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忍の話題に冷や汗かいたり
玲くんの「大丈夫」にうっかり涙が飛び出たり
今日はヤケに感情を揺さぶられる日だ。
だからだろうか
「----ん?」
唇に柔らかな感触を感じても
玲くんの長い睫毛を至近距離で直視しても
まるで夢でも見てるかのように
我が身に何が起きてるのか良く分からなかった。
だがそれも
熱い舌の侵入であっさり終わりを告げる。
「---ん!?んぅーっ!」
もはや無条件反射。
無意識に手が動き玲くんの肩を力いっぱい押し返す。
しかし---王子もやはり男。
懇親の抵抗虚しくあっさり拘束される手首。
そしてあろうことか体ごとソファーに押し倒された。
「ちょっ---えっ?やめ------んっ!」
一瞬だけ解放された唇。
だがすぐに塞がれた。
(----?------!?)
意味不明な展開に頭が動かない。
ついでに体も動かない。
なんて無駄の無い押さえ込み。
「なにすんだコラーっ!!」
思い切り叫び散らしたい。
だがムリだ。
追い詰めるように塞がれる唇
黙ってろとでも言うように口内を蹂躙する舌
さっきまでの穏やかエアーはどこに捨てたのか。
今の玲くんは正に獣。
叫ぶどころか呼吸すらままならない。
(やめんかコノヤロー!!)
とりあえず足をバタバタやってみた。
ていうか、なにこれ。
一体何が起こってるんだ?
もしかしてだけど
これってまさかの君流友情表現じゃないよね。
-- 友達が泣く姿なんて見てられないよ。
-- キスしてあげるから泣かないで、ね?
みたいな?
いやいやふざけんな!
こんな過激な友情お断りだ!
「ん----ぅ・・・!」
それにしても・・・
これは、非常にヤバイ状況だと思う。
そうだろうな、とは思ってた。
そして不運なことに予想は的中。
やっぱり玲くんも
キスが上手い。
「ん・・・!」
じゃれるように唇をぺロリと舐めてみたり
裏腹に熱っぽく舌を絡ませてきたり
変態による余裕たっぷり大人キスとも違う
俺様による怖いくらいの甘いキスとも違う
可愛らしいのに情熱的というか・・・
そんな無邪気なキスに
ヤバイくらいにクラクラする。
そして困ったことに
ヤバイ理由がもう一つ。
それはね・・・
さっきから、リアルに息ができない。
「---、・・待っ---!」
今の今まで泣いてたんだぞ?
それなのにこんな激しいキス・・・
今の私に、耐えられるワケがない。
「れい、く---!」
玲「・・・・・。」
「苦---し・・!」
玲「-----。」
---殺される
ふと不吉な予感が頭を過ぎった。
(まさか、まさかね・・・いやいや絶対本気だろコレー!)
命の危機だ。
さっきより激しく足をバタバタやってみる。
頼むよ玲くん。
お願いだから息継ぎさせて---!
「-----っ!?・・・は、ぁっ!!」
死んだ!と思ったその時
台風もビックリな勢いで酸素が入り込んできた。
「はっ!はぁっ!ぜぇっ!!---はぅっ!」
く、苦しい。
マジで苦しい。
全力マラソンの3倍苦しい。
「ぜぇっ!ぜぇっ!」
玲「・・・・・・。」
「はぁっ!ゲホゲホ---ッ!」
玲「・・・透ちゃん、大丈夫?」
激しく咳き込む私
そしてなぜか頭を撫でてくる玲くん
ていうか大丈夫かだと?
なんて白々しい。
見ての通りじゃコラ!
「てっ、てんめぇこの---!ふざけんなッ!」
怒った。
もう---怒ったからな!
「一体なに考えてんだ君は!死ぬところだっただろ!」
玲「・・・・・。」
「その前に何でキスした!まさか友情キッスなんて言わないだろうな!?」
玲「・・・・・。」
「ていうか退け!いつまで乗っかってるつもりだ!」
玲「・・・・・。」
怒りポイントが多すぎて自分でも何を言ってるのか分からない。
とにかく私は怒っている。
色んな意味で怒り爆発。
「とりあえず手!手ェ放せ!」
玲「・・・・・。」
ギラリ!
音を鳴らす勢いで玲くんを睨み上げる。
正にカミソリアイ。
今なら視線で殺れそう。
「聞いてんのか!?さっさと放さないと本気出すぞコラ!」
玲「・・・・・。」
「ほら!早く!」
玲「・・・・・。」
「おいコラいい加減に---!」
(・・・え?)
突然ですが
思考がフリーズ。
だって、なにコレ。
「れ、玲くん・・・?」
すぐ目の前の王子はいつも通り
とっても綺麗な顔で私を見つめている。
だがその瞳はキラキラと潤み
すべすべの頬はなぜかポッと紅く染まってて
「え、えと、あの---?」
どうした。
どうした玲くん。
なんでそんな可愛い顔してんの。
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