有「それで・・・・理由を説明しろ。」
話題が変わった。
そうだ。
危うく今日の目的を忘れるところだった。
「今から病院の集まりがある。」
有「集まり?」
とりあえず、簡単にパーティーの説明をした。
有「い、意味分かんねぇ。それでなんで私もおめかししてんだよ。」
「院長のヤツにいい加減ちゃんとしたパートナー連れて来いって言われてんだ。」
有「ふーん・・・って、えぇっ!?」
「?」
有「おまっ---それって私を連れてくのは間違ってるじゃねぇか!」
「いや。間違ってない。」
有「お、おいおい・・・」
いずれ俺の女になるんだ。
間違いではないだろう。
有「お前、人選ミスしてるぞ。」
「してねぇよ。」
有「・・・・・。」
しつこい奴だな。
有「・・・仕方ねぇ。今日は貸しだからな。」
「何の貸しだ?」
有「てめぇの相手を務めてやるって言ってるんだ。」
「将来俺の相手になるんだ。貸しではないだろ?」
有「・・・・・・。」
急に吹っ切れたような顔になって何を言い出すかと思えば・・・
貸しってなんだ。
前にも言ったがお前は俺の女にする。
それなのに貸しも何もないだろう。
バカな奴め。
有「ふざけるのはやめろ。」
「俺は常に真面目だ。」
有「尚更悪いわ。とにかく・・・今日は偉い人とかも来るんだろ?」
「まぁ、来るんだろうな。」
有「だろうなって・・・・」
「そういうのにはあんまり興味がない。」
有「・・・そうなんすか。」
怒ったかと思えば何かを考え出した。
今日はいつもに増して表情が変わる。
百面相かお前は。
(いい加減黙---)
---いい加減黙ってろ。
そう言ってやろうと思ったんだが
そうだな、まぁ・・・
激しく失敬なことを考えているのは分かった。
有「よし、任せとけ孝。私がなんとかしてやる。」
「お前・・・とんでもなく失礼なこと考えてるだろうが。」
有「なんとでも言え。」
チッ・・・
相変わらず変な女。
有「で?私はどうすればいいんだ?」
どうするって・・・
何かやることがあるか?
「別に。普通にしてろ。」
有「普通でいいんですね。大人しくしていなくていいんですね。」
「普通で構わねぇよ。」
これだからお前は、なんて心の中で悪態ついてるのが聞こえてくるようだ。
ていうかなんだその目は。
何かしでかす気なのか?
有り得そうなところが怖い。
有「禁止事項とかあんだろ。」
「禁止事項?そうだなぁ。」
考えてみれば院長や同期から色々聞かれるだろうな。
こいつのことだ。
恋人ですか?なんて聞かれたら全力で否定するに違いない。
(まぁでも・・・)
いずれそういう関係になるんだ。
この機会に練習させておくのもいいかもな。
ちょうど考えがまとまったところで
タイミングよく赤信号に捕まった。