---応えられない
否定の言葉は結構ショックだった。
あいつらの中に好きな奴でも出来た?
だから応えられないの?
・・・そう思ったんだけど
有「そんなんじゃないよ。ただ単に私は・・・誰にも応えられない。」
誰にも?
有「私は-----人を好きになるのが怖いから。」
人を好きになるのが怖いって・・・
なにそれどういう意味?
ワケ分かんない。
「どういうこと?」
有「・・・聞き流してくれてもいいぞ?」
「うん。」
有「えーとねぇ・・・昔、激しく破局したことがあるんだよ。」
「え?」
有「その相手を引きずってるのは全然無いんだぞ?でも同じことがまた起こったらと思うと怖くてさ。」
「・・・・・。」
有「カッコ悪いだろ?トラウマ持ちなんだよ。」
---トラウマ
それを聞いてすぐ頭に浮かんだのは『夢』
(トラウマ、夢。そして人を好きになるのが怖い・・・)
姫は激しく破局したことがあるからって言ってたけど・・・
それだけじゃないでしょ?
相手に未練がないなら夢に「怯える」必要は無いはずじゃん。
じゃあ・・・他に何かあったってこと?
「・・・・・そっか。」
聞きたいことはいっぱいあったけど今は聞いたらいけないような気がして止めた。
姫は自分のことをペラペラ話す人じゃないし
きっと頑張って話してくれたんだと思うから。
とりあえず本題に戻ろう。
今考えないといけないのは
「好きになるのは止められない」について。
(好き、か・・・)
うん、俺は姫のことが好きだ。
そしてその気持ちは・・・
うん、姫の言う通りだ。
この気持ちを簡単に止められるとは思えないし、どうやって止めたらいいかも分からない。
そんなのちょっと考えれば分かること。
でも言われないと分からなかった。
もちろん、おかげで心はすっきりした。
「姫の・・・人を好きになるのが怖いって気持ちは分かった。」
有「・・・・・。」
「でも、それでもやっぱり俺は姫が好きだから。これからもっと好きになるよ。」
有「・・・ありがとな。でもさ、私より素敵な女子なんて腐るほどいるだろ?」
「そんな女の子いないよ。」
有「目を覚ませ純君!周りをもっと良く見てみろ!」
「・・・・知ってると思うけど。女の子は周りにたくさんいるよ。」
有「そりゃ・・・・・ごもっとも。」
リアルな話、この外見のおかげで女の子に困ったことはない。
多分、他の人よりも色んなタイプの女の子を見てきてると思う。
「良く見て・・・だからこそ姫を好きになったんだ。」
有「え・・・」
「そして俺も姫に自分のこと好きになってもらいたい。男として。」
有「え、えと・・・あの、純君--」
「姫には今、特別な人はいないんでしょ?」
有「ま、まぁそうなのですが--」
「それなら・・・俺のこと好きになってもらうまでだよ。」
有「え、そっちに向かっちゃうの?」
「行っちゃうよ。」
何かが吹っ切れたような気がする。
姫が好き
そしてもっと好きになる。
今まで無意識に抑えてきた姫を好きだと想う気持ち。
それと同時に塞き止めてた何かがぽーんと弾けた飛んだ気がする。
触れたい
キスしたい
抱きしめたい
重なりたい
姫に対するそんな欲望が沸騰して
我先にと押し寄せてくる。
やっぱり俺って---男だ。