3ON3

3ON3—3 SAKURA∞SAKU first

「よっしゃぁぁぁあ!!」
累・純「・・・・・・。」

 

 

青空に力強い拳が高らかと上がる。

 

そう…

私の拳が!

 

 

「20点差!もう追いつけまい!」

 

シュートを決めて2人の元へ走って戻る。

もう10本どころではない。
何本入れたか分からん。

 

純「本当に運動出来たんだ。」
累「…なんだかショックなんだけど。賭け、軽く負けちゃったし。」
「なんでショックなんだよ。カッコいいだろ私。もっと誉めてくれよ。」

 

こいつらめ…
本気でトロいと思っていたらしい。

見直せ私を。

そしてこの姿をしっかり目に焼き付けろ。

それにしても、この2人だって相当なスポーツマンだ。

ほら見て。
滞空時間の長いこと。

 

顔も良し
頭も良し

更には運動神経も良しなんて・・・

神様、何か手違いをされたんじゃないっすか?

 

『きゃぁぁぁぁぁ!』
『カッコいぃーーー!』

 

そしてゴールを決める度に上がる凄まじい悲鳴。
2人共、いい加減にしないと女子の中に死人が出るぞ。

 

『くそー!走れ!一本返すぞ!』
『も、もうムリだよぉ・・・』

 

既にヘトヘトの相手チーム。

君らだって弱いわけではない。
大健闘してると思うぞ。

だが仕方が無い。

純君と累たんが異常に上手いのだ。

 

「そして私も!!」
累「何言ってんの?」

 

あ、声にでてた。

ピピー!!

試合終了。
最後は更に点差を広げて終わった。

どんよりヘコむ相手チーム。

悪いな君たち。
勝負事に手は抜けねぇ!

 

「いやぁ。私もまだまだいけますなぁ。」
累「まだまだって・・・有希ってば本当にすごいよ。びっくりした。」

 

ここにも一名、軽くヘコむ累。
私が負けたら一体何をさせるつもりだったんだ。

 

純「姫ってカッコいい姫だったんだね。」
「もっと言ってくれ。そして私を敬え。」

 

とりあえず試合が終わったのでコートから離れた。

 

「で、次の試合はいつだ?」
累「えーと、次の次だな。」
純「次の次?随分早いんだな。結構チーム数ありそうなのに。」
累「実際そこまで多くないらしいよ。見物客の方が多いんだって。なんでだろう。」
純「さぁ。」
「・・・・・・・・。」

 

まぁ・・・・不順な動機の女子がたくさん来てるんだろうな。

さっき対戦表見たらメンバーの名前も書いてあったし。
おそらく前もってメンバーの名前でも流れてたんだろう。

きゃぁぁぁ!だって。
いいねぇ、若いって。

 

「あーーーー!やっぱり有希だぁ!」
「えっ!?」

 

突然の大声にビビる。

思わず振り返ると・・・
そこにはとびきりキュートな女子。

後に男を3人引き連れている。

 

「やだ!マジ久しぶり!」
「え、えっと・・・」

 

ご、ごめん、誰だっけ・・・

 

「変わったかなぁ私。あっ子だよ!」
「あっ子、あっ子・・・・・うぉ!!!あ、あっ子ぉぉぉ!!?うそぉ!!!」
「マジマジ!久しぶりだね!」
「いやぁ・・・本と久々だな!」

 

誰かと思えば高校時代の友達だった。

結構仲良かったヤツだ。

可愛いヤツだったけどますます綺麗になっちゃって。

それにしてもこんなところで会えるなんてビックリだ。
嬉しいぞ。

 

あ「イケメンが出るっていうからさ。見にきたらカッコいい女子がプレーしてるって騒ぎを聞きつけて!まさか有希とは思わなかったけどねぇ。」
「カッコいい女子?私のことか?」
あ「そうそう。」
「・・・複雑だ。」

 

なんだその噂は。
せめて運動神経抜群のプリチーな女子とか・・・

 

あ「で、後ろの2人が今回評判になってたイケメンでしょ?なになに?有希の彼氏?」
「は?」

 

あっ子がニヤニヤしながら聞いてくる。

 

「違う違う。ちょっと事情があってさ。付き合ってるなんてとんでもな----」
累「えー。有希は俺の彼女でしょー?」
純「何言ってるの。姫は俺のだよねー?」
「黙んなさい。」

 

何を言い出すんだお調子者共め。

 

(あれ・・・)

 

前方10mにある大会本部のテント。

スタッフがこっちに向かって何やらジェスチャーを…

 

「あ、やばっ!これ、返さなきゃいけないみたいだぞ!」

 

ふと、純君の持つゼッケンが目に入る。
ソレを指差しスタッフにアイコンタクトを送るとブンブンと首を縦に振っている。

 

「あっ子、ちょっと待ってろ。」
あ「はぁい。」

 

三人分のゼッケンを掴み取りテントに走った。

 

「えーと、これ・・・」
『ありがとうございます助かりました!えと、チーム"SAKURA"さんですよね。次、試合なので今度はこれをつけてください。』
「うーっす。」

 

良かった、どうやら間に合ったみたいだ。
ついでに新しいやつをもらった。

 

(ていうかチームSAKURAって・・・)

 

あいつらには似合わねぇがなんか可愛いな。
初めて『桜館』って名前に親近感を持てた気がする。

 

「はい、次の試合のゼッケンもらってきたぞ。」
累「サンキュ。」
純「ありがとう。」

 

皆の元へ戻ったらあっ子は2人とにこやかに話してた。
どうやら仲良くなったらしい。

そういえばあっ子のヤツ、こいつらを見にわざわざ来たんだったっけ?

男3人も引き連れてるってのに・・・
相変わらず罪な女だな。

 

あ「そろそろ次の試合じゃない?久々にイイ男とカッコいい女を見れて満足。」
「そーっすか。ま、私も会えて嬉しかったよ。」
あ「そう言うなら連絡先教えてよ。」
「あぁ、もちろん。今度飯でも食いに行こう。」
あ「あら。嬉しい。」

 

これから用があるらしく、あっ子はまた連絡すると手を振りながら帰っていった。

それにしても意外な収穫だったな。

高校の友達とは連絡取り合ってなかったし
それに桜館に来てから周りが男ばっかで女子と触れ合うことがなかったからな。

やさぐれた心が癒されるようで・・・
なんだかいい気分だ!

 

「おーし!次の試合も頑張っちゃうぞー!」
純「機嫌いいね、姫。」
「まぁな!」
累「?」

 

ありがとあっ子。
おかげで優勝できそう。