BAR・Black Part1

BAR・Black Part1 / 1 SAKURA∞SAKU first




桜館へ来て、1週間経った。







感想は、まぁ・・・あれだな。







至って楽だ。

こんなに楽でいいんすか?っていうほど楽だ。







この1週間で分かったこと。







ここの住人達はとことんフリーダム&自己中で

女遊びが激しい。


そして、晩飯は全員揃うことがない。


ま、朝から晩まできっちり共同生活しましょうって歳でもないし

逆に寮のように規則正しく過ごしましょうってのは私も無理なんで

そこらへんはとっても助かっている。



けど



ここまで乱れた生活を送るヤロー共を目の当たりにすると

こんな大人にだけはなるな若者達よ・・・

なんて思ったりもする。

まあ、私も人のことは言えないんですが。







「有希、今日の夜は?また家で飲むのか?」







来た。







乱れた大人の中にいる最年少の男子。

キューティー累たん。




腐った大人ばかりの桜館住人の中、累は私に気遣ってくれているのか

「今日の夜はどうすんの?」

と毎日聞いてくる。


私的には気遣ってもらわなくても全然大丈夫。

放っておかれるのも一人でいるのも全然平気。

うさぎさん体質じゃないからな。






累「どうするの?」

「うーん。」






ここ最近、引越し作業に追われてほとんど家から出てなかったからな・・・

たまには外に出るか。

近所の道も覚えないといけないし。






「今日は外に出るよ。」






累以外の諸君は

今日も全員、晩御飯→ × のボード。


ある意味凶暴性炸裂してる気もするが・・・

野獣と言えども家をぶっ壊すような凶暴な奴らじゃない。

つまり張り付いて家を守る必要もないってことで・・・



今まで通り、私も夜飲みに行っても大丈夫なんじゃね?



なんて思ってる次第であります。







累「外に出るって・・・誰かに誘われてるのか?」







少しムスッとしながら聞き返してくる。

あ、累たん。

その顔可愛いぞ。






「一人だぞ。ぶらぶらして適当に店に入ろっかな。」

累「・・・有希って意外とチャレンジャーなんだな」

「へ?」






チャレンジャーってなんだよ。

今時一人で店に入るのは常識だろ。

人間皆孤独なんだよ。

厳しい社会で生きていくためにはラーメン屋でも飲み屋でも一人で入れる図太い精神を持っていなければな!






累「まぁいいや。行くとこ決まってないならさ、俺が良く行くとこに付き合わない?」

「へ?」

累「大学の知り合いがやってるとこなんだけど。最近顔出してないから。」

「そっか。じゃあそこにする。」

累「よし。じゃあ取り合えず7時に家を出るって事でいい?」

「あぁ。」

累「仕事終わったら声かけて?」

「了解。」






累たん・・・・

ありがとう。



白状するけど強がりだったんだよ。

やっぱ私も一人でちびちびやるのは嫌さ。

どうせ飲むなら楽しく飲みたいもんな!


チャレンジャー?

いやいやとんでもない。

私の心臓なんてとんだチキンハートっすよ!




決して口には出せない心情を飲み込んで仕事に取り掛かる。




今日の夜は久々に外飲みだ。







(一人でも行けるような雰囲気の店だったらいいなぁ。)







ちょっぴり楽しみを感じながら仕事に取り掛かる。






「お、あと2時間。」






楽しみがあると時間が経つのが早いもんだ。






「おぉ。あと1時間。」






ほらあと1時間・・






しかない。







「や、やばい。終わらん。」







そして時間が足りなくなるのも定番。


やばい。

ラストスパートだ。

キーボードを叩く指が有り得ない位早くなる。

日頃からこんな風にスムーズに動いてくれると助かるんだが。






「よ・・・よし。とりあえず終了。」






6時45分。

超ぎりぎりだった。



適当に着替えてキャップを被り

ちょこーっと化粧して






累の部屋をノックする。







「累たーん。仕事終わったぞー。」

累「分かったー。」







中から返事が帰ってきた。