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「うわぁ・・・すっごいツヤツヤだ。」
「気持ちいいですよね。」
「うん。あ、ゴロゴロ言ってる。」
「もー!ボスったらカワイー!」
時は休日、土曜 午後13:25
現在地は我が弟、司宅のリビング
「触っても怒らないね。」
「慣れてるんですかね?」
「違うよ!ボスはファンサービス旺盛なんだよね?」
「なるほど。」
3人は余裕で座れるだろうグレーのソファー。
そこにボスを囲むように陣取り座る香織、直樹、玲くん。
彼らは現在、ボスにメロメロだ。
「甘いぞ司!上と見せかけて---こっちだ!」
司「な!またそれかよ!」
「はーっはっは!貴様などもはや敵ではないな!」
司「くそ・・・いつの間に腕上げたんだよ。さては隠れて修行しやがったな!?」
「ふふふ・・・それは企業秘密だ。」
ちなみに家主の司と私はthe ゲームバトル。
テレビの前に座り込み、夢中でコントローラーを操っている。
余談だが全戦全勝。
師匠・晋から伝授されたアレさえあれば今の私に敵など無い。
司「チッ・・・ちょっと休憩だ。作戦練らせろ。」
「どうぞどうぞ。いくらでも考えたまえ。」
司「ムカつく・・・」
「ムカつけムカつけ。ついでに飲み物持って来い。」
司「・・・調子に乗るなよ。」
「敗者が文句言うな。」
司「・・・・・。」
すっげぇ睨まれた。
ま、全然怖くないけどな。
とりあえず飲み物くれ。
頑張りすぎて無性に暑い。
司「・・・それより透。どうしたんだよそれ。」
「え?どれ?」
司「鎖骨。怪我でもしたのか?」
「は?」
手団扇でパタパタやってると不意に首元を指差された。
釣られて視線を下げると--
(は-----!)
まるで幽霊にでも遭遇したかのような衝撃
目に入ってきたソレに
ゾワリと鳥肌が立った。
「え!あ、いや、これはその!虫!虫に刺されたんだよ!」
司「虫?こんな寒い時期に?」
「そそ、そうだぞ!寒くても頑張る虫がいるんだよ!」
司「・・・ふーん。」
ものすごく取り乱す私。
そんな私に不審者でも見るような目を向ける司。
だがヤツも喉が渇いてたんだろう。
コーヒー作ってくる、とキッチンへ去って行った。
(あ、危なかった・・・)
本日のファッションポイントは襟の高いシャツ。
その襟を更に高く引き上げ虫刺されを隠す。
司を見るとこっちに背を向けせっせとコーヒーの準備中。
どうやら完全に季節外れの虫を信じたらしい。
単純な弟で本当に助かった。
(はぁ・・・心臓に悪い・・・)
安堵と共に激しい脱力感に襲われる。
そして原因を作った元凶をチラリと見ると・・・
「ボスの肉球・・・ふわふわしてる!」
私の視線に気付きもせず
元凶、玲くんは無邪気にボスと戯れていた。
(チッ・・・)
人の苦労も知らず楽しそうにしやがって。
この・・・
エロス王子め。
---3時間前
「---ってぇ・・」
朝、目が覚めたら頭が痛かった。
「あれ、ここは--------我が家か?」
目だけを動かし周りを確認する。
うん、ここは間違いなく自分の家だ。
「はぁ、いつ帰って来たんだっけ・・・」
気だるい体を無理やり起こす。
ガンガンと痛む頭を押さえると無意識にため息が出た。
昨日はまぁ、飲みすぎた。
もちろん飲むつもりだった。
そして予定通り飲んだ。
だがちょっとやりすぎたかも。
おかげで目覚めは最悪。
リアルに体が重い。
まぁ・・・
気分は少々すっきりした。
ような気もする。
「いてて、頭が割れる・・・」
それにしてもいつ帰って来たっけ?
それにどうやって帰った?
(えーと・・・)
たまに入る「Bar Black」に行ったのは覚えてる。
いつもの酒を飲みながら玲くんと世間話して
そして・・・
あれ、それからどうしたんだっけ?
「・・・・・・ダメだ、思い出せない。」
ボトルを2本空けたところまでは覚えてるけど・・・
その後はダメだ。
まったく記憶にない。
(ま、いっか・・・)
今までかつて酔って問題起こしたことないし
泥酔して外泊したこともないし
今もちゃんと自分の家だしちゃんとパジャマ着てるからな。
恐らくいつも通り普通に帰って来たんだろ。
うん、そういうことにしておこう。
「え、もう10時半・・・?」
ふと時計を見ると---なんと昼前。
随分長い時間寝てたらしい。
せっかくの休みなのに・・・
なんだか損した気分。
でもさすがにまだ動く気にはなれない。
もうちょっと寝とこうかな。
「あれ・・・」
でも、そういえば今日って
昼から司の家に集合じゃなかったか?
「うっわ、面倒臭ェ・・・」
思わず脱力。
いつの間にか抱きしめてた枕に顔を埋めた。
体は重い。
気分も重い。
こんな状態で人と会うなんて無理、絶対無理。
でも約束したからなぁ・・・
ドタキャンしたら怒るだろうなあいつら。
「はぁぁ、どうしよ・・・」
「あ、おはよう透ちゃん。良く眠れた?」
・・・へ?
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