GAME

男友達—–5 GAME

「ぅ----んッッ---!」

 

唇が重なってる・・・

 

それを認識した瞬間、金縛りが解けた。

 

「むっ!!」

 

そして咄嗟に唇を固く閉ざした。

さすが私。
キスだけはなんとしても避けなければならんからな。
変態とのバトルで学習済み!

 

晋「なんだそれは。」
「む!」
晋「透、口開けろ。」
「むむ!!」
晋「・・・・・・・。」

 

開けろと言われて開けるバカがどこにいる。
唇を思い切り噛み締め、ついでに睨みつけてやった。

TVゲームは無念だったがこればっかりは負けるわけにはいかん。
全力で死守してみせる。

 

晋「抵抗するつもりか?」
「むむむぅ!」

 

反抗的な態度が気に入らなかったのか
お綺麗な顔に影を落とし、不機嫌オーラをグサグサ突き刺してくる。

ちょっと怖い・・・
だが怯んでる場合じゃない!!

 

「むむーー!!」(喰われて堪るかぁぁ!!)

 

晋との間に持ってるクッションで思い切りヤツを押し返す。

とりあえず逃げよう離れよう。

この流れでLet's エッチ!!なんてマジ勘弁。
くだらんゲームのオプションで何度も弄ばれて堪るかってんだよふざけんなよ。

 

晋「お前・・・俺に勝てるとでも思ってんのか?」
「むッ!?」
晋「・・・これ、邪魔。」

 

---ぽいっ。

 

「むー!」

 

なんと。
奮闘虚しくあっさりクッションを奪われた。

障害物が無くなった体と体。
強引に腰を引き寄せられ晋の体にぶつかる。

なんか、近い。

 

晋「口、開けろ。」
「む!」
晋「そんなに強く噛むな。血が出るぞ。」
「むっ!」

 

顎を取られ、ヤツの長い指が柔らかく唇をなぞってくる。

気安く触るんじゃない。
そんなことしても口は開かんぞ!

 

(触るなぁぁーー!!)

 

体に挟まれた腕で力いっぱい押し返す。

そしてブンブン首を振る。
どうだこれで触れまい!!

 

「むッ!?」

 

ガッ!と頭を鷲掴まれた。
地味に痛い。

 

晋「・・・・負けたくせに。」
「?」

 

なんだ?

視線を上げるとギラッギラした鋭い目で睨まれる。
すっげぇ怖い。

 

晋「勝負に負けたくせに。」
「・・・・・・・・。」

 

あ、あぁ・・・
さっきのゲームのことか。

 

晋「負けたら言うこと聞くって言った。」
「・・・・・。」
晋「お前が言い出したことだろ?」
「・・・・・。」

 

まぁ・・・言ったな、確かに言った。

だが約束を守ると誓った覚えはないぞ。

大人気ない?
なんとでも言え!

 

晋「・・・ウソツキ。」
「・・・・・。」
晋「・・・卑怯者。」
「・・・・・・・・。」
晋「・・・へタレ。」
「---------------。」

 

し、心理作戦か?

ざざ残念だったな。
そんな幼稚な挑発に乗るわけないだろ。
一応大人なんで!

 

晋「まぁ、気持ちは分かる。」
「?」
晋「相当自信があったみたいだからな。負けるなんて思ってなかったんだろ?」
「・・・・むー」

当ッたり前だろ。

どれだけ修行したと思ってんだ。
負けるなんて思ってなかった。

すっげー自信あった。
勝負にもならんと思ってた!

 

 

晋「だがあの程度の腕じゃなぁ・・・

  勝負にもならねぇ。」

 

 

・・・なんですと?

 

晋「そうだな・・・俺が大名レベルだとすると---」
「・・・・・・。」
晋「お前はせいぜい足軽だな。」
「-------!!」

 

あ、足軽だとぉ!?

 

晋「いや、農民か・・・」
「むッむぅーーー!!」

 

なんだと貴様ァ!
調子に乗るのも大概にしろ!

 

晋「一言で言えば・・・弱すぎ?」
「むーーー!!?」
晋「悔しいのか?まぁ悔しいだろうなぁ。」
「むむーー!!」
晋「何言ってんのか分かんねぇ・・・あぁ、教えて欲しいのか?修行つけてもらいたいのか?」
「む・むーーーーぅ!!」

 

(違ーーーーう!!)

 

すっげぇムカつくマジでムカつく!
その余裕の笑みが余計にムカつく!!

こうなったらもう一回勝負しろコラ。

今度は本気でやってやるよ!
手加減無しでやってやるぜー!

 

晋「仕方ねぇなぁ。そこまで言うなら・・・」
「むむぅ!?」

 

晋「一番弟子にしてやってもいいぞ。」
「-----------。」

 

 

ムカ---

 

(ムカつくぅーーーー!!)

 

 

「バカかてめぇは!何が一番弟子だふざけんなよー!誰が弟子入りなんか---

 ---------はっ!」

 

 

『YOU LOSE !!』

 

 

あの声が、頭の中に響いた。

 

この時点で

私の敗北、決定。

 

とりあえず目の前の俺様は

それはそれは愉しそうに口端を上げた。

 

 

晋「バカはてめぇだ。」

 

 

(ちょっ-----)

 

---ちょっとタイムー!

 

叫びは声にならなかった。

 

「んぅッ!」

 

開いてしまった唇にヤツの唇が重なり、もちろん舌の侵入もばっちり完了。

 

「んッ---待て・・晋ッ---!!」
晋「ん。」
「・・っ---んんッ!」

 

しゃべらせないつもりか。
噛み付く勢いで唇を塞がれる。

頭の中で狂ったように警報が鳴り響く。

慌てて晋の胸を押し返す。
だがやはりビクともしない。

 

(くそぉッ---------!)

 

乗せられた。

まんまと挑発に乗ってしまった!
なんたる不覚!!

 

いやいやそんなことはどうだっていい!

その前にこの状況!
これをどうにかしないと---

 

「ん・・・んッ!」

 

腕は体に挟まれて動かせない。
頭はがっしり掴まれて動く気配なし。

足は・・・何気に爪先立ちでプルプルする。
これだけ身長差があれば仕方ないか。

 

いやいやそうじゃない!

 

晋「考え事か?」
「んっ」
晋「・・・余裕だな。」
「ん---ぁッ!」

 

ムカついたのか。
あてつけの様に繋がりが深くなった。

 

「んっ----!」

 

さすがイケメン。

 

キスが異常に上手い----と思う。

 

ねっとりと絡みつく舌。
逃げてもなぜかすぐに捕まってしまう。

軽く吸われ、たまに甘く噛まれて・・・

 

(ちょっと・・・待っ----て・・・)

 

車の中で奪われたキスとは全然違う。

壊れ物に触れるように優しくて
大切なものを扱うように柔らかい・・・

 

(あ、あれ-------)

 

なんか・・・ヤバイ。

これ以上はまずいと思う。

 

ほら私って・・・

キスがアレだし、ねぇ?

 

晋「・・・逃げるな。」
「------ッ!」

 

脱出しようと足に力を入れると即座に注意が入る。

そして抵抗は許さねぇとでも言いたいのか、痛いくらい強く抱きしめられた。

ていうか痛い。

 

「---晋ッ・・!」
晋「ん。」

 

(ダメだ----ヤバ・・イ・・・・・)

 

こいつのキスって

 

---すごく、甘い

 

 

背中がゾクッと震えた。

 

 

「ぁ-----はッ・・・」

 

無意識に息が漏れる。

 

呼吸が乱れて、思考も乱れて

 

体から力が抜けていく・・・