初体験

初体験—14 GAME






透「ゃッ、やめ---あっ!」
「・・・。」







無意識に腰が動く。







透「ゃっ----あぁッ!」
「・・・。」







だって仕方無いだろ。

こんな可愛い生き物を目の前に冷静でいられるヤツがいたらそいつはバカだ。







透「やめ--動くなッ---!」
「・・・。」
透「ゃッ---あ・・・んぅっ!」
「・・・。」







痙攣の治まらないそこからギリギリまで自分を引き抜く。

そして再び、きつく閉じられたそこへ一気に押し入った。








透「あぁっッ!!----ぅ・・あっ!」








衝撃から逃げるように仰け反る背中。





だが・・・逃がさねぇ。








透「---ぇっ!?---ぁッッ!」








浮いた腰に手を回す。

そして深く、深く

最奥を突くように打ち付ける。







透「ゃあッ--あ、あっ・・・ぁぁっ!」
「----っ・・」







ギリギリと俺を締め付けながら余裕の無い声を漏らす。

奥が好きなのか、明らかにさっきまでと反応が違う。






ていうかこいつのナカ、すっげぇ気持ちいい。

気を抜いたら即持ってかれそうだ。







透「ぁッ--ゃぁッ・・・し、んッ!」
「・・・。」
透「---いやッ・・あッ、ぁッ---んッ!」
「・・・嫌?」








素直に感じればいいものを・・・

気持ちいいくせに弱々しく肩を押し返してきやがった。

しかも嫌だと?
そんな悩ましい顔してるくせに?








「イヤじゃ・・ねぇだろ」
透「ぅ・・・ぁッ!ゃ---激し・・・ッ!」








更に激しく奥を犯した。

切なそうに捩れる腰が堪らなく色っぽい。







(こいつ・・・マジで可愛い・・)







普段は色気のかけらもないくせに
どっちかというと男のくせに

キス一つで体の力が抜けて
その上こんなに乱れやがって






しかもあれだ。






「エッチが怖い」なんて言ってたくせに









なんて感じやすい体・・・









透「ぁっ、あっ、ダ、メッ---!」
「イけよ・・・透・・・」

透「ゃ・・ぁッ!ぁッ----------っッ!!」
「-----っ!」







道連れだとでも言うように締め付けてくる。

そしてビクビクと体を震わせて
声にならない悲鳴を上げて快感を貪る。







透「はぁっ、はぁっ---ぁッ・・・」
「・・・。」
透「ぅッ---んっ・・」
「・・・またイッたのか?」
透「------っ!」







顔を覗き込むとさっきと同様、悔しそうに顔を逸らす透。

何度も言うがイッたかどうかくらい聞かなくても分かる。

だがこの可愛い反応が見たくてどうしても聞いてしまう。







「そんなに気持ちいいのか?」
透「違、う---ぁッ・・!」
「・・・ふーん。」
透「ゃ・・・動くなッ----あぁっ!」









(おいおい・・・)









こいつ、本当はエロスなんじゃねぇのか?







ナカもすげぇ気持ちいいし

胸はでかくないが男を悦ばせる感じやすい体。


エッチが怖いなんて言ってるが実はとんでもなくエロい女だとか・・・

いや絶対エロだ。
間違いない。









透「やッ---やぁっ---!」

「・・・。」









それにしても









(・・・まだか?)









明らかに表情は快感に揺れてる。

体だって俺を呑み込みながら悦んでる。



なのに---







透「ぃゃッ---やめ・・て・・・ッ!」







いつまでたっても拒否の言葉が消えない。

そしていつまでたっても










快感に堕ちない。










透「晋ッ---やめてっ---ぁッ!」
「・・・。」






イイくせに「いや」とか「やだ」とか言う女も確かにいる。

それがその女の情事の趣向なんだろう。




だがこいつのはなんか違う。




本気でやめろと訴えてるような、そんな気がする。







(なんだ・・・?)







そんな可愛い顔して揺れてるくせに
こんなに濡らして感じてるくせに

なんで快感に堕ちない?

なんで俺を求めない?








(--------。)








それは俺に抱かれるのが








嫌だってことか?








透「ぁ----ッ・・ゃ・・いやっ--!」
「・・・・。」








(-----チッ)







勝手に考えてなんだが
軽く頭に血が上った。








「・・・嫌って言うな。」
透「---っ!ああぁっ!」








透の好きなソコ。
それを集中して何度も突き上げる。


強く、深く、蹂躙するように

無理矢理にでも感じさせるように・・・







透「いやぁッ--!やめッ・・やめてッ!」
「---っ・・!」







強まる拒否の言葉。
裏腹に締め付けが激しくなるナカ。

言ってることと体の反応がめちゃくちゃだ。






透「いやっ---やッ・・ぁッ!」






だから、嫌って言うな。






透「やぁッ---ぁッ・・・んっ!」







もっと俺を感じろ。










そして求めろ---










透「お願、ぃ---やめッ--ぁっ・・!」
「・・・。」
透「ぁッ・・・晋ッ--ゃだッ・・・」
「・・・。」





透「---やッ・・ぁッ・・・怖、いっ---」

「----!」

透「こわ・・ぃっ---ッ!」

「---っ!」










---怖い?









(やばい---!)









透「はっ・・ッ---ぁッ・・・!」









はっとした。
そして血の気が引いた。









(しまった・・・)








見下ろすと荒く呼吸を繰り返す透。



力なくシーツを掴む手は小さく震えてて

そして朦朧と俺を見つめる瞳からは








ポロポロと涙が流れていく---








透「っ、ぅっ・・・ぅッ・・」
「・・・・・・・・・・。」








さっきまでの激情が一気に冷めた。



まるで頭を鈍器で殴られた気分だ。








(何やってんだ俺は・・・)








優しく触れるんじゃなかったのかよ。

何度同じことをやれば気が済むんだ。








「透・・・」








恐る恐る頬に触れてみた。

軽く肩を竦める透。

だが大きな拒絶はない。

自分で泣かせておいて不謹慎だが、拒否されなかったことに安堵した。







透「・・・ッ・・ぅっ・・・」
「透、悪かっ---」
透「こ、こわ・・・いッ・・」
「・・・・・。」







(-----。)







「透、悪かった。」
透「晋ッ---も・・・ゃめッ---」
「---。」







え・・・







「悪かった透。反省した。」
透「・・・こわ--ぃッ・・」
「・・・怖がるなよ。 」
透「---ッ・・・っ・・」






濡れた目元を指で拭ってみる。

乱れた髪に触れて、落ち着かせるように頭を撫でた。




頼むから機嫌を直してくれ。




怖がられるのもゴメンだがここでやめるのも辛い。

こんな中途半端でやめたら気が狂ってしまう。








透「お前じゃ、ないッ・・」

「あ?」







なんだ?







透「声が・・ッ・・・」
「?」
透「声が聞こえ---ッ・・」
「・・・?」







声---?







「声ってなんだ。」
透「--あいつ、のッ・・・」
「・・・あいつ?」

透「---こわ、いっ・・」
「・・・!」







気が動転してるのか意味不明な言葉を口走る。

しかもせっかく止まったのに再び涙が決壊。

頬を包む俺の指を乗り越え躊躇なく零れていく。






ていうか---







「あいつって?声って---」
透「---っ!」
「---っ!?」
透「---ッ・・んッ--!」







ビクッと体を震わせ固く目を瞑る透。





そしてなぜか・・・

ナカに入ったままの俺を

ギリギリと締め付けてきやがった。







「おい---ちょっ・・・待て・・・」

透「----ごめ・・・でもッ--」







無意識の反応なのか。

苦しそうに眉を寄せ力を抜こうと頑張っている。

ようだが締め付けは激しくなるばかり。

一体俺をどうするつもりだ。







透「---ッ・・ぅ---ぁッ--!」

「----ッ!」







待て待て待て待て。

なんなんだこの反応は。

待てじゃなかったのか?
行けってことなのか?








(な、何がどうなって---)















シノブ
















ふと、頭を過ぎった。









この前のこととか今までの透の様子から考えると

あいつってのは恐らく・・・シノブ。







(じゃあなんだ?)







この不可思議な反応はシノブのせいなのか?


そういえば声が聞こえるって言ったよな。

あいつ=シノブとして、つまりシノブの声が聞こえるのか?

しかも今?

俺とヤってる最中に?







(なんだそれ・・・)







一体何がどうなってんだ?









透「はぁッ、ぁっ--」

「透、お前・・・」









---シノブに何された?








喉まで出かけたが聞けなかった。

なんとなくヤツの名前を言ったらダメなような気がした。







「透、落ち着け・・・」
透「晋ッ---」
「---?」
透「頼むから--も・・やめ、ろっ--」
「・・・・・・・。」






なんとか落ち着いてくれた透。

頬に触れている俺の手を弱々しく握る。

そしてゆっくり視線を上げ、涙で濡れた目で訴えてくる。







透「これ以上は、もう---ムリッ・・・」
「・・・。」









---分かった。








そう言えたらどんなにいいかと思う。

出来ることならやめてやりたいとも思う。






情事ってのは元々お互いの同意の下で行われるものだし

それに俺は嫌がる女を愉しく犯せるような鬼畜ヤローでもない。








しかも今日の俺はやはり変だ。








震えながら涙を流す透を目の前に








---護ってやりたいかも








なんてとち狂った感情まで沸いてきやがった。









透「晋・・・ッ・・」

「・・・。」









だが透、察しろ。









ここでやめるのは無理だ。









なぜなら勢いに乗りまくってるコイツをどう治めたらいいか分からない。

何度も言うが今やめたら気が狂ってしまう。








透「---。」
「・・・。」
透「---。」
「・・・。」
透「---。」
「・・・。」








(そんな目で見るな・・・)








やめるのは・・・やっぱり不可能だ。








だが透の可愛い瞳が俺を追い詰める。








どうすればいいのか分からない。