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「れ、玲くん・・・?」
玲「・・・透ちゃん、ごめん。」
「は・・・」
玲「・・・ごめんね?」
ごめんねって・・・え?
今のちゅーのこと?
もしかして悪いと思ってんの?
まぁ・・・普通なら許さないだろ。
切腹すると言われても許しがたい。
しかし
(ちょ、ちょっとちょっと---!)
①キュッと噛みしめられた唇
②ごめんなさいと寄せられる眉根
③様子を伺うように向けられる上目遣い
そんな
そんな悩ましげな顔で謝られたらお前・・・
そりゃ怒りもぶっ飛ぶわ。
玲「・・・ごめん。」
「いや、あの・・・」
玲「透ちゃん・・・」
「っ!わわ、分かった!反省してるのは分かったから!」
甘い。
甘いぞ透。
だが今の玲くんを怒るなんてムリだ。
むしろ頭を撫で回してやりたい。
玲「ねえ、透ちゃん。」
「えーとあの・・・と、とりあえず座り直そっか!」
玲「・・・・・。」
「のの、喉渇かないか!?コーヒーでも作ってくるからさ!ほら、退いて退いて--」
玲「エッチしたい。」
・・・え
(な、なんですと・・・?)
相変わらず恥らう乙女のように頬を染めて
目なんかまるで子犬のようにうるうるさせて
そんな可愛い顔してお前・・・
今、なんと?
玲「透ちゃんと、エッチしたい。」
(・・・・・・・。)
「あ、あの玲くん。一体なにを言いやがって---」
玲「ダメ?」
「・・・・・。」
か、可愛い。
じゃなくて!
「な、何言ってんだよ玲くん。冗談きついぞ。」
玲「・・・・・。」
「あ、もしかして冗談だった?笑いを取って私を元気付けようと--」
玲「そそられた。」
・・・は?
玲「透ちゃんの泣き顔・・・すごくそそられた。」
「へ・・・」
なな、泣き顔?
玲「可愛すぎて心臓止まるかと思った。」
「・・・な、何言っちゃってんの君。私は断じて泣いてません。コンタクトがずれただけです。」
玲「もう・・・あれは反則だよ透ちゃん。」
「いやいやだから---ちょ、え!?」
悩ましげに目を伏せてため息を吐く玲くん。
そしてうっとりと目を開き再び距離を詰めようと顔を寄せてくる。
「コ、コラ!何するつもりだ!」
玲「なにって・・・もう我慢するのムリ。キスさせて?」
「は---は!?」
キス?
キスさせろだと?
「な、何言ってんだ君は!ちゅーしてゴメンって・・・たった今謝ったばっかだろ!」
玲「え?」
え?じゃない!
「とぼけるな!そ、それにっ---!変なことしないって言ったじゃないか!約束はちゃんと守れ!」
玲「約束?・・・あぁ・・」
いかにも「忘れてました」って顔の玲くん。
だがな・・・
--透ちゃんと一緒にいたいから
--だから変なことしない
家に来る前に誓っただろ。
忘れたとは言わせんからな!
玲「だから先に謝っとくね、ごめん。」
・・・。
・・・え?
玲「約束守れなくてごめんね?」
「・・・・・。」
(な、なにそれ・・・)
まさか、まさかだけど・・・
さっきから言ってるごめんってそういう意味?
変なことしないって約束したけど・・・
やっぱり変なことしたいから約束破るね、ごめん。
みたいな?
「ふ、ふざけんなー!」
玲「わっ・・」
ゴメンで済んだら約束なんていらないんだよ!
ていうかまだギリギリ間に合うだろうが。
謝る前に守る努力をしろ!
「いい加減にしろよ玲くん!今ならまだ許してやるから!バカなこと考えてないでさっさと--」
玲「よいしょ。」
「あ!コラ!何すんだ!」
玲「だって透ちゃんが暴れるから。ちょっと大人しくしててね?」
「ちょっ、うわっ!」
拘束していた両手首をグイッと持ち上げられた。
そしてあろうことか・・・
頭の上で一まとめにしやがった!
玲「よし、これで右手が使える。」
手をヒラヒラさせながらへへっと笑顔。
ていうかさらっと怖いこと言うな!
(な、なんなんだよこの王子----!)
さっきまでは普通だったのに
俺がいるよ、透ちゃんの味方だよ、なんて友達の中の友達面してたくせに・・・
この---裏切り者め!
いやいや待て待て!
今はそんなこと考えてる場合じゃない!
「ちょちょちょっと待て玲くん!話を聞いてくれ!」
玲「えー、なに?」
「この前言ってたよな!ゲームやめるって!」
玲「うん、やめた。」
「私達は友達だよな!」
玲「うん、友達だよ。」
よ、よーし!
「だったら今すぐ退きなさい!」
玲「なんで?」
「なんでって---友達同士でこれはおかしいだろ!」
玲「え、おかしくないよ。」
「お、おかしいんだよ!だいたい君は---!」
玲「ふふっ」
「---は!?」
玲「泣き顔も良かったけど・・・怒った顔も可愛いね。」
「・・・・・。」
ダ・・・
ダメだこいつ!
「て、てんめぇいい加減にしろよ!もう怒ったマジで怒った!今すぐ退け!じゃないと絶交だ!」
玲「えー。」
「マジだぞ!マジだからな!」
玲「・・・絶交は嫌だ。」
「だったら---」
玲「ねぇ、そんなに怒らないでよ透ちゃん。」
「-----!」
玲「絶交するなんて言えないくらい
気持ち良くしてあげるから。」
細められた玲くんの目が
青く光ったような気がした。
「------っ・・!」
思わず、息を呑んだ。
もちろん急に頬を撫でられて驚いたからってのもある。
でも・・・
なんか違う。
さっきまでの可愛い玲くんはどこへ行ったのか
ゆっくり近づいてくる別人かと思うほど鋭くて
そして・・・
寒気がするほど、色っぽい。
(ちょっと・・・待っ・・)
こいつは一体誰だ。
こんなの・・・
こんなの私の知ってる玲くんじゃない。
「・・・・・っ--!」
あまりにも「男」な玲くんに気圧されて
背中に嫌な悪寒が走った。
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