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「・・・。」
晋「・・・。」
「・・・。」
晋「・・・。」
腹への天誅から2分後。
我々は今、ベッドの上で対面し
沈黙という気まずさをむさぼっている。
晋「・・・。」
胡坐をかく晋。
さっきの天使なお前はどこへ行ったのか。
眉間にシワを寄せ口元を引き締め
全く可愛くない表情で私を見ている。
「・・・。」
対する私はというと相変わらず素っ裸状態。
もちろん頭から布団で身を包んでいる。
真っ黒な布団に包まるこの姿、例えるなら明日の天気は嵐オンリー的なテルテル坊主・・・
いやいやそんなことはどうだっていい。
「・・・。」
晋「・・・。」
相変わらずの沈黙地獄。
何か話さなければ、と思うがどう切り出したらいいか分からない。
---お先にどうぞ
恐らく考えてることは晋も同じだと思う。
(・・・参ったな。)
本当は文句のひとつでも見舞ってやるつもりだった。
でもね・・・
思い返してみれば私も流されそうになったわけだし、一方的に文句を投げるのは違うような気がする。
だがこの状況は?
この気まずい空気はどうやって乗り切ればいい?
晋「なぁ。」
「は、はいっ!」
突然話しかけられてビビる。
軽く声が裏返った。
晋「・・・体は?」
「・・・へ?」
晋「体、平気か?」
「え・・・」
か、体?
「体はまぁ・・・ボロボロだ。」
晋「・・・。」
「腰が痛くて堪らん。」
晋「・・・。」
腰、っていうか体中だけど。
晋「・・・悪かった。」
「-------は?」
晋「だから、悪かった。」
「・・・。」
すっごくバツの悪そうな顔を見せる晋。
思わず「気にすんなよ!」なんてフォローしそうになってしまう。
ていうか・・・
そんな顔するくらいなら初めからヤるな。
(でもまぁ・・・)
「謝るなよ。昨日は私にも非があったし・・・お互い痛み分けってことで水に流さないか?」
晋「・・・非?」
「え?あー、いや・・・それはこっちの話。」
晋「?」
流されそうになりましたなんて言えない。
口が滑っても言えない。
「・・・。」
晋「・・・。」
「・・・。」
晋「・・・。」
は、話が続かん。
「え、えーと、そういうことで・・・そろそろ帰るよ。」
晋「帰る?」
「ああ。体だるいし帰って寝たい。」
晋「・・・。」
「いいよな?」
晋「・・・。」
再び沈黙コースに突入しそうだったので切り出した。
気まずい空気なんてもうこりごりだ。
それにマジで帰りたい。
心身共に限界です。
「よいしょっと。」
そうと決まればさっさと退散しよう。
布団がずり落ちないよう押さえつけ、ゆっくりじわじわと後退する。
(あ。)
「あーそうだ、忘れるところだった。」
晋「・・・。」
「お前に言っておくことがある。」
晋「言っておくこと?」
後退を一時中断。
これだけは言っておかないとな。
不思議そうな表情の晋をまっすぐ見る。
「これ以上ゲームには付き合えないからな。だからもう、連絡してくるなよ?」
ビシッと指をさし、眼力五割り増しで凄んでやった。
晋「連絡、するな?」
「ああ。」
晋「なんで。」
「なんでって・・・」
晋「・・・?」
首を傾げる晋。
今説明したばっかりだろ。
聞いてなかったのかよ。
「だから、お前らにはもう付き合えない。ゲームはお前の勝ちでいいから。もう私に構うな。」
---ゲーム
それはすなわちターゲットの心を奪う遊び
オプションとしてエッチも有り
内容は分かってた。
エッチ有りなんてふざけんな!とも思ったがルールもちゃんと知ってた。
もちろん逃げるつもりだった。
万一、捕まった場合は鉄壁で身を守りきるつもりだった。
我ながら逃げ足にも腕っ節にも自信があったし、私なら大丈夫!なんて思ってた。
だがダメだった。
しかも2回もダメだった。
初めのころの自信?
そんなもの、この変人共を前に跡形もなく砕け散った。
自分の身は自分で守れ?
誰だそんな言葉を作ったのは。
こんな展開、予測もしてなかった。
そしてこんな展開になってしまったからこそ強く思う。
これ以上ゲームなんかに振り回されるのはゴメンだ。
「正直言ってさ。マジでエッチに発展するなんて思ってもなかったよ。」
晋「・・・。」
「でもまあ・・・不本意とは言え一回ヤっちまったことだし。お前もこれで満足しただろ?」
晋「-----------」
「だからもう連絡よこすな。見かけても声かけるな。もちろん私も接触しない。」
晋「・・・。」
「お前との縁もこれで終わりだ。」
晋「・・・。」
「分かったか?」
晋「・・・。」
返事なし。
まぁ、返事がない=OKってのは世の中の常識。
それに実際に満足したんだろ。
一人の女と何回も、ってタイプじゃないもんなこいつ。
とにかく、お前とはこれでさよならだ。
思い返せば短期間で色々あったよなぁ。
短い付き合いだったけど、これからも適当に元気でやれ--
「-------っっ!!?」
突然、視界が一変した。
「----!?-------!?」
腕を引かれたのは分かった。
次の瞬間背中への軽い衝撃
ベッドに押し付けられる両手
そして視界には真っ白な天井と---
静かに怒る、俺様。
「な、なにす--!」
晋「・・・ふざけんな。」
「なにっ!?」
晋「ふざけんな。」
「だからなにが-----っっ!!」
切れ長の男らしい瞳。
相変わらず美しすぎるソレが
ギラッと光ったような気がした。
「な、な、なんで睨むんだよっ!」
晋「黙れ。」
「-----!」
(ウ、ウソだろ---)
視線ってこんなに鋭くなるもんだったっけ
空気ってこんなにビリビリ震えるもんだったっけ
晋「好き勝手言いやがって・・・」
まっすぐな視線とオーラが突き刺さる。
なんかこいつ
すっげぇ怒ってる---
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