BAR・Black Part1

BAR・Black Part1 / 7 SAKURA∞SAKU first



--累--





怪しい。






何がって・・・

孝のことだよ。






ナイスバディーの女を放ってこっちに座り込んだ孝。






どう考えても怪しい。






(やっぱり・・・好きになっちゃったとか?)






きっと本人は気付いてないと思うけど

孝のヤツ・・・

見たことないくらい優しい顔で有希を見てる。






いつもの孝はぎらぎらしてて冷たくて

特に女の子に対してこんな表情見せたことなんて・・・

多分、今までなかったと思う。






いやいや今は孝のことなんてどうだっていい。






(せっかくデートできると思ってたのに・・・)






今日は朝からずーっと楽しみにしてたんだぞ。

この可愛い格好だって

苦労してやっと着てもらえたんだからな。






有「累?どうした?」

「っ!」






急に視界に入り込んできた有希。

どうやら顔を覗きこまれたみたい。

不意を突かれてビックリした。






「い、いや。なんでもないよ。」






そんな仕草・・・

可愛いから止めて。






孝「飲みすぎたんじゃねぇの。」






違うよ。

孝、お前のせいだ。






有「酔っちゃったのか?大丈夫か?ていうか今日はまだ全然飲んでねぇ!早くしねぇと寝るのが遅くなる!おい仁!ボトルもう一本追加な!」

仁「は、はい!!」






そういえば

いつの間にか仁は有希の下僕と化していた。

いいなりだ。






「有希、一人で空けちゃったけど大丈夫なのか?」






そういや結局、有希は初めに入れたボトルを一人で飲みきってしまっていた。

普通なら有り得ないけど・・・






有「大丈夫だって。あと2本は平気でいける。マジで早く飲まないと家に帰ってから飲む羽目になるじゃん。そんなの意味ない。」






こういうとこに来て『早く飲まなきゃ!』って焦る人も珍しい。

まぁ有希の場合は特別なんだろうけど・・・

当の本人は人の心配なんかつゆ知らず。

新しいボトルを貰って容赦なく中身をグラスに注いでいく。






孝「お前・・・相変わらず激しいな。」

有「なんだ今更。」

孝「体壊すぞ。」

有「今は体より心の安定の方が大切なんだよ。」

孝「・・・・・・・・・・。」






心の安定ってなんだよ。

意味が分からない。






有「あ、そうだ。おい、仁。」

仁「は、はい!」

有「明後日ってここやってるか?」

仁「やってますよ。」

有「そっか。じゃあ明後日も来るよ。」

仁「へ?」






明後日も来るって・・・






「・・・一人で?」






一人で外で飲むなんて・・・

なんだかいい気分しない。





そして





テーブルに肘をつきながら機嫌悪そうな奴がもう一人。






孝「・・・一人で出歩くな。飲むなら家で飲んでろ。」






孝、やっぱりお前・・・






有「知り合いと会うんだよ。待ち合わせ時間が遅いからそれまでの時間つぶしにな。あー良かった。仁がいれば一人で来ても寂しくないもんな!」






仁に向かってニッコリ笑いかける有希。

おい、仁。

あからさまに照れてるんじゃない。

これ以上ライバルが増えるのはゴメンだ。






「うるさい奴らがいるなぁと思ったら・・・姫とその他だったとはねぇ。」






またまた突然、声が乱入してきた。






一体誰か、だって?





そんなの

確認しなくても分かるよ。






(もー------)






なんなんだよお前ら!

いつもは接点なしだろ!

それが暗黙の了解じゃなかったわけ!?






有「おぉ純君!そういえば君も来てたんだったな!」

純「そういえばって・・・ひどいなぁ、姫。」

仁「ひ、姫!?」






もはや仁はプチパニックだ。

そりゃそうだろ。

有希は分からないかもしれないけど、こんなケースは初めてだし有り得ない。


ていうか純。

さっきまでいた女の子はどうしたんだよ。






有「あれ、純君彼女は?」

純「彼女?誰のこと?」

有「さっきまで一緒にいた可愛い--」

純「あの子は彼女じゃないよ。今日は何となく気分が乗らなかったから止めにしたんだ。」

有「・・・お前ら、マジで乱れてるな。」

純「ん?」






全くもって乱れてる。






いや、乱れててもなんでもいい・・・








(俺の邪魔をするなぁぁ!!)









言いたいのはこれだけ。