有「ったく・・・てめぇらがいると落ち着いて飲めねぇよ。どうにかしてくれよ誰か。」
真・孝「・・・・・・・。」
チッ、と舌打ちしながら酒を煽る有希さん。
ていうかこの人達にそんなこと言えるのあんただけっすよ。
前に聞いたけど真樹さんと孝さんには累も歯向かえないって言ってた。
ある意味有希さんってワールドクラス。
見てるこっちはハラハラするけど--
(・・・・・・・・・ん?)
『あ、あのっ!!』
3人の攻防を観察することしばらく
突然、可愛い格好した女子が2人、小さくきゃぁきゃぁ言いながら近づいてきた。
そして並んで座る3人に話しかけてきた。
『わ、私達あっちで飲んでるんですけど!』
『よ、良かったら一緒に飲みませんかっ?』
うわー、やっぱりモテるんだなこの人達。
『あっち』に目を向けると2.3人の女子が成り行きを真剣な目で見守ってる。
それにしても勇気があるなぁ。
話しかけるのもそうだけど、有希さんがいるのに・・・
有「お、ちょうど良かったじゃねぇか。行ってこいよお前ら。」
真「は?」
有「同じ店にいるんだ。"一人で飲むな"の約束違反にはならないだろ?」
孝「バカかお前は。」
有「なんだと!?」
『あ、あのぉ・・・出来ればお兄さんも一緒に・・・・・・』
有「・・・え?」
ちょっと・・・
ちょっと待ってください。
なんだか様子がおかしいよー。
真「・・・・・・・・・・クッ・・・・」
孝「・・・・・・・・・・ククッ・・・」
有「それ以上笑ったら-----殴る。」
なななななんと!
この子達・・・・
有希さんを『お兄さん』って言っちゃった!!
孝「-----わ、悪ぃ。」
真「ウケる・・・」
有「てめぇ---」
真「あー、えーと。実はこいつ、女でさ。」
『えっ・・・えぇぇっ!!?』
とってもビックリする2人。
そんなに驚くところ?
どう見ても有希さんって女の子じゃん。
有「すんませーん実は女でした。だからこいつらだけ連れて行って--」
真「悪いけど、今こいつを口説いてる最中だからそっちには行けない。ごめんな?」
うお…
す、凄いものを見てしまった。
---帝王真樹様のthe キラースマイル
俺もやられた。
あなたの虜っす。
有「ふざけんな。行け、むしろ行ってくれ。」
孝「あ?」
有「ゴメンヨ。」
真「そういうことなんで。」
『す、すみませんでした!!』
有「--------。」
それにしても有希さんを男子と間違えるとは・・・
こんな格好じゃ仕方ないんだろうけど実は可愛いんだぞ。
俺は知っている。
初めに見たときは女の子だったんで。
孝「お前、なんでいつもそんな格好してんだ?前に累と来てた時は女だったじゃねぇか。」
真「なに?」
有「今も女ですけど。」
ごもっとも。
孝「ああいう格好しろ、今度から。」
真「そんなの見たこと無い。」
有「しねぇし見せる必要もねぇ。大体お前らに見せてどうなるんだ。何かくれんのか?」
真・孝「-----"俺"とか?」
有「いらん。」
欲しい。
いやいやいや…
それにしてもすごい会話だ。
今日はなんだか濃い。
この席だけオーラが違う。
さっき話しかけてきた女子達は仲間の下へ帰り黄色い声を上げている。
もちろん有希さんも対象になってるようなのですが・・・
有「あー、疲れた。」
紫煙を吐く自然な動作
キュッと酒を煽る豪快さ
そして時々帽子を取って前髪を掻き揚げる仕草
確かに、無駄にカッコいいと思う。
でも実は女の子で
『あれ・・・俺、有希さんのこと好きになっちゃうかも・・・』
と思ったこともあった。
でもその恋は絶対実ることは無いってのもすぐ分かった。
だって目の前で繰り広げられる有り得ない光景を見ていたら・・・ねぇ?
そういえば前に聞いたことがある。
イケメンと付き合いたいと思わないのかって。
どうやら有希さんは変わり者らしく、イケメンを目の前にしても全くドキドキしないらしい。
かなりの変人ぶりだ。
本人はというと
『他の女子よりちょっぴり鼓動の速さが遅いんじゃねぇ?』
本気でそう思っているからすごい。
でもでも
有希さんを取り巻く桜館5人。
そして中でもこの2人は超絶品。
男から見ても惚れ惚れする。
そんな2人にも---
有「このっ・・・・やめんかエロス共!」
こんな態度をとれる有希さんに
俺の出る幕なんて1ミクロンもない。
というわけで
心の姉ちゃんになってもらった。
ま、勝手に思ってるだけだけど。
これくらい許してもらえるだろうと思う。