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「小さいのは少しずつ運んで大きいのは業者に頼みます。今月いっぱい今の部屋借りてるんで。」
要「業者に頼むの?俺ら手伝うのに。せっかく男が集まってるんだからさ。」
「えっ」
おぉ、高野要。
あんた意外といい奴なんだな。
純「姫の為なら俺も頑張るよ。」
累「俺も手伝う。」
純くん、累くん、お前ら・・・・・!
実はいい奴だったんだな!
さっきまで似合わねぇとかブラックとか思って本当にごめん!
「すっげぇ助かるよ。ありがと----」
「「めんどくせぇ」」
「・・・・・・・・。」
会話の途中で2人がハモった。
犯人は帝王と五十嵐君だ。
累「お前らガキだな。少しは協力ってもんを学べよ。」
杉「必要ねぇだろ。」
孝「お前にガキ呼ばわりされる筋合いはねぇ。」
・・・拗ねてらっしゃるんでしょうか。
(・・・ったく。)
せっかくいい雰囲気になってるってのに空気読めよ。
対面するソファーにそれこそ対面して座る2人。
足を組み腕を組み機嫌を損ねている。
うーん、まるで鏡を見ているようだな。
「面倒なら構わないっすよ?それに2人とも力なさそうだし。もしかして私の方が強かったりして。」
「「・・・・・。」」
「それに比べて要ちゃんと累君は力ありそうだよな。」
純「俺は俺は?」
「君は・・・ありのままでいいと思うぞ。」
純「そっか。」
累「変な会話だな。」
要ちゃんはその会話に再び肩を揺らしている。
よく笑う奴だ。
孝「てめぇふざけてんじゃねぇぞ。さっきからこいつと一緒にまとめやがって。」
杉「・・・・・・・・おい。」
五十嵐君が恐ろしい顔で睨んでくる。
ていうかあんた思いっきり杉浦君のこと否定しちゃったけど大丈夫か?
杉浦君、顔超怖ぇ。
「だって同類じゃないっすか。同じ匂いがする。」
孝「一緒にするな。」
「ヒョロいし。」
孝「てめぇ・・・いい加減に---」
「力があるんなら手伝ってくれないっすか?実はどうするか悩んでたんですよ。さっきはイジワル言ってゴメンなさい。」
孝「------!」
謝るのは杉浦君に失礼だが五十嵐君は嫌がっているので謝ることにした。
お詫びにニッコリ笑ってやる。
有り難く頂戴しろ。
(へ・・・?)
一瞬、五十嵐君の綺麗な目が大きくなった。
(な、なんだ?意外な反応だな。)
孝「・・・・・・・・仕方ねぇ。少しなら手伝ってやる。」
「へ・・・・」
ツ・・・・・・ツンデレ?
「あ、ありがと。嬉しい。助かる。」
いきなり露見された五十嵐孝の裏技。
突然投下するんじゃない。
びっくりしてお礼が片言になっちまったじゃねぇか。
それにしてもいきなり可愛い一面を発見してしまった。
なぜか興味深い反応を示し、手伝ってくれるらしい五十嵐君。
もしや私のスマイルに惚れたか?
(まぁ、年上のお姉たまに叶うと思うなよ。ふっふっふ。)
ついつい調子に乗る。
要「ぷっ!何その反応。」
純「なんでだんまり決め込んでるんだよ。孝らしくないな。」
孝「煩ぇ、気が変わったんだよ。」
純「へぇ、そうなんだ。」
可愛らしい一面は珍しいようだ。
二人が五十嵐君を弄り倒す。
「で、杉浦君は?」
杉「あ?」
「手伝ってくれないんすか?」
杉「面倒だって言ってんだろ。」
「そりゃ残念。じゃあ気が向いたら宜しく。」
杉「・・・気が向いたらな。」
「サンキュー。」
ま、帝王はこんなもんでよかろう。
相当な頑固者っぽいもんな、こいつ。
とりあえず
なんとか話もまとまったと見ていいんだろうか。
いずれにしてもこの『桜館』に住むしかないのだ。
そして住むからには住人共と当たり障りなく柔軟材のようなソフトな関係でいたい。
険悪な関係なんてまっぴらごめんだ。
それにお姉たまとしてそこら辺は大人でなくちゃいかんと思う。
累「そうだ有希。自分の部屋見てた方がいいんじゃない?」
「あぁ、そういえばそうだな。」
そうだそうだ。
部屋を見ておかねばなるまい。
「一番奥の部屋っすよね?」
累「案内してやるよ!」
純「俺も。行こっ、姫。」
「・・・・おー、サンキュー」
おい純君。
"姫"はやめろ。
そんな年でも柄でもねぇ。
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