ありがとな・・・

ありがとな05 realReal






(ダメだ、考えるな。)









彰は、いなくなる。









それにきっと、もうすぐいなくなる。









ネガティブに考えてるとかそんなんじゃない。

こいつを見てれば嫌でも分かる。





見るたびに今にも眠ってしまいそうで。

でも明らかに寝るのを恐れてる。
そして必死に睡魔と戦ってる。






つまりそれは







次にあいつが眠った時









それが俺たちの、別れ。









そういうことだよな。









受け入れたわけじゃない。
受け入れられるはずがない。




本当は腕を掴んで引き止めたい。
行かないでくれと叫び続けたい。






でも彰を見てたら何も言えなくなった。







---戻りたくない







この前寝言で呟いた言葉。

その言葉通りこいつは戻りたくないんだろう。

だからこそこんなに必死に戦ってるんだと思う。





じゃあ俺は?

俺はどうすればいい?





こいつのために何をしてやれる?








「さてさて。片付け済んだら私も帰ろっかな。」
「・・・そうか。」







結局俺は、見守ることしか出来なかった。







引き止めることも出来ない。
一緒に戦うことも出来ない。






こいつのやること、やりたいことを

黙って見てることしか出来ない。






なんて、無力だと思う。






「迅はもう寝るのか?それとも勉強?」
「・・・分かんねぇ。後で考える。」
「そっか。」






余った菓子やコーヒーカップを片付ける。

カップを洗ってテーブルをふいて

そして







「じゃ、帰るよ。」







こいつは普通に、そう言った。







「・・・お前は、寝るのか?」
「ああ。今日は・・・ぐっすり寝ると思う。」






玄関まで一緒に行く。

そしてスリッパを履き、俺を見上げて「寝る」と答える彰。




---ぐっすり寝ると思う。




変な日本語だ。

でも、それはつまり







今日、眠ってしまうんだな








「それじゃ、今日はありがとな。」
「-----ああ。」
「お休み。」
「-----お休み・・」






俺に背を向けドアノブに手を伸ばす。

そしてそれを掴んで---








(なんで・・・)








何も言わないのか?

今日は眠るんだろ?





何も言わずに






何も言わずにいなくなるのかよ---











「-----んっ!?」











気付いたら腕を掴んでた。






そのまま引き寄せ背中に腕を回して







そして








唇を重ねた。