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葵「辰巳さんと晋さんと玲さん!この3人は俺の中の伝説なんです!」
「ふーん。」
葵「透さん気付かなかったんですか!?さっきまでここに3人並んでたのに!」
「うーん、気付かなかった。」
葵「そんなだから彼氏ができないんですよ!」
「なんだと。」
辰「・・・・・・・・・・・。」
一体どのくらい葵の講演を聞いてるだろう。
議題は「3人のイケメンについて」
どうやら辰巳さんには連れが2人いて、そいつらも絶世のイケメンらしい。
そしてその存在に気付かなかった私はだから彼氏が出来ないのだとダメ出し。
ふざけてんのかこいつは。
葵「辰巳さんを見てくださいよ!胸が高鳴るでしょ?トキメクでしょう!?ドキドキするでしょう!!?」
「あー。」
辰「え・・・・・」
さぁ、さぁ!と市場のおじちゃんに勧められるかのように辰巳さんの顔を覗き込む。
切れ長の目
スッと通った鼻筋
形のいい薄い唇
座ってはいるが身長も高いんだろ。
常人よりはるかに足が長い。
まぁ、どっから見てもいい男に間違いない。
葵「はい感想!」
「カッコイイと思います。」
葵「ドキドキは!?」
「ドキドキは・・・しないですね。」
葵「うーん。君は----病気です!」
「・・・・なんだと。」
辰「・・・・・・・・・・・・。」
葵ってこんな奴だったんだと初めて知った。
こんな奴。
つまり、失礼な奴だ。
辰「あ、あれ。葵くん、お客さんが呼んでるけど。」
葵「本当だ!ちょっと行ってきます!」
辰巳さんに名前を呼ばれるのがそんなに嬉しいのか。
なぜか軽く敬礼してキビキビと走っていった。
なんなんだあいつは。
辰「ご、ごめんね。なんか変なことになっちゃったね。」
「いえいえ。変なのはあいつでしょう。」
辰「・・・・・・・・・・。」
気遣ってくれたんだろうか。
2人きりになった途端、謝られた。
チラッと見ると、カウンターに肘を着いて前を向いたまま紫煙を吐く。
本当に綺麗な顔だな。
ドキドキはしないが目の保養にはなった。
辰「どうしたの?」
「あぁ、すみません。辰巳さんって綺麗だなと思いまして。」
辰「そうかな。透ちゃんだってすごく可愛いよ。」
「そりゃどうも。」
さすがイケメン。
にこっと微笑みながら社交辞令。
女が喜ぶ術を把握してるって感じだな。
辰「透ちゃんって良くこの店に来るの?」
「結構来る方だと思いますよ。あっちにいる友達と一緒に。」
辰「そうなんだ。飲みには良く出るの?」
「うーん、結構多い方かもしれないですね。自分では誘わないけど友達に呼ばれて。」
辰「今日も?」
「そんな感じです。」
合コン席に一度視線を置いて、元気な友達だねと言われた。
確かに元気な友人だ。
そういうところが好きなんだけどね。
辰「さっき葵くんと話してるの聞いちゃったんだけど・・・透ちゃん、彼氏いないの?」
「いないですよ。」
辰「新たな恋を探してるところ?」
「新たな恋?そんなの探してないですよ。」
辰「彼氏欲しいなぁとか思わないの?」
「思わないですね。」
ふーん、と呟いてこっちを見る。
頬杖ついて流し目。
やばいくらい画になると思った。
辰「もしかして透ちゃん。恋愛に興味が無い人?それとも堅い女の子なの?」
少しイタズラっぽく笑いながら尋ねてくる。
恋愛に興味が無い・・・
堅い女の子・・・
頭の中で反芻してみるけど
良く分からない。
「堅いかどうか分からないですけど。今は恋愛に興味ないです。」
辰巳さんからの返事は無かった。
けど
何故か彼の口端が妖しくつり上がったような気がした。
辰「透ちゃんって面白いね。」
「どこがですか。」
辰「色々と・・・・ね?」
「はぁ・・・」
男にも恋にも興味が無いという女。
これのどこが面白いんだ?
私が男だったら興醒めするけどな。
辰巳さんを見ると穏やかに微笑んでいる。
意味が分からない。
辰「あのさ。」
「なんですか。」
「もし、俺と付き合って欲しいって言ったらどうする?」
「・・・・付き合わないですけど。」
辰「あはは!」
「え。」
何故か大爆笑。
酔っちゃったんですか?
まぁ、お互い結構な量を飲んでるとは思う。
辰「こんな風にフられたのって初めて。」
「フ、フられた?」
辰「ねぇ透ちゃん。俺と友達になって?」
「え?」
辰「ダメ?」
「・・・構わないですけど。」
辰「ありがとう。」
いい子見つけちゃったなぁなんて呟いている。
本当に意味が分からない。
辰「はい。」
「は?・・・・あ、あぁ。」
ニコニコ微笑みながら携帯を向けられる。
連絡先交換ってヤツですか。
ちなみに、タバコは持ってなかったが携帯は持っていた。
なんとなく乗せられちゃった感があるが、お互いの情報はあっけなく携帯に収められた。
この行為、後で悔やむことになる。
辰「透ちゃん、あのさ---」
「透ちゃん!」
「え?」
辰巳さんの言葉を遮って名前を呼ばれる。
そして肩に置かれる手。
上を向くと・・・・・・おっと。
悠「なにやってるの?戻ってくるの遅い!」
「あ、悪い。もうすぐ----」
辰「今彼女を口説いてるとこなんだ。邪魔しないでくれる?」
「へ・・・」
悠「--------。」
ビックリ・・・した。
年の差、とかそんなんじゃない。
辰巳さんの言葉は刺々しかったけど、顔に浮かんでるのは穏やかな笑顔。
そのギャップに、悠人君が怯んだのが手に取るように分かった。
悠「・・・これ、健太が持ってきた酒。美味しいから飲んでよ。」
「あ、ありがと。」
悠「・・・早く戻ってきて。」
「あ、あぁ。」
悠人くんのうろたえがこっちまで伝染する。
チラチラとこっちを見ながら席に戻る悠人くん。
ごめんね。
若者は若者同士仲良くやってくれ。
辰「可愛いね、彼。」
「え?」
辰「透ちゃんのこと狙ってるんだろうね。」
「狙ってる?一緒に騒ぎたいだけでしょ。」
辰「透ちゃんって鈍いんだね。」
「鈍い?」
辰「気付いてないならいいよ。」
クスクス笑いながらグラスを傾ける。
お酒、強いッすね。
葵「ただ今帰りましたぁぁ!!」
「・・・お帰り。」
辰「お帰りなさい。」
葵、帰還。
もちろん、この後絶世のイケメンについて講演会が再開された。
ここまでははっきり覚えている。
だが・・・
この後なにがあった?
葵「玲さんは可愛らしい王子!晋さんは・・・正に男って感じですよね!」
これは・・・どうでもいい。
葵「透さん?どうかしました?」
辰「本当だ・・・透ちゃん、もしかして酔った?」
これだ。
(あれ・・・・?)
焼酎がなくなったんで、悠人くんからもらった酒を煽った。
健太くんがわざわざ持ってきたらしい酒。
飲まないのも失礼かなと思って。
そして、頭がぐらついた。
辰「大丈夫?」
葵「透さん?」
「あぁ・・・大丈夫。」
(なんだ・・・?)
このくらいで酔うはずないのに・・・
疲れてるのか?
今日は一日中ゴロゴロしてたのに?
「ちょっとフラッとしただけ。大丈夫大丈夫。」
それにしても急に喉が渇いてきた。
乾燥してるのか?
それともまさか・・・風邪引いちゃったとか。
最近寒くなってきたからな。
葵「結構飲みましたもんね!」
「そうだな。」
辰「・・・・・・・・。」
悠人くんが持ってきた酒を流し込む。
合コンももうじきお開きだろう。
私もそろそろ帰りたい・・・
---ドクンッ
「-------!?」
心臓の音が耳から聞こえたかと思った。
葵「え・・・透さん?」
思わずカウンターに肘を着く。
勢い付いてグラスが揺れた。
額に手を当てていないと倒れそうだ。
(・・・・・・・・なんだ?)
酔った・・・のか?
いやいやこのくらいじゃ酔わない。
でも体が熱い。
しかも頭が揺れるって・・・
もしかして結構強めの酒だったのか?
いや違う。
酔ってこんなに頭が揺れたことなんて今まで一度だって無い。
辰「透ちゃん?大丈夫?」
「---------ッッ!?」
辰「え?」
辰巳さんの手が肩に触れた。
その瞬間、思い切り体がビクつく。
「す、すみません。」
辰「い、いや。」
思い切りいったからな。
そりゃ辰巳さんだってビックリするだろ。
私もビックリした。
なぜビックリしたのか。
なぜなら触れられた瞬間。
体中に刺激が走ったからだ。
刺激といっても痛みじゃない。
強い------快感だ。
(ちょっと・・・)
だんだん体の体温が上がってくる。
動かなくてもじわじわと体が疼く。
この弄られるような焦らされるような感覚。
この感覚には覚えがある。
これは・・・
「・・・・・・・Switch。」
辰「え?」
葵「な、なんですか?」
間違いない。
Switchだ。
葵「透さん?」
辰「何て言った?」
「い、いえ・・・・」
Switchとは何か。
それはね・・・・
強力な媚薬です。
「-------ぅッ・・・」
葵「透さん!」
辰「---------。」
(ふざけてる場合じゃない・・・)
ていうかなんで媚薬?
やっぱ今の酒に入ってたんだろうな・・・
イタズラか?
それとも故意で?
誰が飲ませた?
そんなの決まってる。
(なんのつもりだあのヤロー・・・)
どう考えてもあいつしかいないだろ。
美味しいよ・・・なんて置いていったくせに。
私に何か恨みでもあるのか?
席を離れたのがそんなにムカついたのか?
視線を合コン席に移す。
犯人であろう悠人くんは香織と楽しそうに談笑している。
辰「透ちゃん顔色悪いけど・・・大丈夫?」
「す、すみません。ちょっと酔っちゃったみたいで・・・そろそろ帰ります。」
葵「え?じゃぁ香織さんに---」
「言わなくていいよ。悪いけど・・・私の荷物、持ってきてくれないかな・・・」
葵「え・・・?」
「迅速にお願いします。」
葵「りょ、了解!」
再び敬礼して荷物を取りに行ってくれる葵。
どうでもいいが・・・帰ろう。
合コン?
それどころじゃない。
その前に誰かと一緒にいたらヤバイ。
体が動くうちに家に帰らないと・・・
辰「送ろうか?」
「いえ、お気遣い無く。」
辰「すごく辛そうだけど。」
「たまにこうなるんで。心配ないですよ。寝たら治ります。」
辰「・・・・・・・・。」
疑われてる目。
でもそんなの気にしてる場合じゃない。
マジで。
ヤバイ。
辰「透ちゃん、やっぱり送る---」
悠「透ちゃん帰っちゃうのー!?」
「--------------!?」
辰「・・・・・・・・・・・・・。」
後から軽く抱きつかれた。
触れられたことでビクッと体が跳ねる。
媚薬ってのはそういうもんだ。
悠「もしかして酔っちゃった?俺も帰るから、家まで送っていくよ。」
何事も無かったかのように。
だがやはり確信犯だ。
感じさせるように耳元に話しかけてくる。
「・・・・・・・・・触るな!」
悠「え?」
思い切り奴の手を振り払って立ち上がった。
もしや薬に気付かれて無いとでも思ってるんだろうか。
悠人くんはビックリした素振りを見せる。
ガクガク震え出した足。
だが倒れるわけにはいかない。
奮い立たせてヤツの前に立つ。
「薬使うなんて・・・男として最低だと思わないのか?」
悠「------!」
「まさか・・・香織と結衣にも盛ったんじゃないだろうな!?」
合コン席を見ると騒ぎに驚いたのか皆こっちを見ている。
香織と結衣は・・・無事みたいだな。
とりあえず2人も連れて帰ろう。
こんなのの連れと一緒に飲ませるなんて危険極まりない。
「私にもあの2人にも二度と近づくな。じゃぁな。」
悠「・・・・・・ちょっと待ちなよ。」
「おいこら----触るなっ!!」
表情を変えた悠人くんに肩を掴まれた。
そしてまた体に刺激が走った。
うっすらと覚えてるのはこの辺まで。
そして気がついたら
辰「早く思い出してよ。」
「---ゃめッ----ッぁ!」
なぜか辰巳さんに組み敷かれていた。
リアルに
意味が分からない。
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