初体験

初体験—02 GAME




---私は何かやらかしたのか?
---晋を傷つけるようなことを?





というわけでここ数日間
私はとことん悩んでいるのだ。


しかし


どんなに考えても分からない。
さっぱり思い出せない。






そして、だんだん腹が立ってきた。






百歩譲って私が原因だとする。

だがなぜ私が悩まないといけないのだ!


元はと言えば私を連れ帰った晋が悪い。
素直に家に帰らせてくれれば傷つくこともなかった。

そうだろ?





大体、晋といい辰巳さんといい、あいつらときたらあまりにも節操が無さ過ぎる。

気安くほいほい手ェ出してきやがって・・・

ゲームだかなんだか知らんが女を舐めてる。

(格闘ゲームに負けたことはこの際無視しようと思う。)




ま、イラッとするレベルの色男共だからな。

今までの人生、女の方からわんさか寄って来ただろう。
何をやっても許してもらえてたんだろう。





だが私は許さんぞ!

人間皆平等。

イケメンだろうがなんだろうが厳しくいくからな厳しく!






「はぁ・・・」
直「透さんどうしたんですか?」
「・・・・。」
直「透さん?」






それに・・・






これ以上エロスの世界に引きずり込まれるのは困るのだ。





なぜなら、何度も言うが私はエッチが怖い。





事実、変態にヤられた時も晋に迫られた時もアイツの声を思い出した。

すごく、怖かった。





---アノコトは思い出したくない。





考えたくもないし誰にも触れて欲しくない。
出来ればこれから先もずっと触れずに生きていきたい。






---時間が解決してくれる






昔の人はイイことを言ったもんだ。

辛いことも悲しいことも時間と共に痛みが薄れ、いつかは思い出になる。

正にその通りだと思う。
そしてその通りであってもらいたいと思ってる。






なのに---








「何がゲームだふざけやがってー!!」







あのヲタクヤロー共め・・・

人の繊細な心の傷をなんだと思ってやがる!






直「え、透さん?どうしたんですか?」
香「透?」
葵「透さん?」





あいつらがイケメンなのは認めよう。
女遊びが許されるグレードの高い色男だとも思う。

だがしかし---

私で遊ぶな!!





「---チッ!」
香「あああのあの・・・透?」
「くそ、ムカムカする!」
直「ムカムカ?胃モタレですか??」
香「い、胃モタレだって!葵くん!胃薬!」
葵「いい胃薬胃薬・・・」





とにかくこれ以上構うのはやめて頂きたい。
そしてゲームも終了してもらいたい。


でもどうすれば奴らと関わらないで済む?
どうすればゲームを強制終了させられる?



作戦A 素直に相談---したけどダメだった。
作戦B 他の女を薦め---たけどダメだった。
作戦C 徹底的に逃げ---られなかった!






「なんだよくそッ!全然ダメじゃーん!!」
直「そ、そんなに辛いんですか?とりあえずお酒は控えて・・・温かいお茶なんてどうですか?」
香「お茶!?葵くんお茶!」
葵「おおお茶お茶・・・」





なんなんだよあいつら。

何食ったらあんな非常識な大人になれるんだよ。

さっぱり理解できない。
理解したくもないけどな!





「あーあーあ!マジでムカつく超ムカつく!!」
香「ちょっと透!大丈夫!?」
直「葵クン!お茶急いで!」
葵「はいぃっ!ただ今!!」









----- 『待て、透。』










(・・・・・・・・・。)








くそ・・・まただよ。








あいつらは、変だ。

女を女と思ってない心が病んでる人種だ。
イケメンの皮を被った最低ヤロー共だ。

なのに---








なんであの時、あんな顔しやがった?








(チッ・・・晋のヤツ・・・)








また思い出してしまった。

まるで何かに心を傷つけられたような・・・

そんな、辛そうな表情。






「・・・私が悪いのかよ。」
香・直・葵「えっ?」
「私が何かやったのかよ!」
葵「そ、そんな!透さんは悪くないっすよ!何もやってないっすよ!」





そうだヤっていない。

私はあいつらとは違う。

人が傷つくことには手を出さない良識のある立派な大人だからな。





でも---






「謝った方がいいのか?」
香・直・葵「え?」
「やっぱ、謝った方がいいよな・・・」
葵「謝るなんてそんな!悪いのは胃モタレっす!透さんが謝る必要ないですよ!」






謝った方がいい。
いや謝るべきなのだと思う。



だってあの晋があんな表情を見せたんだぞ?



信じたくはないが無意識のうちに何かやらかしたとしか思えない。

あの俺様の心をえぐる残酷な何かを・・・






(残酷な・・・・)






や、やっぱり謝っとこう。

このままじゃ気になって仕方が無いし・・・

人を傷付けたら謝りなさいって誰かが言ってたような気がするし・・・

私って晋と違って大人だし!






「し、仕方ない!ここは大人の出番だよな!大人の私が大人の対応を見せるとこだよな!」
香・直・葵「はっ!?」





よし、明日ヤツに連絡してみよう。

祝日だしあいつも休みかもしれない。

待ってろ俺様。

私とお前の心の出来の差を見せ付けてやる。





そうと決まれば---





「よーし今日は飲むぞー!葵!酒だ酒持って来い!!」
葵「えっ!お茶じゃないんですか!?」
「お茶だと!?酒飲みに来てんだぞ!酒を出せ酒を!」
葵「は、はいぃっ!」
香・直「・・・・・・。」







それでは







「改めて!カンパーイ!!」

香・直・葵「カ、カンパイ!」








とりあえず今日は飲ませてくれ。

グッバイ悩み!

Let's ストレス発散だ!