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--累--
怪しい。
何がって・・・
孝のことだよ。
ナイスバディーの女を放ってこっちに座り込んだ孝。
どう考えても怪しい。
(やっぱり・・・好きになっちゃったとか?)
きっと本人は気付いてないと思うけど
孝のヤツ・・・
見たことないくらい優しい顔で有希を見てる。
いつもの孝はぎらぎらしてて冷たくて
特に女の子に対してこんな表情見せたことなんて・・・
多分、今までなかったと思う。
いやいや今は孝のことなんてどうだっていい。
(せっかくデートできると思ってたのに・・・)
今日は朝からずーっと楽しみにしてたんだぞ。
この可愛い格好だって
苦労してやっと着てもらえたんだからな。
有「累?どうした?」
「っ!」
急に視界に入り込んできた有希。
どうやら顔を覗きこまれたみたい。
不意を突かれてビックリした。
「い、いや。なんでもないよ。」
そんな仕草・・・
可愛いから止めて。
孝「飲みすぎたんじゃねぇの。」
違うよ。
孝、お前のせいだ。
有「酔っちゃったのか?大丈夫か?ていうか今日はまだ全然飲んでねぇ!早くしねぇと寝るのが遅くなる!おい仁!ボトルもう一本追加な!」
仁「は、はい!!」
そういえば
いつの間にか仁は有希の下僕と化していた。
いいなりだ。
「有希、一人で空けちゃったけど大丈夫なのか?」
そういや結局、有希は初めに入れたボトルを一人で飲みきってしまっていた。
普通なら有り得ないけど・・・
有「大丈夫だって。あと2本は平気でいける。マジで早く飲まないと家に帰ってから飲む羽目になるじゃん。そんなの意味ない。」
こういうとこに来て『早く飲まなきゃ!』って焦る人も珍しい。
まぁ有希の場合は特別なんだろうけど・・・
当の本人は人の心配なんかつゆ知らず。
新しいボトルを貰って容赦なく中身をグラスに注いでいく。
孝「お前・・・相変わらず激しいな。」
有「なんだ今更。」
孝「体壊すぞ。」
有「今は体より心の安定の方が大切なんだよ。」
孝「・・・・・・・・・・。」
心の安定ってなんだよ。
意味が分からない。
有「あ、そうだ。おい、仁。」
仁「は、はい!」
有「明後日ってここやってるか?」
仁「やってますよ。」
有「そっか。じゃあ明後日も来るよ。」
仁「へ?」
明後日も来るって・・・
「・・・一人で?」
一人で外で飲むなんて・・・
なんだかいい気分しない。
そして
テーブルに肘をつきながら機嫌悪そうな奴がもう一人。
孝「・・・一人で出歩くな。飲むなら家で飲んでろ。」
孝、やっぱりお前・・・
有「知り合いと会うんだよ。待ち合わせ時間が遅いからそれまでの時間つぶしにな。あー良かった。仁がいれば一人で来ても寂しくないもんな!」
仁に向かってニッコリ笑いかける有希。
おい、仁。
あからさまに照れてるんじゃない。
これ以上ライバルが増えるのはゴメンだ。
「うるさい奴らがいるなぁと思ったら・・・姫とその他だったとはねぇ。」
またまた突然、声が乱入してきた。
一体誰か、だって?
そんなの
確認しなくても分かるよ。
(もー------)
なんなんだよお前ら!
いつもは接点なしだろ!
それが暗黙の了解じゃなかったわけ!?
有「おぉ純君!そういえば君も来てたんだったな!」
純「そういえばって・・・ひどいなぁ、姫。」
仁「ひ、姫!?」
もはや仁はプチパニックだ。
そりゃそうだろ。
有希は分からないかもしれないけど、こんなケースは初めてだし有り得ない。
ていうか純。
さっきまでいた女の子はどうしたんだよ。
有「あれ、純君彼女は?」
純「彼女?誰のこと?」
有「さっきまで一緒にいた可愛い--」
純「あの子は彼女じゃないよ。今日は何となく気分が乗らなかったから止めにしたんだ。」
有「・・・お前ら、マジで乱れてるな。」
純「ん?」
全くもって乱れてる。
いや、乱れててもなんでもいい・・・
(俺の邪魔をするなぁぁ!!)
言いたいのはこれだけ。
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