秘密

秘密—–13 GAME

PIPIPIPI------

 

「煩いなぁ・・・・・」

 

耳元で携帯が踊り狂っている。
誰だよこんな朝早くに。

 

PIPIPI・・・

 

切れた。
よし、しばらく大人しくしてろ。

 

「んー。」

 

なんだか温かい。

そろそろ寒い時期だし・・・
布団の中のこの温かさって例えようの無い心地よさだよな。

堪らん、幸せだ。
布団をぎゅっと抱きしめる。

 

PIPIPIPIPIPI-----

 

「あー。」

 

くそ・・・まただよ。

誰だ、今日は休みだぞ。
ゆっくり寝かせてくれよ。

 

PIPIPIPIPIPI-----

 

「あーもう・・・煩いなぁ!」

 

今度は鳴り止まない。
布団に顔を埋めてみるがやはり気になる。

仕方ないと思いながら携帯に手を伸ば---

 

「出なくていいよ。」

 

布団が---
ぎゅっと抱きついてきた。

 

「え。」

 

その前にちょっと待て。
布団が・・・・・喋った?

 

「・・・・・・・・・・・は?」
「それに、これ俺の携帯。」

 

布団がモゾモゾ動いて携帯の音を消す。
そしてまたモゾモゾと抱きついてきた。

最近の布団って・・・すごいんだな。

 

じゃない!!

 

「なななんだっ------っぅ!?」

 

とっさに布団と思われるソレを押す。
その瞬間、腰に鈍い痛みが走った。

 

「ぅーーーーー!!」
「動かない方がいいよ。体痛いだろ?」
「え・・・?」

 

恐る恐る顔を上げるとそこには・・・

 

「ひぃぃっ!!」
辰「・・・・・なにそれ。」

 

セクシー変態。
モーニングバージョン。

 

「なんで辰巳さんがいるんですか!」
辰「・・・俺の家だからね。」
「・・・・・・・・・・・え。」
辰「ていうか今の本気で言ったわけ?それともとぼけてんの?」
「・・・・・・・・・・・っ!」

 

背中に回っていた手が頭の後に滑り込む。
顔を固定されヤツが近づいて来る。

その表情はまるで悪魔の笑顔で・・・

悪魔の・・・笑顔・・・・・

 

「---------っっ!!!」
辰「・・・・・んっ」

 

思わず辰巳さんの口を手で塞いだ。

 

(ううううそだ・・・うそだ・・・・・!)

 

ヤっちゃった。

 

ヤっちゃったよな、昨日。

 

「うそだぁぁーーーー!!」
辰「朝から元気だねぇ。」
「黙れ変態!」
辰「そうだよー俺は変態だよー。」

 

クスクス笑いながら髪に触ってくる。
すかさず手をバシッと叩き落としてやった。

 

辰「昨日はあんなに素直だったのに。透ちゃんってやっぱツンデレなの?」
「なななんだそれは!
 あんたにデレたことはない!」
辰「あんたじゃないよ。ちゃんと名前呼んで。」
「変態!」
辰「まぁ・・・それはそうなんだけど。」

 

し、信じられん。
誰かウソだと言ってくれ。

 

 

「私は・・・・この変態に抱かれたのか?」

 

 

さぁ誰か言って。
あれは夢だと。
悪夢だと!

 

辰「透ちゃんは俺に抱かれたよ。」
「あぁぁなんにも聞こえませーーん!」
辰「・・・・・・腰が痛くて動けないくせに。」
「これはっ・・・これはなぁ!」
辰「なんだよ。」
「な、なんでだったかなぁーーー!!」
辰「・・・・・・・・。」

 

ううウソだ!
こんなの絶対嫌だ!

なんでこんな男と・・・
しかもゲームの延長なんかでなんでエッチまでしなくちゃいけないんだよ!

 

辰「そんなに嫌?」
「イヤだ!」
辰「・・・即答だな。なんでイヤなわけ?」
「あんたなぁ!ゲームのオプションエッチなんて有り得ないだろ!それに!」
辰「・・・・それに?」

 

それに!

 

それに・・・・・・

 

あれ。

 

「あの・・・つかぬ事をお聞きしますが。」
辰「なに?」
「私ら最後までヤっちまいましたよね?」
辰「ヤったよ。ガッツリ。」

 

ですよねー。

だって覚えてるぞ。

キスされて押さえ込まれて。
あんなとこやこんなとこを触られて。

そして・・・・恐怖に堕ちそうになって。

それで・・・・

---俺を呼べ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・。」
辰「・・・・透ちゃん。なんでそんな可愛い顔してるの。」
「・・・・・・・・・・黙れ。」
辰「い、痛い・・・・」

 

無防備な腹に一発食らわせてやった。

 

(おお俺を呼べって・・・・)

 

思い出すと顔が熱くなる。

あの時、怖くて怖くて声まで聞こえて。
だけどこいつの声に引き戻されて。

散々名前を呼べと言われて・・・
そして・・・・呼んだ。

それは覚えてるけど・・・

 

辰「透ちゃん?」

 

快感には堕ちなかった。
それも覚えてる。

まぁ堕ちるはずはない。
そういう体になってしまってるからな。

だけど最後まで・・・つまりあれですよ。
こいつが私に~ってことになったのに---

 

辰「俺が透ちゃんに挿入した?」
「そうそう、あんたが私に---って!なんで説明してくれてるんだよ!ていうか心を読むな!」
辰「読んでないよ。透ちゃん、声に出てたから。」
「あ、それは失礼。」
辰「・・・・・・・・・。」

 

こいつが私の中に・・・は、入ってきたのに。

それなのに。
その先も・・・ちゃんと覚えてる。

 

「・・・・・有り得ない。」
辰「なにが?」

 

最後の最後は記憶が飛んでる。
恐らく・・・気を失った。

まぁその後目覚めて風呂に入ったりなんかしたんですが。

 

とにかく-----有り得ない。