「血?そういえば口の中切れてんな。」
要「口の中も切れてんの!?」
「ん?」
どうやら頬に傷があるらしい。
引っぱたかれた痕がジンジンするため分からなかった。
「大したこと無いだろ?何もしなくても平気だ。」
要「バカ言うな。痕が残ったらどうすんだよ。」
「別に大丈夫だってのに・・・」
手を掴まれてイスに座らせられた。
小さな救急箱を持って要が前に膝をついて屈みこむ。
消毒液をあてたら少しだけ沁みた。
要「痛くねぇ?」
「平気。」
要「・・・そっか。」
(・・・・・・・・・・・。)
要「・・・・・何?」
顔を手当てしてもらってるんで・・・
自然、奴の顔が近くで見えるわけですが
じーっと見てたらその・・
なんていうか・・・
「お前・・・やっぱあの子が好きなんじゃねぇの?今からでも追っかけろよ。」
要「は?なんでだよ。」
「だってお前・・・すっげぇ悲しそうな顔してる。」
落ち込んでるっていうかなんていうか・・・
そんな顔見せられたらこっちまで辛くなっちまうだろ。
要「悲しそうな顔?俺が?」
「遊びの女って言ってたけど・・・気付かないうちに好きになっちゃってたんじゃねぇの?」
要「・・・・・。」
返事なし。
顎に手を当て何かを考えている様子。
(もしかして・・・)
こいつ・・・
自分の気持ちに気付けない超おニブさんなのかもしれねぇ。
しっかりしろよ。
そんなんじゃ幸せ逃げちゃうぞ。
「あの子が好きなんだろ?私はいいから早く行け--」
要「あいつはそういう対象じゃない。」
「・・・そ。」
珍しく真面目な声色。
これ以上追究するなってことだろうか。
まぁこういうのは人がとやかく言うことじゃないもんな。
でもこの顔は絶対さっきの子が好きだって顔だろ。
早く気付けよ変態要クン。
要「今さ・・・お前のこと考えてたんだよ。」
は?
要「俺、そんなに悲しい顔してた?」
「・・・何言ってんだお前は。」
ふざけるのも大概にしろ。
なんでそこに私が出てくるんだ。
要「とにかくごめんな・・・痛かっただろ?」
「気にすんな。慣れてる。」
・・・慣れてる、か。
確かに、ある意味慣れてるかもな。
要「慣れてるって・・・まさか俺達のせいで?」
「え、違う違う!ごめん、なんでもねェよ。」
要「・・・・・・。」
言葉には気をつけろよ私。
叩かれるのに慣れてる奴なんていないだろ。
今のは話の流れがおかしかった。
ほら、要の奴すっごい変な顔してやがる。
「サンキュ。」
消毒終了。
最後にぺタっと絆創膏を貼ってくれた。
要「・・・・本当に悪かった。」
「だから気にすんなって!ほらほら。さっさとパソコン直しちゃおうぜ!」
要「・・・あぁ。」
とりあえず、PC直そう。
未だに変な顔してる要を無視して具合を確かめる。
「うん、これならすぐ直るぞ。」
要「マジ?助かる。」
「よし、待ってろ。」
原因が分かり作業に移った。
案外簡単に済みそうだ。
「でもまさか・・・要が大学の助教授様だったとはねぇ。」
PCを扱うこと10分。
気まずい雰囲気をどうにかしようと頑張ったところ新事実が発覚。
なんと、要は助教授様だった。
どうやら馬鹿じゃなかったらしい。
残された希望の星は真樹のみとなった。
要「ビックリした?」
「あぁ、かなりね。そういや真樹は?あいつもT大?」
要「あぁ。」
「・・・あっそ。」
見事に期待を裏切りました真樹。
ていうかこいつらエリート集団だったんだな。
日頃の不可思議な言動や行動は頭が良すぎる故の反動だったのか。
可愛そうな奴らだ。
「じゃぁお前らが一緒に住んでるのって大学繋がりってわけ?」
要「うーん、それはなんでだろうな。良く分かんねぇ。」
「あ、やっぱり?」
要「は?」
「いえいえ、なんでもないっす。」
やっぱりそこら辺はおバカらしい。
何も考えてないっていうか・・・
適当すぎるにも程があるだろ。
ま、人のことは言えないが。
「それにしても・・・適当に集まった割にはすごい5人が集まっちゃったもんだな。」
要「どういう意味だよ。」
「5人ともモテモテだけど変人だし。純君は違うけどセクハラばっかするし。」
要「・・・・・・・。」
「おまけにお前ら揃って一人の女を好きになれないんだろ?」
要「・・・・・・・。」
「こんなめちゃくちゃ集団、すごいと言わずなんて言うんだ。」
要「・・・・・・・。」
(あれ・・・)
言い過ぎたか?
要は2、3回目を瞬かせ
思い切りだんまりを決め込んだ。