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突然破られた沈黙。
犯人はくりくりっとした目の男の子。
髪の毛さらさらだ。
羨ましいねぇ。
(えと、誰だっけ?)
とりあえず資料を捲ってみる。
「えーと、神崎--」
「累!女性に向かって"お前"ってなんだ!」
「なんだよ。うるせぇな。」
ぱーんと膝を鳴らし、別の男が乱入してきた。
明るい茶髪を後ろで短く結んで・・・
なんともお綺麗な顔の美青年だ。
で、こいつは
「君は神崎君で、そっちの君は」
「累でいいぞ。」
「神崎---累君。」
(神崎累。累君ね。)
「姫、俺のことは純って呼んでね。」
・・・おい美青年。
姫、ですと?
なにそれ背筋が寒い。
「じゅ、純君ね。」
天宮純。
ジャンルが読めない。
「今回はどの位だろうなぁ。」
「一週間もてばいいんじゃねぇ?」
沈黙が崩れればどんどん喋り出す男共。
今度は黒目黒髪の中性的な美人さん。
そして深い紺色がかった髪を持つ、これまたモデルもビックリな造形物のような美男子。
俗に言うカッコいいんだろうお兄さん達が
クツクツ笑いながら会話を交わす。
「お宅らはえーと・・・杉浦君に-----ゴ、ゴジュウアラシ君か?」
「ククッ。」
「・・・笑うな。てめぇもバカな間違えすんじゃねぇ。イガラシだ。」
「え、あ・・・すみません。五十嵐君。」
普通に読めなかった。
地味に恥ずかしい。
(杉浦真樹に五十嵐孝か・・・)
杉浦君は---同年?
他は・・・年下が多いんだな。
いそいそと資料をめくり情報をチェックする。
「おいおい、いきなりビビらせんじゃないよ。せっかく来てくれたんだから。」
ふと、別の男が口を挟む。
5人の中で一番落ち着いて見えるその男。
無造作に流れるグレーがかったふわふわ猫っ毛を揺らし、にっこり微笑みをよこしてきた。
それ、地毛っすか?
「えっと、君は高野--」
「"要ちゃん"って呼んでね。」
「か、要・・・"ちゃん"?」
「そうそう、そう呼んで。」
「・・・はぁ。」
"高野要"
なんで"ちゃん"呼び?
もしかしてそっちの人?
(・・・だ、大丈夫かこいつら。)
---なんだかんだ言ってうまくやっていけそう
初対面って、大体こんな感じでまとまるもんじゃねぇ?
なのになにこれ。
初日からがっつり心が折れそうなんですけど。
(マジでしくじった・・・)
住んでる家、今月いっぱいで解約済み。
旦那との契約も今更断れない。
毎度のことながらつくづく自分の軽率さを悔やむ。
(はああぁぁぁ・・・)
心の中で頭を抱える。
まぁでも・・・
軽率かつ適当なのは今に始まったことではないからな。
悔やんでも仕方ない。
そして現実も変わらない。
今後のためにもう少し情報収集しようと思う。
「ところでさっき杉浦君が言ってた・・・"今回は"ってどういうことなんすか?」
もしや---
やはり幽霊か?
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