PIPIPIPI------
「煩いなぁ・・・・・」
耳元で携帯が踊り狂っている。
誰だよこんな朝早くに。
PIPIPI・・・
切れた。
よし、しばらく大人しくしてろ。
「んー。」
なんだか温かい。
そろそろ寒い時期だし・・・
布団の中のこの温かさって例えようの無い心地よさだよな。
堪らん、幸せだ。
布団をぎゅっと抱きしめる。
PIPIPIPIPIPI-----
「あー。」
くそ・・・まただよ。
誰だ、今日は休みだぞ。
ゆっくり寝かせてくれよ。
PIPIPIPIPIPI-----
「あーもう・・・煩いなぁ!」
今度は鳴り止まない。
布団に顔を埋めてみるがやはり気になる。
仕方ないと思いながら携帯に手を伸ば---
「出なくていいよ。」
布団が---
ぎゅっと抱きついてきた。
「え。」
その前にちょっと待て。
布団が・・・・・喋った?
「・・・・・・・・・・・は?」
「それに、これ俺の携帯。」
布団がモゾモゾ動いて携帯の音を消す。
そしてまたモゾモゾと抱きついてきた。
最近の布団って・・・すごいんだな。
じゃない!!
「なななんだっ------っぅ!?」
とっさに布団と思われるソレを押す。
その瞬間、腰に鈍い痛みが走った。
「ぅーーーーー!!」
「動かない方がいいよ。体痛いだろ?」
「え・・・?」
恐る恐る顔を上げるとそこには・・・
「ひぃぃっ!!」
辰「・・・・・なにそれ。」
セクシー変態。
モーニングバージョン。
「なんで辰巳さんがいるんですか!」
辰「・・・俺の家だからね。」
「・・・・・・・・・・・え。」
辰「ていうか今の本気で言ったわけ?それともとぼけてんの?」
「・・・・・・・・・・・っ!」
背中に回っていた手が頭の後に滑り込む。
顔を固定されヤツが近づいて来る。
その表情はまるで悪魔の笑顔で・・・
悪魔の・・・笑顔・・・・・
「---------っっ!!!」
辰「・・・・・んっ」
思わず辰巳さんの口を手で塞いだ。
(ううううそだ・・・うそだ・・・・・!)
ヤっちゃった。
ヤっちゃったよな、昨日。
「うそだぁぁーーーー!!」
辰「朝から元気だねぇ。」
「黙れ変態!」
辰「そうだよー俺は変態だよー。」
クスクス笑いながら髪に触ってくる。
すかさず手をバシッと叩き落としてやった。
辰「昨日はあんなに素直だったのに。透ちゃんってやっぱツンデレなの?」
「なななんだそれは!
あんたにデレたことはない!」
辰「あんたじゃないよ。ちゃんと名前呼んで。」
「変態!」
辰「まぁ・・・それはそうなんだけど。」
し、信じられん。
誰かウソだと言ってくれ。
「私は・・・・この変態に抱かれたのか?」
さぁ誰か言って。
あれは夢だと。
悪夢だと!
辰「透ちゃんは俺に抱かれたよ。」
「あぁぁなんにも聞こえませーーん!」
辰「・・・・・・腰が痛くて動けないくせに。」
「これはっ・・・これはなぁ!」
辰「なんだよ。」
「な、なんでだったかなぁーーー!!」
辰「・・・・・・・・。」
ううウソだ!
こんなの絶対嫌だ!
なんでこんな男と・・・
しかもゲームの延長なんかでなんでエッチまでしなくちゃいけないんだよ!
辰「そんなに嫌?」
「イヤだ!」
辰「・・・即答だな。なんでイヤなわけ?」
「あんたなぁ!ゲームのオプションエッチなんて有り得ないだろ!それに!」
辰「・・・・それに?」
それに!
それに・・・・・・
あれ。
「あの・・・つかぬ事をお聞きしますが。」
辰「なに?」
「私ら最後までヤっちまいましたよね?」
辰「ヤったよ。ガッツリ。」
ですよねー。
だって覚えてるぞ。
キスされて押さえ込まれて。
あんなとこやこんなとこを触られて。
そして・・・・恐怖に堕ちそうになって。
それで・・・・
---俺を呼べ。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
辰「・・・・透ちゃん。なんでそんな可愛い顔してるの。」
「・・・・・・・・・・黙れ。」
辰「い、痛い・・・・」
無防備な腹に一発食らわせてやった。
(おお俺を呼べって・・・・)
思い出すと顔が熱くなる。
あの時、怖くて怖くて声まで聞こえて。
だけどこいつの声に引き戻されて。
散々名前を呼べと言われて・・・
そして・・・・呼んだ。
それは覚えてるけど・・・
辰「透ちゃん?」
快感には堕ちなかった。
それも覚えてる。
まぁ堕ちるはずはない。
そういう体になってしまってるからな。
だけど最後まで・・・つまりあれですよ。
こいつが私に~ってことになったのに---
辰「俺が透ちゃんに挿入した?」
「そうそう、あんたが私に---って!なんで説明してくれてるんだよ!ていうか心を読むな!」
辰「読んでないよ。透ちゃん、声に出てたから。」
「あ、それは失礼。」
辰「・・・・・・・・・。」
こいつが私の中に・・・は、入ってきたのに。
それなのに。
その先も・・・ちゃんと覚えてる。
「・・・・・有り得ない。」
辰「なにが?」
最後の最後は記憶が飛んでる。
恐らく・・・気を失った。
まぁその後目覚めて風呂に入ったりなんかしたんですが。
とにかく-----有り得ない。