

もしかして疲れて寝ちゃった----

有「ここ、こらぁぁ!てめっ-----ちゃんと目ぇ覚ませぇぇ!」

まるで時間外れの目覚まし時計のように

家中に悲鳴が木霊した。

いやいやそうじゃなくて

(し、しまった------!)

有希は俺が守る。

固く決心したはずなのに

ここが桜館だってこと忘れてた!