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あははは、じゃない。
笑ってる場合じゃないだろ私。
何が次回の飲み会だ。
一年分・・・
いや10年分奢ってもらっても足りないんじゃねぇのこれ。
(あんのヤロー---!)
適当にも程があるだろ旦那。
九割説明不足だ。
「「「・・・・・・・・・・。」」」
「・・・・・・・・・・・・。」
ふと現実に戻ると
相変わらず沈黙地獄から抜け出せない。
人間が6人も集まってるってのに・・・
なんなんだこの静けさは。
---カサッ
皆さんの目の前で失礼かと思いますが
とりあえずもらった資料をもう一度見つめ直してみようと思う。
ご丁寧にパンフレット式にとじられているそれ。
---桜館へようこそ!
いかにもワザとらしい表紙。
ほとんど目を通してこなかった資料を隅から隅までガン見する。
(・・・・・・・・。)
くそ、やっぱり書いてないじゃねぇか・・・
はめられた。
完全にはめられた!
(まさか-----共同ハウスだったとは!)
ふざけやがってあのタヌキオヤジ。
これじゃ歴代管理人さん達が辞めるはずだ!
だって共同ハウス・・・
プライベートも何もあったもんじゃねぇ!
目の前の男共。
つまりこの桜館の住人達。
こいつらは何が楽しいのか
5人で仲良くこの桜館に住んでいるらしい。
桜館は簡単にいうと、寮のような構造になっているようだ。
無駄にでかく、豪華な物件。
だだっ広いリビングやキッチンなどが揃う1階。
2階にはそれぞれの部屋が並んでいる。
そして管理人の仕事。
そう、それはイコール・・・
『こいつらと共同生活しながら家を壊さないように見張っておけ』
そんなハイレベルなミッションに
下見もせず武装もせず乗り込んでしまった自分。
どうやってコンプリートすればいいのか分からない。
(なんなんだよこの状況・・・新たな嫌がらせか?)
もしかして旦那・・・
この前のアレ根に持ってたりして。
それともあっちか?
それとも、いやアレかも・・・
ダメだ、思い当たりが多すぎて分からない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
一応補足しておきますが
こんな口調でも私は純然たる女子です。
(あのタヌキオヤジ・・・)
男5人の中にか弱い女子を放り込むとは・・・
あんた一体どんだけ鬼畜なのさ。
(それにしても・・・・・)
『桜館』って名前からして
てっきり女学生とかが住んでんのかと思ってた。
可愛い住人さんたちはお二階に。
そして管理人になるにあたって101号室でも用意してもらえるのかなぁなんて思い込んでた。
『管理人さーん、今日はシチュー作ったからお裾分けでぇーす!』
『おぉー、いつも悪いねぇ』
こんなシチュエーションを鮮明に思い描いてました。
「・・・・・・。」
「「・・・・・・。」」
目の前の男共を見てげんなりする。
だってどう見ても桜って柄じゃねぇよ。
桜って何色か知ってるか。
ピンクっすよピンク。
・・・てかこいつら、桜似合わなすぎじゃねぇ?
ここまで不釣合いだとちょっとウけるっていうか・・・
桜っていうよりなんだろ・・
ブラックローズ?
資料を睨み、心の中で苦笑う。
それにしても痛い。
マジで痛いぞこの視線。
まぁこいつらだってまさか私みたいなか弱そうな女子が来るなんて思ってなかっただろうさ。
分かるぞその気持ち。
分かるが視線を刺し込むのは止めてくれ。
「お前の部屋は一番奥だ。」
「へ?」
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