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「ご、ごめ・・・透ちゃんごめんっ!」
瞬きひとつで零れ落ちそうな涙
わずかだけど感じる体の震え
それもこれも全部
俺のせい・・・
「ごめん、ごめんね・・怖かったよね・・・」
透「---っ・・ッ・・・」
(あーもう・・・俺のバカ!)
別れ話の最中ならともかく
寝込みを襲って女の子を泣かせるなんて・・・
サイテーじゃん俺。
もし5分前に戻れるなら自分の頭を思い切り殴りつけてやりたい。
「透ちゃんごめんね?もうしないから。お願い、泣かないで・・・」
恐る恐る涙を拭ってみる。
でも・・・ああどうしよう
すぐに溢れてくる!
透「---っ・・」
涙が落ちないよう頑張ってるのか、きゅっと眉根を寄せる透ちゃん。
その仕草も表情もとっても可愛いんだけど・・・
ダメだ、ものすごく胸が痛い。
自己嫌悪で押しつぶされそう。
「透ちゃん本当にごめなさい。心から反省してるから--」
透「・・・ごめん・・」
・・・え?
「え・・あの---」
ごめんって・・・え?
透「--ごめ・・・ッ・・」
「----!」
(こ、今度はなに?)
透ちゃんは何かを耐えるように唇をきゅっと噛みしめた。
なんでだろう・・・
その表情はなぜか悲しそうで
そしてそんな表情を浮かべたまま
ゆっくりと手を伸ばしてきた。
「透、ちゃん---?」
向かってくる指は小さく震えてて
まるで助けを求めてるように見える。
出来れば掴んであげたい。
でも---
体が動かない。
透「ごめん---」
透ちゃんの両手は俺の頬を通り越し
遠慮がちにそっと髪に触れた。
「-----ぇっ・・」
な、何をするつもり・・・?
透ちゃんの細い手は俺のうなじを包み込み
ゆっくりと自分の方へ引き寄せていく
そして俺は
透ちゃんの首元に顔を埋めた。
「---透・・・ちゃん?」
これはあれかな・・・
もしかしてだけど
抱きしめられているんだろうか
(な、何が起こってるんだ・・・?)
透ちゃんの指が俺の髪を優しく撫でる。
時々すがるように腕に力が篭って、そしてまた髪に触れる。
「・・・・・・・・。」
情けないけどされるがままだよ。
だって・・・
どうしたらいいか分からない。
透「---ごめん・・」
「・・・・あ、あの。なんで謝るの・・・?」
透「----ッ・・」
「・・・透ちゃん?」
聞こえてないのかな。
それとも答えたくないんだろうか。
まるで聞こえないフリでもするように強く抱きついてきた。
「えと、ごめん・・・言いたくないなら」
透「やっぱり・・無理だ・・・」
「え?」
透「何度抱かれても・・・お前を好きにはなれない。」
「え・・・」
透「---だから・・・ごめん・・・」
(ちょ---)
ちょ、ちょっと待ってなに今の。
何度抱かれても?
お前を好きにはなれない?
え、え?
それってまさか・・・
俺に対する完全拒否宣言?
(う、うそ・・・!)
まま、待ってよ透ちゃんお願い考え直して。
面と向かってそんなこと言われたら---
リアルに立ち直れない!
「あああのあの・・・透ちゃん本当にごめなさい!」
透「--ごめ・・・」
「今日はもう大人しくするから!」
透「・・・っ・・ッ・・・」
「ね、だから許して--」
透「忍・・ごめん--ッ-」
「透ちゃんあのっ----!」
・・・・・・。
・・・・・・?
透「ごめん----ごめんな、忍・・・」
「しの--」
シノブ?
シノブって
誰?
透「---っ・・・ぅッ・・・!」
「-------!」
首に回された腕に力が篭る。
そして苦しいほど強く抱きついてきた透ちゃんは
とうとう激しく泣き出してしまった。
(-----え、と・・・?)
どうやら透ちゃんは
寝ぼけているらしい。
透「ごめん忍---ごめ・・ッ・・」
「・・・・・・・。」
きっとお酒のせいもあるんだろうけど
俺のこと「シノブ」って人と勘違いしてるみたい。
「透ちゃん・・・」
拒絶されるかもってドキドキしたけど、ゆっくり背中に手を滑り込ませてみた。
言っとくけどさっきの続きをしようなんて変な意図はないよ。
ただ震えながら泣く女の子を放っておくわけにはいかないだろ?
まぁ、さっきのアレが勘違いで余裕が戻ったからともいうけど。
「透ちゃん、泣かないで?」
透「・・っ・・・・ッ・・」
それより透ちゃんは
シノブって人になにをしたんだろう。
だってあの男らしい透ちゃんがだよ?
涙を流して謝ってるんだよ?
きっと・・・
いや絶対とんでもない何かをしでかしたに違いない。
---忍もお前に会いたがってたんだけどな
(あ・・・)
ふと、司くんが言ってた名前を思い出した。
もしかして「シノブ」って司くんが言ってた人のこと?
まあ、有り得なくはないよね。
さっきの会話から考えると司くんも透ちゃんも「忍」とは知り合いみたいだったし
特に司くんは「忍」と仲良さそうな印象を受けた。
でも、透ちゃんは---?
(あれ・・・)
あの時の透ちゃん
様子がおかしくなかった?
それに
---何度抱かれてもお前を好きにはなれない
それって一体
どういう意味?
透「---ぅ・・っ----ごめ・・」
相変わらず泣きながら謝り続ける透ちゃん。
出来ればもういいよって言ってあげたい
今だけでもいいから安心させてあげたい
でも簡単に立ち入ったらいけないような・・・
そんな気がして
「透ちゃん、もう泣かないで・・・」
情けないけど、これしか言えなかった。
透「--っ・・・・ぅッ・・」
「透ちゃん・・・」
震える体をそっと抱きしめる。
なんでだろう・・・
「シノブ」を呼ぶ声があまりにも悲しそうで
俺まで泣きたくなってしまった。
・・・・GAME・トラブル×トラブル(完)
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