3ON3

3ON3–4 SAKURA∞SAKU first

 

---ピィィィィ!!

 

 

や、やだ。

ほんとに優勝しちゃいましたけど・・・

 

 

『きゃぁぁぁぁぁっ!
『神崎さぁん!』
『天宮さぁん!』
『有希さぁん!!』

 

え・・・

なんで私の名前が黄色い声援の中に混ざってるんすか。

 

累「有希って女の子にももてるんだね。」
純「すごいや。ちょっと妬けるなぁ。」
「いやいやいやいや。シャレになんねぇよ。」

 

女子は好きっすよ?

でも黄色い声ってあんた・・・
マジでシャレになんねぇ。

何が楽しくてカッコ良さで女子にモテねばならんのだ。

 

『優勝おめでとー!!』

 

その後、ガラス製の優勝トロフィーをもらった。

 

(累たんの先輩・・・トロフィーって。大人なんだからもっと・・・こう・・・ねぇ?)

 

新作!最新型PCセット!
なんてモノ頂けたら次回も出ちゃおっかなぁって思えるのに。

いやいや、大人になると現金になるからいけない。

 

(心が病んでる証拠だ。いかんいかん。)

 

スポーツによる爽快感。
コレを味わえただけで良しとしよう。

 

「さて、もう帰っていいのか?」

 

時刻は夕方4時。

帰って仕事に取り組めば今日中には何とか目処がつきそうだ。

 

累「ちょっと待ってて。挨拶してくるから。」
純「分かった。」
「うーっす。」

 

既に帰ってしまった参加者観客も多いんだろう。
会場の熱も冷めて、初めに来た時よりもだいぶ人が少ない。

 

祭りの終わり。

なんとなく寂しいなぁなんて感じてしまう。
楽しかった後のお決まり事だな。

 

「・・・?」

 

しんみりと祭りを振り返っていると


ふと、チクリと視線を感じた。

 

(なんだ?)

 

視線の方に目を向ける。

すると5、6人の集団女子がこちらの様子を伺ってる--?

いや伺ってるっていうか・・

 

(あー、睨まれちゃってる・・・)

 

どうや彼女らの矛先は私。

見られてます。

どうしよ。

 

(うわ、この空気やばくね?あ、近づいてくる…)

 

きっとオシャレして試合を見に来たんだろう。

可愛らしい格好をした女子達が私と純君の目の前に並んだ。

 

『あのっ、天宮さん。私達この人に話があるんですけど、ちょっとお借りしてもいいですか?』

 

リーダーと思われる一際オシャレなカワイコちゃんが純くんに断りを入れる。

ていうかまさかの呼び出し?
しかも皆顔がすっげぇ怒ってるし…

心の中であぁぁと頭を抱える。
恐れていたことが現実に・・

 

純「えと、ごめんね?話があるなら俺も一緒でいい?」
『えっ?』
「・・・・。」

 

(純君・・・!)

 

さすが王子!
やっぱ君は唯一の私の味方だ。

女子の皆さんも今日は勘弁してください。
年甲斐もなく暴れちまったんでヘトヘトなんです。

それに何を聞いても私からはホコリも出ねぇし、君らが思ってるような怪しい存在でもないっすよ!

 

累「あれ?どうかした?」

 

振り向くと累たんがいた。
先輩への挨拶はもう済んだのか?
こっちはプチ修羅場っすよ。

 

累「・・・?」

 

何が起きてるか分からないんだろう。
小さく小首をかしげている累たん。

女子の皆さんもこいつらの前で色々言うのは印象悪くなると思うぞ。

せっかくオシャレしてまで見に来たんだからさ。
マイナスイメージを与えるなんてもったいない!

というわけで---

 

(ここは押し切って帰るべきじゃないか?)

 

うん、それが一番妥当だと思う。

私と君達はニ度と会うこともないだろうし・・・
それで全て丸く収まるだろ?

言っておくが決して面倒になったからではないからな。

 

「か、帰ろう。2人とも。」

 

純君と累に視線を送る。
押し切り作戦決行だ。

 

『ちょっと待ってよ!』
「・・・・・・。」

 

(引き止めんなー!)

 

集団での女子は非常に強くなる。

赤信号、皆で渡れば何とやらの心理か?
でもな、頼むから今は勘弁してー!

 

『その人、天宮さんと神崎さんとどういう関係なんですか!?』
『そ、そうだよ!今まで一度も特定の女の人作らなかったのに!』

 

(・・・知るかよそんなの。私はしがないただの管理人様っすよ。)

 

これも管理人の仕事なんすか?

超イケメンを住人に持つとこんなに女子から嫌われるなんて・・・
なんか悲しいっす。

 

(はぁ・・・)

 

変な意味じゃなくて、女子って大好きなんだけどな。

今日だって純君や累の眼中に入りたい一心でオシャレして見に来たんだろ?
その気持ちも行動もめちゃくちゃ可愛いし、応援したくなるじゃねぇか。

なのに---

 

「はぁぁぁ。あのねぇ皆さん。よーく聞いてくださいよ。」

 

しぶしぶ口を開く。

こうなったら仕方がない。
説明するしか道はないようですな。

 

「私はこいつらが住んでる家の管理人---」
累「あのさ、実は俺、有希のことが好きなんだ。だからうまくいくように応援してくれよな!」
純「コラコラダメだよ累。俺も姫が好きだから。皆、俺の方を応援してくれるよね?」
「・・・・・・おい。」

 

このバカ共。
もしや私を助けようとしてるのか?

その気持ちは有り難いが・・・
自分が何を言ってるのか分かってんのか?

後先考えずそのなこと言ったら絶対後悔するぞ。
いざ『今夜遊びたいなぁ』って時に誰も遊んでくれなくなるぞ。

 

「あ、あの、ごめんな君たち、今のは全部う・・・・」

 

嘘だからな。

そう言おうとした時

後から伸びてきた大きな手に
パクッと口を塞がれた。