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部「じゃぁ、日下を宜しくお願いします。」
「い、いや!だから!部長ーー!」
辰「ご心配なく。責任持ってお送りします。」
予想通り。
こうなった。
なんとか部長の家で一緒に降りようと足掻いた。
部長の家に忘れ物した!とか、話があるんで!とか。
お前は私の家に来たことがないじゃないかぁ。
話なら月曜に聞くから!
即答であしらわれてしまった。
頼むよ部長!
私を置いていかないでくれ!
「ちょっ---部長ーー!」
部「日下、また月曜にな!」
辰「では、失礼します。」
部「気をつけて。」
「ちょっと待って----」
無理矢理降りようとさっきから試みている。
だが・・・鍵が開かない!
木戸のヤロー、ロックしやがったなぁ!?
ゆっくり発進する車。
なんとか窓をこじ開けて顔を乗り出す。
一生のお願いだ!
助けてくれ部長!!
(ちがーーーう!!!)
車を見送る部長。
そしてなんと右手の親指をカッ!と立てやがった。
そっちじゃない!
今の私の状況はその逆なんだよ!!
(頼むよ部長ォォォーーー!!)
どんどん小さくなる部長に心の中で訴える。
そして部長は見えなくなった。
「残念だったね。」
「・・・・・・・・・・・。」
隣から聞こえる声。
もちろん・・・・辰巳さんだ。
なぜ隣にいるのか。
それはもちろん、部長を降ろした後そのまま乗り込んできたからだ。
辰「松田さん、透ちゃんの訴えに全然気付かなかったね。」
「・・・・・・・・・・。」
チラッと目を向けるとこっちを見てクスクス笑いながら足を組む。
急に態度豹変しやがって。
なんてヤローだ。
「はぁ・・・・・・・」
思わず溜め息が出る。
そりゃ出るだろ。
辰「疲れた?」
「疲れた。家に帰る。」
辰「そうだね。早く帰ろう?俺の家に。」
「あんたなぁ!」
叫んだ。
そりゃ叫ぶだろ。
「私の家に行け!ダメならここで降ろせ!」
ビシッと指差しガン垂れてやった。
今日鉢合わせたのは仕方が無い。
仕事だからな。
だがそれ以上はゴメンだ。
バカみたいなゲームに付き合うつもりは更々無い。
辰「透ちゃんの家でデートするの?」
「何がデートだ!帰るんだよ!」
辰「何言ってるの。今日はデートする約束だっただろ?」
「そんな約束してない。」
辰「えー、したじゃん。なぁ、木戸?」
木「はい。」
辰「ほら。」
「ほらじゃない!!」
木戸め。
分かってはいたが変態の味方なんだな!
「デートなんかしないって言ってんだろ!おいコラ木戸!ロックを外せ!降りる!!」
木「危ないですよ?」
「大丈夫だ!」
辰「こらこら。大丈夫じゃないよ。危ない。」
「黙ってろ!」
危ないことくらい分かってんだよ。
だがこのままじゃ辰巳ホームに連行されてしまうじゃないか。
走行中だがやむを得ない。
ドアをガタガタやってみる。
辰「もう・・・ワガママなんだから。」
「-----うわっ!!」
ウエストに腕が絡まってきた。
後に引かれて背中が辰巳さんにぶつかる。
辰「んー、久々の透ちゃんだー。やっぱり透ちゃんっていい匂い。」
「やややめろっ!触るな!!」
後からぎゅーっと抱きつかれる。
木戸さんがいるってのにお構い無しだ。
さすが変態。
ていうか------
「放せ!離れろ!!」
辰「絶対イヤ。ねぇ、俺の家に行こう?」
「絶対イヤだ!」
辰「そんなこと言っていいの?」
思い切り暴れるとグッと腕に力が篭る。
そしてクスクス笑いながら耳元で囁いてきた。
「やめろっ近い!」
辰「透ちゃん、何か忘れてない?」
「忘れてない!」
辰「ふーん。じゃぁアレは俺が貰ってもいいんだ?」
「アレ?アレってなんだよ!」
辰「えー?言っていいの?」
「なんだよ早く言えよ!」
辰「透ちゃんの、可愛い下着。俺の家で預かってるけど?」
木戸さんに聞こえるか聞こえないか程の小さな囁き。
だが私の耳には確かに聞こえた。
(私の可愛い下着・・・・だと?)
下着・・・・
下着って・・・・あの下着?
「何言ってんだ。なんであんたが私の下-----はっ!!」
辰「思い出した?」
「------------。」
(そ、そういえば・・・)
私の下着。
確かにこいつの家にあるはずだ。
なぜなら初めて会ったあの日、私は下着を着けずに家に帰ったからだ。
つまり私の可愛い下着ちゃんは・・・
こいつの家に保管されている!!
「・・・・・・・・返せ。」
辰「どうしようかな。」
「もしくは捨てろ。」
辰「それはイヤだ。」
「じゃぁ返せ!」
辰「俺の家に来る?」
「------!」
辰「来るよね?」
「・・・・・・・・。」
(・・・・・・・なんてヤローだ。)
会社を出るまで逃げ切る自信満々だったのに。
完璧に逃げ切ったと思ってたのに。
結局、こいつの思惑通りになってないか?
「・・・・返してもらってすぐ帰る。」
辰巳ホームに行かないのが最善。
だが下着は返してもらいたい。
当たり前だろ。
放っておいたら何に使われるか分からない。
辰「ん、分かった。」
「------こ、こらァッ!」
チュ・・・と頬に唇を当てて体が離れていく。
辰「・・・・・相変わらず酷いね。今日も心が折れそう。」
「折れろ。そして復活するな!」
辰「・・・・・・・・。」
あまりの節操の無さにイラッとしたので。
あからさまに頬を拭いてやった。
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