SAKURA∞SAKU first

停電 SAKURA∞SAKU first

桜館に来て5ヶ月。

なんともまぁ、早いもんっすねぇ。

 

純「姫、そっちの皿取って?」
「ほい。」
要「累たんは貝類嫌いだったよな。」
累「・・・累たんって呼ぶなよ。貝はいらない。」
孝「俺も。」

 

今日も夕飯は全員参加。
この習慣ももはや定着してしまった。

初めの頃を考えたら有り得ない変化だ。

今日は住人達のみだが、遼や下僕の仁、あいつらも頻繁に晩飯に参加している。
意味が分からない。

ま、多人数で食べる飯はうまい。
これは本当だ。

 

「おかえりー。あらら・・・ほらタオル。」
真「あぁサンキュ。」
「外凄かったのか?」

 

本日最後の住人、真樹もご帰宅。

社長様も外食が減って健康的に食事をとることにしているようだ。

 

真「雨か?めちゃめちゃだな。今夜は雷もすげぇらしい。」
「げ・・・マジで?」

 

そういえば台風が接近しているようで、昨日から凄まじい勢いで雨が降っている。

しかも今夜は雷だと?
こりゃ大変だ。

 

「やばいなぁ。」

 

独り言を零しながら階段へ向かう。

 

真「なんだお前。雷が怖いのか?」
純「そうなの?カワイイー。」
要「怖いならこっちおいで。側にいてやるから。」

 

調子に乗る男共。
相変わらずバカな連中だ。

 

「へっ!雷が怖くて"きゃー"なんて騒ぐ女に見えるか?私が怖ぇのはPCの内容がぶっ飛ぶことだ!」
累「なぁんだ。」
孝「つまんねぇ。」
「バカ共め。じゃ、電源落としてくるんで。」
純「早くおいでよ?もうご飯出来てるからね。」
「すぐ来るよ。」

 

(お・・・!)

 

階段に足をかけた時、部屋の外が激しく光った。

そして

 

---ずどーんっっ!!

 

揺れを感じるくらいでかいのが落ちた。

近い。
今のは近かったぞ。

 

「おおぉぉ!!すげぇなぁ!」
「「「 -------。 」」」
「・・・なんだよ。」

 

可愛くない反応にあからさまに白けた空気を放つ奴ら。

どんだけ『きゃー』が聞きてぇんだよ。
ていうか雷に怯える女なんて今時いねぇっての。
ドラマの見すぎ。

 

「バッカじゃねーの。」

 

ムカついたんで悪態を吐きながら2階へ向かう。

 

「ぶっ飛ばれたら大変ですからねぇ。」

 

自室に入り再び独り言。

電源落として・・・
コンセントも引っこ抜いてた方がいいかな。

 

「おぉっ・・・・・と。」

 

一瞬昼間になったみたいに明るくなった。
自然現象ってのはすげぇな。

作業の間にも雷様の機嫌は悪化する一方。
カーテン越しにピカピカ光ってる。

 

(うーん・・・)

 

ふと、手を止めてカーテンの隙間から空を見てみる。

 

(はぁ・・・)

 

頼むから停電だけは勘弁してくれよ。

でかい家って停電になりにくいとか
そんな都合のいいことは・・・ねぇよな。

 

(・・・・・大丈夫だよな?)

 

雷様がどんなに怒ろうが怖くねぇ。

 

ただ私は

 

急に光を奪う停電が嫌いだ。

 

いや

 

-----怖い。

 

まぁ、こんなにピカピカ光ってんのに今のところ何もねぇってことは大丈夫だよな。

さっきのでかいヤツにも耐えたし・・・
今日はメシ食ってさっさと飲んで寝ることにしよう。

 

累「有希ー、まだー?」
「あ、悪ぃ!すぐ行く!」

 

ヤバイ、ボーっとしてた。
腹減ってんのに悪いことしたな。

最後のPCの電源を切って急いで部屋から出た。

 

孝「何やってんだ。」
「ちょっと手間取ってさ。」

 

足早に階段を降りていく。

 

真「やっぱり雷が怖ぇんじゃねぇの?」
「ばぁか。そんなんじゃ--」

 

会話の途中

言葉を遮るように部屋が眩しく照らされた。

 

 

そして

 

 

家から全ての明かりが消えた。

 

 

 

 

 

・・・・・停電(完)