「透・・・」
透「--------ッ・・・!」
今にも泣き出しそうな怯えた顔。
ゆらゆら揺れる焦点の合わない瞳。
逃げるように小さくなって
手繰り寄せた服を掴む手がさっきより震えてて・・・
罪悪感に押し潰されそうだ。
マジで胸が痛い。
(・・・・・・・はぁ・・)
怖がらせたかったわけじゃない。
傷つけたかったわけじゃない。
堕とすつもりだった?
バカ言ってんじゃねぇ。
透が俺に怯えてるのは事実。
こんなの、男として最低じゃねぇか。
(・・・・・・・・・。)
ここはやはり、謝ろう。
「透・・・」
透「------ッ!」
頬に手を伸ばすとビクッと体を震わせ恐怖を顕わにする。
ここまでの拒絶はやはり辛い・・・
だが躊躇してる場合じゃねぇ。
顔を覗き込み、揺れる目を見つめた。
「透。」
透「ゃ---やめ・・・」
「怖がるなよ。悪かっ---」
透「し---忍ッ・・・も--やめろ---ッ!」
「・・・・・・。」
---ん?
「おい・・・」
透「・・・ッ---嫌だ---!」
「透・・・」
透「---ゃッ---忍---やめろッ!!」
「--------。」
俺を見つめたまま顔を歪める。
そして激しく震え出した。
ダメだ、やはり嫌われてる。
いやいや違う。
シノブって、誰だ。
「お前・・・何言って---」
透「やめろッ!触るな----!!」
「おい透---」
透「ぃ--嫌だッ---嫌っ!!」
(おいおいおいおい・・・・)
一体何事だ。
そもそもシノブって誰だ。
まさか俺のこと・・・
いや違う。
俺は、晋だ。
(待て待て落ち着け---)
頼む、誰か状況を説明してくれ。
何がなんだかさっぱり分かんねぇ。
透「嫌だ---」
「お、おい----透----」
透「・・・・誰・・か---助け・・・」
震える唇から
弱々しい声が漏れた
---ドクンッ
心臓が、馬鹿みたいに鳴った。
(今・・・なんて言った・・・?)
再び硬直。
瞬きすらできない。
なぜか動いたらいけないような気がする。
「----------!」
視線が繋がったままの透の目がグラッと揺れて、みるみる涙が溜まっていく。
瞬き一つで今にも零れてしまいそうなくらい、いっぱい・・・
「----------。」
嫌いだと言われた時の比じゃない。
あまりのショックに
背中が、ゾクッと震えた。
透「---んぅッ!?」
無意識。
正にそれだ。
気付いたら唇を奪ってた。
女の泣き顔は何度も見てきた。
今更涙を見ても焦ることはない。
だが
こいつのはなんとなくダメだ。
---いい加減にしろ!やめろって言ってんだろうが!!
らしくねぇじゃねぇか、このくらい言い返してこいよ。
罵られるのはムカつくが泣かれるくらいなら罵倒された方がまだマシだ。
とにかく---
泣くんじゃねぇよ・・・
透「・・・やめ----んんっ!」
泣くなよとか悪かったとか
シノブって誰だよとか俺は晋だとか
頭の中が見事にめちゃくちゃだ。
とにかく、唇を貪った。
相変わらず体の震えがひどい。
しかし今は無視だ。
背中に腕を回し体を引き寄せ
反らそうと頑張る頭を押さえつけた。
逃げることも、呼吸すら許さない
全ての抵抗を捩じ伏せ
激しく口内を犯した。
透「んぅッ---ぁっ---!」
逃げ惑う舌を執拗に追いかける。
優しく撫で上げ軽く吸い付き、角度を変えて何度も絡ませる。
泣いてるからか・・・?
唇も舌もすっげぇ熱い。
透「ぁ---ッ・・んっ--!」
・・・・誰・・か---助け・・・
(-----っ・・)
なんだったんだよさっきのは。
ふざけんじゃねぇよ。
助けて欲しいのは俺の方だ。
透「ぁッ---ぅっ・・・くる・・し---!」
助けろ、だと・・・
誰に言ったんだよ
何から助けて欲しいんだよ
はっきり言わねぇと分かんねぇだろ。
透「んんッ---ぃ・・き---!」
(・・・・・・泣くな。)
泣くなよ-----
透「---ッ--殺す気かぁぁーー!!!」
「・・・・痛ェ」
頭に一発・・・
思い切り食らった。
すっげぇ痛い。