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「よし・・・もう大丈夫。落ち着きましたぁ。」
どうにかこうにか涙を引っ込めた。
やっぱ人前で泣くのはめちゃくちゃ恥ずかしいな。
そして泣き止んだ後の謎の気まずい空気がこれまた辛い---
遼「よし!それじゃ行くか!!」
「・・・・え、行く?」
行くって・・・
どこに。
遼「どこにって・・・練習だよ練習。」
「練習・・・?」
遼「そう、歌にダンスにその他もろもろの練習。」
「・・・・・・・・・・・・・・・鬼!!」
遼「なんとでも言え。なんせライブは来週だ。時間がねぇ」
「来週・・・・そっか。それはヤバイな。」
ライブの事すっかり忘れてた。
ほとんど眠ってないが・・・
練習しないとマジでやばい。
それに今日は何かしておきたい気分でもある。
何かと思い出すことがたくさんあるんで。
ピンからキリまで。
遼「お前らはどうする?」
要「俺は仕事残ってるから今日はパス。」
真「俺もだ。」
孝「俺は・・・・」
「お前は眠ってなさい。昨日寝てないんだからな。」
孝「・・・・・そうする。」
純「俺は行くー。」
累「俺もー。」
「え、来なくていい---」
純・累「絶対行く。」
もー・・・来なくていいってのに。
結構恥ずかしいんだぞ。
遼「よし。じゃぁ俺の車で行こっか。」
・・・ま、いっか。
純「じゃぁ準備してくるから。」
累「俺も色々取ってくる。」
遼「じゃあ近くまで車持って来るわ。」
純・累「うん。」
「あ、待てよ遼。私も行く。」
準備するもんもないし、部屋で一息ついたら寝ちまいそうだし。
遼と車を取りに行くことにした。
要「終わったら遼も帰って来いよ。」
遼「あぁ、メシの用意宜しくお願いします。」
孝「ふぁ・・・早く帰って来いよ。」
真「そうだ。酒が無いからいるなら買って来い。」
「マジ?オッケー、了解。」
(うーん・・・)
家族だ。
家族の会話だ。
「じゃ、行って来る。」
まるで昨日のことが嘘のように
いつも通りの時間が流れ出した。
アレは夢だったんじゃねぇか?
マジで考えてしまいそうになるから不思議だ。
(こいつらがそう思わせてくれてるんだ。)
靴を履きながら見送りに玄関まで来た3人をチラ見する。
そして
「ほら。」
さり気なく左手を差し出す遼。
「・・・・あ、あぁ。ありがと。」
自分よりずっと大きな遼の手。
その手を取ると、優しく握り返してくれた。
思い返せば、辛い時なんか特に遼は壊れ物を扱うように優しく接してくれた。
今もそうだ。
気遣ってくれてんのが痛いほど分かる。
孝「・・・・・なんか・・・・ムカつく。」
遼「ムカつけ。そして諦めろ。」
孝「・・・・・殺す。」
遼「スミマセンデシタ。」
真「お前が言うとシャレにならねぇ。」
要「あぁぁ。孝には気付いて欲しくなかったなぁ。」
遼「行ってきまーす。」
「・・・行って来る。」
ワイワイ騒ぎ始めたヤロー共を後に
遼と共に家を出た。
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