(あ、あっぶねぇ・・・)
なぜか表情が暗くなったと思えばとんでもないことを言い放った純君。
ご飯食べてる最中じゃなくて良かったよ本当。
ていうかなんだ?
もっと好きになってもいいかって・・・
もしや純君ってば私に憧れたりしてくれてるわけ?
年上の女がいいなぁなんて思う年頃か?
けど・・・
「えーと、あのさ・・・迷惑をかけたくないってどういう意味だ?」
とうぜん疑問に思うところだろ?
自分に言われてるってのはひとまず置いといて
もっと好きになっていいかとか、好きになっても迷惑じゃないかなんて相手に了承を得ることか?
純「姫に迷惑がかかるのは嫌だから。」
「・・・・・・。」
純君の視線が弱々しく下がった。
そしてさっきと同じだ。
また顔に影が落ちた。
そういや愛人の子だとか言ってた・・・
想像つかないけど色々大変な目に合ってきたのかもな。
でも
でもよ・・・
「あのさ・・・ひとまず私に言ってる言葉じゃないとして答えていいか?」
純「え?」
「客観的にってこと。」
純「うん?」
「それじゃ、えーと・・・好きになるってのは相手に「ダメだ!」って言われて止めることなんて出来ないモンじゃねぇ?」
純「え・・・?」
「それに、相手が迷惑だと思っても好きなモンは仕方ねぇじゃん。」
純「・・・・・。」
そうだろ?
「で、ここからは私の返事な?」
純「う、うん。」
「純君が私のことをどんな意味で好きでいてくれてるのか分かんねぇけど・・・その気持ちはとっても嬉しい。でももし。
恋愛対象として好きでいてくれてるんなら・・・それには応えられねぇ。」
あっ子ちゃんに色々レクチャーしてもらったんで。
ちゃんと考えて答えようと思う。
純「・・・なんで?誰か・・・あいつらの中に好きな奴でも出来た?」
「そんなんじゃないよ。ただ単に私は・・・誰にも応えられない。」
純「え?」
「私は-----人を好きになるのが怖いから。」
あんまり話したい内容ではないけど純君も自分のことを話してくれたし
こういう時は素直な気持ちを伝えるのが一番だよな。
それに、どんな感情の種類なのかは分からないけど"好き"と思ってくれてるんだ。
それに対しては本当の気持ちで向かい合わないといけない思います。
純「人を好きになるのが怖いって・・・どういうこと?」
「・・・聞き流してくれてもいいぞ?」
純「うん。」
「えーとねぇ・・・昔、激しく破局したことがあるんだよ。」
純「え?」
「その相手を引きずってるのは全然無いんだぞ?でも同じことがまた起こったらと思うと怖くてさ。」
純「・・・・・。」
「カッコ悪いだろ?トラウマ持ちなんだよ。」
さっきは偉そうなこと言ったくせに情けないよな。
人を好きになるのが怖いなんて・・・
純君が言う迷惑をかけるかけない以前の問題だ。
ほんと情けない。
純「・・・・・そっか。」
あれ・・・
もしかして気を遣わせてしまったか?
しばらく沈黙が続いた後、純君は悲しそうな顔でポツリと呟いた。
(こらこらそんな顔するな。)
私はともかく、純君はもっと胸を張れ!
世の中には女子が腐るほどいるんだ。
年上の女子だって私よりずっと魅力的な人がわんさか溢れてる。
それに、君はただでさえ目を引く素敵な男子なんだ。
これから出会う女子に対して自分の想いが迷惑とか思ってたらもったいない。
もっと自分に自信を持ちなさいって!
(頑張れ、純君!)
心の中で旗を持ち、思い切りエールを贈る。