とある休日の災難

とある休日の災難 01 ~GAME




「うわ、数学100点!?今回のテストかなり難しかったのに・・・前から思ってたけどなんでそんなに頭いいの?俺に隠れて勉強してんの?」

「---してないけど。」

「ちょ---数学も100点?こいつ、英語も100点だったぜ?」

「ウソだろ--!俺なんか32点だったのに・・・やっぱすげぇわお前、天才だよ天才!」






学生である限り避けては通れない勉強。

特にガリ勉だったわけじゃない
隠れて努力してた派でもない




じゃあ天才?




まさか。
多分少しだけ才能があったんだと思う。

小中高と、ろくに気合を入れる必要もなく成績は常に上位だった。






「あ、あのっ!ちょっといいですか!」

「え?」

「えとっ---全国大会出場おめでとうございます!これ、良かったら使って下さい!」

「・・・あ、ありがとう。」






成績優秀だった俺。
実はスポーツもけっこう出来た。

まぁ、モテたね。

高校、大学時代は特に夢と疑うほどにモテた。






「ちょっ---お前!S社に内定決まったって本当か!?」

「え?まぁ・・・」

「エエ、S社!?マジかよー!!」

「すげぇすげぇとは思ってたけどマジですげぇよお前!」

「お前ってば俺の誇りだわ!ずっと友達でいてくれよなお願い!」

「こ、こちらこそ宜しく・・」






社会人になるための第一歩、就職活動。

成績も良かった
スポーツもそれなりに出来た

そんな俺を待っていたのはエリートコース。

言い方は古いが天下のS社に内定が決まった。

まぁ、大学で言えばT大に合格したみたいなもんだろうか。






なにはともあれ

S社に入社することになった俺。






思えばここまで順風満帆。

これから先もヘマをやらかす予定は無し。

3年くらいは仕事に励もうか。

そしてその後は可愛い彼女を作って結婚・・・

なんてステキ。
俺の人生バラ色じゃん。

そう思った。






しかし






入社3年目の秋・・・

俺はとんでもない壁にぶち当たってしまった。







(なんか、つまんねぇ・・・)







正直言って、S社にはそれなりに期待を寄せて入社した。

天下のS社なんて言われるくらいだ。

俺なんかが簡単に攻略出来るはずはない。

もちろん社員の中には到底敵うはずもない刺激的なヤツがゴロゴロいるはずだぜ!

ワクワクするぜ!

そう思ってた。



しかし






「なぁ聞いたか?今月もまたあいつが成績トップだってよ。」

「またかよ・・・真面目以外に大した才能もないくせによぉ。」

「確かに。あんなのがウチの部のエースなんて言われてるんだぜ?納得いかねぇわ。」

「上の連中は数字以外見ようとしないからな。」

「言えてる言えてる。」






簡単に攻略出来るはずはない?

到底敵うはずもない刺激的なヤツがいる?



誰だそんな期待に胸を躍らせていたバカは。



初めに配属された販売促進部も
次に所属したマーケティング部も

初めこそ慣れない仕事に戸惑ったがしばらくすればトップをもぎ取ることが出来た。

周りの奴らはただただプライドが高いだけで、刺激的どころか仲間になれそうなヤツすらいなかった。






(ほんと、つまんねぇ・・・)






S社の部署を3つほど制覇した頃、俺の精神状態は大変なことになっていた。

だって難解な仕事を成し遂げる達成感も無い。
仲間と切磋琢磨し合う高揚感も無い。




---仕事が楽しくない




そう思うとどうも毎日が憂鬱で
仕事と向き合うのが嫌になって

もしかしてこれが---噂の無気力症候群?






そんな俺の心内なんかつゆ知らず






「さすがだなぁ!お前は営業部のエースだ!お前みたいな部下を持てて幸せだよ俺は!」

「はぁ・・・どうも。」






顔を緩ませた上司から褒められる。

お前のおかげで俺の地位は安泰だと肩を叩かれる。

そして肩の痛みと共に俺の無気力メーターもぐんぐん上がっていく・・・









「ウソ、ウソだろ---なんでだぁ!!」








・・・?






「お前を手放さないといけないなんて---これから俺はどうすればいいんだぁ!」

「ちょ---落ち着いてください部長。」






そんなある日の朝。

少しだけ心躍るニュースが飛び込んできた。






「異動命令だ・・・」

「異動、ですか?」

「そうだ、我が社の最高峰・・・企画営業部への異動だ!」

「え!」






企画営業部なんて別に珍しい部署でもない。

どの会社でも耳にする部署だし、もちろん我がS社にも存在する。

だがS社におけるこの部署は最高峰と言われ--

つまりエリート中のエリートしか入れない幻の部署と噂されている。






「おめでとう!俺はお前を誇りに思う!」

「あ、ありがとうございます。」

「だが俺はどうすればいい!?」

「え。」

「お前が抜けた穴はどうやって埋めればいいんだぁ!」

「・・・・・・。」






頭を抱え転がる部長。

すみません。
穴はどうにか埋めてください。





それにしても・・・






最高峰に異動?






これは喜ぶべきなんだろうか。
期待していいんだろうか。

それとも---







(・・・・・・。)







まぁいい。

もし期待外れだったら会社辞めよう。
そして自分探しの旅に出よう。









「あ、君が噂の木戸君?今日から君と組むことになった進藤辰巳です。どうぞ宜しく。」









そして異動初日。

最高峰で俺を待っていたのは

女子の間で目が合っただけで気絶しちゃう!と有名な超絶イケメン








二年先輩の進藤さんだった。