「あ、やっぱり遼だ。」
累「・・・遼?」
真「遼・・・」
「飲み仲間だよ。」
孝「飲み仲間?」
コールの犯人は遼だった。
多分飲みの誘いだろうな。
でもせっかくだけど今日は歓迎会だからな。
また今度付き合ってもらおう。
「うーっす。」
遼『よぉ久しぶり、じゃねぇか。』
「この前も同じこと言ってたぞ?」
『そうだったか?今日も出てるんだけどよ。お前も来る?』
「やっぱりお誘いだったか!でも今日は今から--」
"住人と飲むんだ!"
言おうとしたその時
でっかい手に後から口を塞がれた。
「む、むーー!?」
犯人は------孝。
おまけに携帯を取り上げる真樹。
更には取り返そうとする手を掴む累。
「むー!むむー!」
(何のつもりだお前らー!)
叫ぶが『むー』しか言えない。
ていうかマジで何すんだ。
ふざけるのも大概にしろ。
孝「まさかお前・・・今から飲みに行くつもりじゃねぇだろうな。」
「むっ?」
真「てめぇ…ふざけんなよ。」
「------。」
何言ってんだこいつら…
累「ほら、断れ。」
累が真樹から携帯を取って私に突き出す。
孝「断れよ?」
「・・・・・・。」
元々断るつもりだったってのに。
マジで意味分かんねぇ。
孝「分かったな。」
しつこく念を押してくる孝。
コクン・・・と頷くとやっと手を離してくれた。
「-----なんなんだよお前ら。」
真「早くしろ。」
「・・・分かった、分かりましたよ。あ、遼?今日はいいや。一緒に飲んでくれる奴らがいるんだ。」
遼『・・・男といるのかよ』
「あぁ、住人達だ。」
遼『…住人?』
なんで疑問系?
「あれ、この前言わなかったっけ?」
遼『・・・聞いてない。』
「じゃぁ今度話すよ。とにかく今日は家で飲む。誘ってくれてサンキュな。」
遼『------あぁ、飲みすぎるなよ?』
「お前もな。」
ひとまず会話終了。
プチッと電話を切る。
さーて…
「あのねぇ君たち。人の電話は邪魔しちゃいけないって先生に教えてもらわなかったんすか?」
累「だって…今から行くつもりだったんだろ?」
「は?」
累「飲みに。」
「おいおい行くわけねぇだろ。今日は私の歓迎会だろ?主役が酒の席にいなくてどうすんだ。」
累「え・・」
真・孝「・・・・・・・・・・。」
何この沈黙。
君達もしかして…
私が今から抜け出すと思ってたわけ?
「お前ら・・・私のことどれだけ空気読めないヤツだと思ってんだよ。」
さすがの私もそこまで薄情な奴ではない。
累「だって・・・・有希ってちょっと変だから。」
孝「変人だ。」
真「"変人"か。なるほどしっくりくるな。」
なんと、開き直りやがったよこいつら。
要「ぷっ…不器用な奴らだなぁ。」
純「本と。」
要ちゃんと純君は肩を揺らして笑っている。
そうだそうだ。
もっと笑ってやってくれ。
「とにかく、今日はとことん付き合ってもらうからな!覚悟しとけよ!」
孝「お前がな。」
「いい度胸だ!あ、そういえば…最近家で飲んでなかったからよ。さっき見たら酒の量が足りないみたいだ。ちょちょいと買ってこようと思うけど、欲しいもんあるか?君達。」
考えてみたら家飲みのんて久しぶりだからな。
ほとんどストックがなかった。
真「ウイスキー。」
累「適当。」
孝「ブランデー。」
要「焼酎。」
純「ワイン。」
「・・・誰か着いて来いよ。」
そんなに持てねぇよ。
一応か弱い女子なんで。
孝「仕方ねぇな、行くぞ。」
食事中、アルコールを飲まなかった孝が名乗り出た。
よし、こいつなら百人力だ。
真「早く帰れよ。寄り道するな。」
孝「さぁな。」
「何やってんだ。早く行くぞ。」
真樹と孝は顔を合わすとすぐに言い合いを始める。
あれだ。
こいつら絶対同族嫌悪だ。
間違いない。
似た者同士だから。
「それじゃ、風呂でも入って待ってろよー。」
暗くなりきった外へ出る。
目指すは近所のスーパーだ。
--------今更歓迎会(完)