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司「あ、晋さん。こいつがさっき言ってた幼なじみの四宮忍です。忍、こちらはお世話になってる先輩の高原晋さん。」
忍「初めまして、四宮忍です。あの、高原さんってもしかして--」
岡「あ!やっぱり四宮さんも知ってた??」
忍「それじゃあ···」
岡「そうそう!あの高原教授の息子さん!」
晋「・・・その言い方はやめろ。」
岡「あ、すみません。」
司「お前も懲りないな、岡野。」
岡「へへ!」
一体どのくらいフリーズしてたんだろう。
目の前で始まった医者同士の自己紹介にハッとする。
それと同時に忍からの視線が切れて···
(は---、っ・・・)
まるで向けられていた銃口が反らされたかのような感覚。
ドッと力が抜けて今にも崩れ落ちてしまいそうだ。
岡「それにしてもいつ見ても綺麗だよね四宮さん!」
忍「え?」
岡「晋さんと並ぶと更に---ほら!二人とも眩しすぎて直視出来ない!」
晋「------。」
忍「···綺麗なんて言われても嬉しくないよ。」
もー、謙遜することないって!とはしゃぐ岡野
忍はともかく晋さんの美は罪だ、なんてポエマー気取りに頷く司
そんな男どもによるほのぼの女子トークを前に
まるで蛇に睨まれたカエルのように立ち固まる自分。
(-------っ、---)
一体何が起こってるんだ···?
なんでこいつがこんなところに--
まさかの夢オチ···?
あぁなるほど、最近疲れてたから。
いやいや逃げるな。
現実を見ろ。
そんなことより--
今はここから離れたい。
玄関はすぐそこだ。
今のうちに逃げ出してしまいたい。
でも・・・
体が全く動かない。
忍から・・・
目を離すことができない。
忍「···そんなに見つめないでよ。」
「------!」
忍「心配しなくても本物だよ?」
ジロジロと見過ぎたか。
私のソレに応えるように、再び視線が戻ってきた。
忍「それにしても透、本当に久しぶりだね。元気にしてた?」
「----っ」
元気にしてたか、だと?
「--------。」
司「透?」
晋「・・・。」
色素の薄い茶色の瞳
それと同じ色の艶のある髪
優しそうに弧を描く形のいい唇
頭のてっぺんから足の先まで
恐らく誰もが「綺麗」と形容するだろう。
そんな造形物のような美しいこいつを目の前に
容赦なく---
全身に寒気が走った。
「忍・・・なんで----」
自分のモノとは思えない···
まるで絞り出されたような小さな声。
あまりにも弱々しかったからか・・・
視界の隅にいた晋がピクリと反応したような気がした。
忍「研修でこっちに帰ってきたんだよ。まぁ明日には帰るんだけどね。」
「研修・・・」
忍「でもまさか司の職場にお世話になるとは思ってなくてさ。」
「そ、そっか・・・」
忍「透も驚かそうと思って直接会った時に話すつもりだったんだけど--」
司「そうそう、結局今になっちまったもんな。ま、驚かすって意味ではある意味成功かもしれないけど。」
「--------。」
ある意味成功?
ふざけんな。
見事に大失敗だろ。
忍「それにしても透、ずいぶん忙しそうだね。」
「ぇ···」
忍「全然連絡取れなかったから。電話しても繋がらないし。」
「っ---あ、あぁ、ごめん···」
忍「仕事だったんだろ?仕方ないよ。それにそろそろこっちに帰るつもりだから。」
「ぇ---」
帰って、くる---?
忍「そうすればいつでも会えるしね。」
「------っ」
晋「・・・!」
とんでもない宣告に息を呑む。
思わず後ずさると、意外と近くにいたらしい晋に肩がぶつかった。
(ご、ごめ----、っ----!?)
おいおい嘘だろ···
声が、出ない--
忍「やっぱり地元の方が過ごしやすいし、それに司も透も近くにいるから。」
司「ちょ---ばっかお前、晋さんの前で恥ずかしいこと言うんじゃねぇよ。」
忍「でも司も俺が帰ってきた方が嬉しいでしょ?」
司「そりゃあな!」
嬉しそうに忍の肩を叩く司
微笑みながらそれを受ける忍
そんな兄弟のようにじゃれ合う二人の様子が、まるでテレビの中の世界のように遠く感じる。
忍「そうだ透、今日の夜は忙しいの?」
「ぇ--?」
忍「俺、明日帰るからさ。せっかく会えたし、夕食にでも行かない?」
「---っ!」
忍「もちろん司も一緒に。」
司「俺は全然オッケー。透も大丈夫だよな?」
「ぇ、ぁ、いや、私は···」
司「なにを今更渋ってんだよ。どうせ何も予定ないんだろ?」
「予定は--」
(まずい-----)
寄せられる二人からの視線。
司のは---どうだっていい。
ただ、三度繋がってしまった忍の目の色が---
さっきのものと全然違う。
無駄な足掻きははよせと
絶対に逃がさないと
そう言ってるようで···
司「・・・透?どうした?」
背中を伝う冷たい汗
バカみたいに加速する鼓動
ヤバイ、ヤバイ・・・
このままじゃ---
変に思われてしまう。
何か···
何か言わなきゃ--
なんでもいいから
適当な言い訳を···
忍「透、どうしたの?顔色悪いけど・・・大丈夫?」
「っ!」
繋がった視線はそのままに
いかにも心配そうに眉根を寄せて
ゆっくりと忍の手がこっちに伸びてくる--
(嫌・・・嫌だ----、・・っ)
体が震える
息が出来ない
怖い
怖い---
近づいてくる手を振り払ってしまいたいのに
体が全く・・・動いてくれない
誰か
誰か・・
助けて、くれ---
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