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男友達—–12 GAME

透「し・・・ん・・・」
「・・・ん?」

 

どの位抱きしめていたのか。
小さな声が聞こえてハッとした。

どうやら夢中で抱きしめていたらしい。

透に意識を向けると震えも呼吸も治まっている。
結構な時間が経ったのかもしれない。

 

(良かった---)

 

とりあえず震えが治まって心底安心した。
同時に体から力が抜けていく。

 

「・・・どうした?」

 

そういえば名前を呼ばなかったか?

呼んだはいいが先を言わない透。
なんとなく沈黙を避けたくて言葉を促した。

 

透「し、ん・・・」
「なんだ。」
透「・・・・・・・。」
「・・・?」

 

「---く・・て・・・・ごめ、ん・・・」

 

ごめ、ん?

上手く聞き取れなかったが・・・
ごめんって言ったか?

 

「・・・なんでお前が謝るんだよ。」

 

意味が分からない。
謝らないといけないのは俺の方だろ。

 

「・・・・・・・・。」
透「・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
透「・・・・・・・。」
「・・・なんとか言え。」

 

だから沈黙はイヤだ。
押しつぶされそうになる。

再び次の言葉を催促した。

 

透「・・・・ぅ・・」
「・・・・。」
透「-----ぅー・・ん・・・・」
「----------。」

 

 

え、・・・・え?

 

 

「・・・・・おい。」

 

ぅー・・・んってなんだよ。

まさか。
まさかこいつ・・・

 

透「----くー」
「・・・・・・・・。」

 

(・・・・・・ちょっと待て。)

 

さっきまでの乱れた呼吸はどこにいった。

下から聞こえる無防備な息遣い。

これってアレか?
やはりこれは---

 

「・・・・・・・。」

 

腕の力を緩め、恐る恐る体を離すと

ポテ・・・

体と体に挟まれていた透の左手が力無くソファーに落ちた。
おまけに首がカクンと後に倒れる。

 

「おい。」
透「・・・・・・。」
「おいコラ。」
透「・・・・・・。」

 

体を揺すっても頬を抓っても反応無し。
これは正に、完全なる睡眠中。

 

(し、信じられん。)

 

夢の世界へと旅立った透を前に成す術無し。

一体なんでこいつは寝てるんだ?

俺は?俺はこの状態で放置?

おいおい何の嫌がらせだ。
さっきの報復か。

 

(いやいやちょっと待ってくれよ。)

 

まだ謝って無い。

許してもらえるとは思わないがとりあえず謝罪したい。
このままじゃモヤモヤして気分が悪過ぎる。

 

「透、起きろ。」
透「・・・・・・。」
「謝るから、目を開けろ。」
透「うー・・・ん」

 

体を揺すると眉間にシワを寄せ迷惑そうな顔しやがった。

だが怯むわけにはいかない。
このまま寝られて堪るか。

 

「おい透---」
透「・・・ぅ----るせェ・・・な・・」
「・・・・・。」

 

う、うるせェだと?

 

 

「なんなんだよ・・・お前。」

 

 

思わず口から飛び出た。

マジで・・・なんなんだよお前。

男かと思えば女で
強いと思ったらか弱くて
謝ろうと構えればうるせェときた。

調子が狂うどころの話じゃない。

振り回される?
いや違う、引きずり回されてる。

 

透「・・・・・ん・・」
「・・・・・・・・。」

 

たたき起こすか・・・と思ったがやめた。

怖がらせてしまった借りもある。
それに良く見れば穏やかな寝顔だと思・・・

いや、なんでもない。

 

「・・・仕方ねぇな。」

 

しばらく間抜けな寝顔を見ていたが、起こさないと決まればさっさと寝かせることにした。

こんなとこにこんな格好で捨てておくわけにもいかない。
風邪でも引かれたら面倒だ。

透を抱き上げ寝室へ向かった。

 

「酒でも飲もう・・・」

 

途中、歩きながら独り言。

そうだ酒を飲もう。

幸いなことに冷蔵庫には大量に酒が保管されている。
飲んで少し酔ってしまいたい。

簡単に言うと飲まないとやってられない。

 

「おい。」
透「・・・・・・。」
「手・・・放せ。」
透「う"-・・・」

 

寝室に到着。

起こさないようベッドに寝かせて---
までは良かったが俺の服を掴む右手が離れない。

格闘すること数分。

ポンポン叩いても引っ張ってもダメ。
固く握られた拳がどうしても開かない。

 

「・・・・・・・はぁ・・」

 

強引に引き剥がすこともできたんだが・・・
どうもそんな気にはなれなかった。

 

「どうすりゃいいんだよ・・・」

 

情けない独り言が部屋に響く。

こっちの気も知らず睡眠を貪る透。
マジで、どうすりゃいいんだこれ。

出来れば早く酒を煽りたい気分なんだが・・・

またリビングに連れて戻ればいいのか?
そしてコイツを抱えたまま酒を飲めと?

いやそれはちょっと・・・

 

「・・・寝るしかねぇのか?」

 

寝るしかない・・・のだろう、多分。

何かおかしいと首を傾げながら枕元にあるリモコンで電気を消した。
透に向き合う体勢で横たわり、もぞもぞと布団を被る。

そして、目を閉じた。

 

 

透「・・・むー」
「・・・・・・・・。」

 

 

眠れない。

 

眠れるわけ無いだろ。

 

こんな気分で・・・
しかもこんな状況でどうやって寝ろと?

 

透「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」

 

まさかこいつ
俺を試してるんじゃないだろうな・・・

いや、それは無いか。

 

 

「はぁ・・・・・なんなんだよ。」

 

 

再び響く独り言と溜め息。

 

 

とりあえず今日も

 

 

確実に眠れない自信がある。

 

 

 

 

 

---GAME 男友達(完)