軽ノリすんな・孝

軽ノリすんな・孝—4 SAKURA∞SAKU first




「-----っ!んーーっ!!」






うなじをグッと引き寄せられ

逆の手が背中をホールド。

思いっきり突き飛ばそうとするが・・・

ビクともしない。






(こ、こいつ・・・・っヒョロイくせにめちゃくちゃ力あるじゃねぇかぁ!!!)






まぁさっきの締め付けで分かってたことだけどな。

でも本気で押してるんですけど!

なんで全然動かないんだよ!!






「こっ・・・・・こら、止めろ!放・・・せっ---っう・・・んっっ!」








(や、やばい・・・)








さすが経験値高そうなだけある。







こいつ、キスが・・・・・上手い。







捕まるまいと逃げるのに







何度も何度も絡め取られる。







「ぁ・・・ぅ・・・」







(ちょ・・・ちょっとタンマ・・・)







息が・・・

息が出来ないんですけど・・・






酸欠で頭がぼーっとして






体から力が抜けていく。






あぁ・・・さっきやっと死を免れたってのに

これじゃまたお花畑コースだよ。







(・・・・・・・あ)







てか、累いるじゃん。

人前で-----こんなんありなのか?

公然チューなんて・・・

マイ常識では有り得ないんすけど。




それより累。

てめぇ助けろ。

元はといえばお前の失言のせいでこんなことになってんだぞ・・・・






くいくいっ






(累たん助けて・・・また死にそうです・・・)






酸素不足でボーッとする頭にムチ打って

自由に動く手で累に助けを求めた。







累「・・・孝、いい加減にしろよ。有希が死に掛けてる。」

孝「・・・・・。」






累の声にピクッと反応する俺様。

そして卑猥な音を立ててゆっくりと唇が離れていった。






「---っはッ!はぁっ・・・はぁッ!」






お、お帰り!

お帰り酸素!

again!!!






「し・・・死ぬかと思った・・・」

孝「キスくらいで死ぬか。」






(ここここ・・・・こいつは・・・・・っ!!!)






よくも、よくも---

かるーくディープなヤツかましてくれやがってぇ!





『チューしましたが何か?』みたいな顔してんじゃねーぞ!





お前が稀に見る男前だってのは認める。






だが全ての女子がてめぇにひれ伏すと思うなぁぁぁぁ!!!!






「この------バカたれがぁぁぁっ!!!!」

孝「-----ってぇ。」






思いっきり殴ってやった。

そりゃヤるだろ。

怒りの鉄拳。

当然の報いだ。






「初めにちゃんと言っただろうが!軽ノリなんて更々お断りだ!キスのテクニックなら自分の女に披露しろ!私で試すんじゃねぇ!一回分返せコノヤロー!!」

孝「返すかバーカ。」






にゃ---にゃにおぉぉ!!??






累「ぶ・・・ぶはははっ!」

「累も笑うなっ!てめぇも返しやがれ!」

累「返すかよ。」

「て・・・てめぇらぁぁ!!!」






なめてる。

このガキ共---

確実に大人をなめてる!






要「何ー?お前ら夜行性なの?あらら、孝まで懐いてやがる。」

孝「そんなんじゃねぇよ。」






2階からひょっこり顔を覗かせる要ちゃん。

もしや煩くて眠れなかったとか?

すんません。

でもね、でもね!






「か、要ちゃん助けてくれよ!大人だろ!?大人仲間だろ!?こいつらに大人の意見をガツンと言ってやってくれよ!!」






桜館住人ランキング。

少ない情報から判断すると要ちゃんが一番マシなはずだ。

こいつらよりは、多分!






孝「・・・いいのか?あいつは一番危険だと思うぞ。」

「え・・・」

累「・・・・・・。」






累、何故黙る。






「・・・・やっぱいいっす。」






累の沈黙にリアルにドン引き。

だって五十嵐孝より危険だったらもう・・・

手に負えないじゃないか。

ピンチどころの話じゃない。






要「そう?飲むのも程ほどにしろよー」






そう言って部屋に入って行った要ちゃん。

もう煩くしません。

ゆっくりお休みなさい。







(こ・・・こここここ怖い。)







怖ぇ・・・







この家怖ぇよ!

やっぱ引っ越そう・・